今日は暫し映像から離れて
原作の上巻に触れてみたい

 

これを読んだのは確か、8年前の冬

 

ごう の記憶は、ある男の手に自分の手がつつまれた感覚から始まっている

 

あたたかく、乾いた大きな手である


江は今年で七歳になったばっかりだから追憶に浮かぶ手が大きく感じられるのも無理はない


・・・・・・

"吾輩は猫である 名前はまだない" のような、ガツンとくるインパクトはなくても、この書き出しには身悶えするほどの感動を覚えた


生まれて間もない、視力さえ定まらない江の瞳に、ぼんやりと大きな手だけが映っていて、その手のあたたかみだけを感じていたのだろう


娘を抱く父の姿が湖畔を漂う霧の中で見え隠れする情景が浮かんだ


タワシは7歳の少女の記憶を描写する、こんな手法の書き出しをみたことがなかった


読書量が少ないからでは?と言われればそれまでのことではあるが (笑)




琵琶湖を一望する北近江の小高い尾根に築かれた小谷城の本丸に、長政は絶世の美女と謳われた信長の妹・お市を迎え入れてのちに3人の女児を設けた


物静かで思慮深い

長女・茶々


感情を抑えることの苦手な

次女の


して、この物語の主人公である

末娘のである



さて江の父・長政を原作の中に詳しく見い出そうとして、いささか困った問題が生じた


彼に関する記述がこの序章の出だし以降では、お市が江に語る場面のみだったから


 

作者自身が脚本を手掛けていることもあってか、原作とドラマとのズレはそう大きくはない


にしても、第1話の『湖国の姫』では、時任三郎 演じる長政の、無念の結末が見事に映し出されている