徳俵に足をかけて…

残り1秒
9回2アウト
逆転の確率

負けていての逆転
順調に進んでいての逆転負け
どっちにしろ魂焦げるぜ!

生きていく中でこんなヒリヒリする人生は中々経験出来るモノじゃない
生で演るってこういう事なんだよなぁ…

って勿論こん時はこんな呑気な能書きはたれる暇も無く(笑)

しかしこのイヤな能書きが…
芝居は残り10分くらいのところ迄来た
「僕が何とかします今女将さんを…」
ついに!
そう!
このあとのセリフが出て来ない⁈
「うん?イヤ今かい?」
Aさんも覚悟してたのか
すかさずセリフを入れた!
本来なら「〜今女将さんを連れて来ますから男らしくズバッと思いのたけを言って下さい!」
と続く筈なのだが…
イヤな能書きが的中した
勿論コレは結果論だが…

サアどうするH君!?

AさんがゆっくりとH君に歩み寄り両肩に両手をのせて今一度
「今かい?」
と言ってH君の目をじっと見つめた…
すると見つめられたまま少しの間を持ってH君がゆっくりと大きく頷いたのだ!

凄い!

そしてH君はゆっくりとAさんの両の手を掴みゆっくりとおろし
スッと後方に一歩二歩と下がりくるっと回り
サッと上手へと去ったのだ
勿論女将さんを連れて来る為に…

やったぁ!
まだ終わったワケじゃないが
何とかやり過ごした

ただあの様子じゃやはり声が出なくなってきたのは言うまでもない…

こんな終盤にきて弁士作戦ってワケにはいかないし…

考えろ!
考えろ!

Aさんも皆も考えてる…
そして何よりH君も…

セリフを言えるだけゆっくり話させて
あとは相手役に託すしかないか?

そしていよいよ茨の道の大団円?をむかえるのだ…
果たしてどうする?
果たしてどうなるのか?


神のみぞ…
イヤ
真に神様がいるとしたら
敢えて先のことを考えてこの回は失敗させて
明日からを戒めさせるだろう
下手にこの回を成功させたら我々が調子こくのは目に見えている(笑)
えっ⁈
という事は?

イヤイヤイヤそんな事は無い!
H君の才能を信じる!

ヒトの話しと推理小説は最後まで!

人生はギャンブル!
一か八か

賽は投げられた!






そして……