「お疲れ様でした明日からまた宜しくお願いします!」
初日打ち上げが終わった
イヤ
まだ何も始まってない
まだまだ明日から
そうしてまた次が始まる

でも久々に美味い良い酒だった
よくギャグで
「ココのビール美味いネ!」
「ココのコーラ美味いネ!」
「どこも一緒や!」
なんてしょうもないやり取りで乾杯のあとに軽くやり合ってガッツリ滑ったりして(笑)
だが強ち嘘じゃなくてホントに美味い酒不味い酒ってあるよね?
良く飲み過ぎちゃ体に毒って言うけど
勿論限度はあるけど結局のところ良いか悪いか美味いか不味いかってのがかなりあるんじゃないかな?
説教されながらの酒は不味いのなんのって
翌朝二日酔い確定!
やっぱり好きなことやって上手くやれたあとの酒は美味いよね?栄養になったんじゃないってくらい翌朝も目覚めパッチリだよね(笑)
こういう美味い酒を飲む為にヒトは生きているんだよね(笑)

冗談抜きでこの頃は美味い打ち上げのビール飲む為に芝居やってたとこあったね(笑)
それぐらい酒と状態や環境はイコールな関係だったよネ
「お疲れ様でした気をつけて!」
乗り換え駅で皆と別れそこからまた彼女と電車に乗って彼女と歩いてアパートに着いた

2人共にかなり疲れている筈なのにナチュラルハイってヤツか割と体力的に余裕がある(笑)

風呂に入って汗を流した
と言っても夜の秋風ですっかり体は冷めていた
かと言って寒いワケでもなく寧ろまだ体は熱っていた
風呂のお湯のせいではないような独特の火照り感(笑)
風邪からの熱でもなくそれは紛れもなく舞台の芝居の興奮冷めやらぬって感じだった

考えてみりゃ自分で公演を立ち上げたのも
ましてや演出も…
全てにおいて初めてのことが多かった

勿論こん時はそんな感慨に耽っている余裕なんぞなかった
それが現実だったからね…
だけどこん時の興奮や体の火照りは正にそういう事だったんだろうネ

風呂から上がり冷たい水を飲んだ
五臓六腑に染み渡る

なんか気持ち体の火照りが鎮まっていくのがわかった

なんだ単純に体が熱かっただけかよ!(笑)

「どいてよ」
浴室の前で仁王立ちで水を飲んでる自分に彼女が言った
「ガチャ!」
勢いよく浴室の扉を素っ裸の彼女が開け入っていった
広い部屋だったら…
イヤ
そういう問題じゃない(笑)

彼女の痩せた背中になんかジンときた
体の汗と心の汗を感じた

彼女の今の声のトーンで芝居の事は特に無口な彼女も心なしか充足感を醸し出していたような気がした
多分…(笑)

着替えてタバコに火をつける
紫炎が蛍光灯の灯りに混ざって溶けていった




そして……