「のるかそるか…
一か八か…
この舞台はパンドラの箱なのか
しかしながらどうしても
開けなければならない時が人生には有る
例えそれが艱難辛苦と分かっていても…」って
大河ドラマのオープニングナレか⁈
てなワケで2日目始まりました…(笑)

出だしは順調に…
いったとはいえまだH君の出番迄あと3分
そして今正に地獄の一丁目の扉が開いた

H君の声が…
静かにフェイドインした
シーン的にいい感じだった
田舎の鄙びた旅館という設定なので丁度良かった
ゆっくりと徐々に声を出せる
「凄いところですね…」
「そうネ」
H君とTさんのカップルが番頭客引きの自分に導かれて登場する
良いネ!
まだ静かな場面だがそれでもちゃんと出てる
そして
女将が登場
「いらっしゃいませ遠いところありがとうございます」
幸いにして
この芝居は出役
つまり出演者が少なくその分やり取りが少なく済む
とは言え大人数の出演者の方が役によるが
セリフが少なくて済むなんてこともある
かえって少人数の方が大概出番があるので
セリフ量が多くなる場合もあり
一様には言えない
シーンが進む
いよいよAさん演じるところの元アイドルスター幽霊の登場だ
この辺りからH君のセリフ量が増えてくる

幽霊の存在が分かり驚くところ
昨日迄は単純に大声で「ワア!」とやっていたが
こん時は
なんと驚き過ぎて声が出ないという恐るべき大技に打って出たのだ!
声はウィスパー気味だがリアクションでその怖さを表現してみせた

「凄い」
思わず声が出そうになった…
ひょっとしたらこのH君…天才かもしれない
役者志望でも無いのに…
開き直りだけでこの切り替え芝居は出来ない
ひょっとしたら彼の中でこのパターンも稽古段階で考えてたのかもしれない…にしても凄い

いけるかもしれない
イヤ
いける
そう確信に変わったのは次のやり取りだった

なんと
相手が幽霊にも関わらず
そっと近寄って幽霊の耳元で話しかけたのだ
勿論そんな演出はしてない

そして
なんと離れても普通に声が出始めてきた

キタ〜

自ら少しずつ声を喉を温めて出してきたのだ

そしてとどめは
このあとのダンスシーンだ
Aさん演じるスター幽霊と踊るのだが
振り付けのシーンから通して踊るシーンへと
順調に進んで
見事に踊りきった
それどころかこの一連の踊りのシーンのおかげで心身共に暖まり喉が完全とまではいかないまでもほぼ良い感じに復活していたのだ

凄い!

H君は
コイツはひょっとしたら凄い逸材やもしれない

そして芝居は後半へと進んでいった

効果音師役のスタッフ兼任のAさんが軽く微笑みながら自分に
「大丈夫そうですね」

軽く自分は頷いた

その頷きはH君の状態とAさんの助け舟の弁士役のキャンセルに対してのモノだった

ここ迄くれば大丈夫

だと

確信した


のだが

こん時ばかりはあの格言が脳裏をよぎった

野球は9回2アウトから!

諦めと油断は表裏一体


ヤバイ!

頼むH君!






そして……