ゲネプロ開始早々に…

このゲネプロってのはリハーサルのことなんだけどネ
昔から良く言われているのが
「まだ一回失敗出来るからな!思い切って行こう!」
てのと
「サァ!初日のつもりで仕上げて行こう!」
まっ言い方はあれだけど要は緊張と緩和じゃないけどまだ本番じゃないからリラックスして行こうってのといきなり熱いお湯じゃないけど
もう初日だからな!って考え方があってさ
まぁ自分の場合は「初日のつもりで失敗しましょう!」ってネ
要は緊張しまくるのはリハーサルでして沢山恥かいてスッキリして良い意味で軽くプレッシャーかけて初日に臨んだ方がよいかなと…
「緊張はするからね無理に抑えないで緊張しまくった方が良くてただアガるのは良くないからネ
だから緊張しまくるとアガらなくなるんだよ」
緊張とアガるは違う
つまりはそれが許されるというか試せるのが
このゲネプロリハーサルって事
この意見を言って下さったのがこの小屋主さんの木村さんだった
昨日の場当たりの時にたまたま小屋の後方にある事務所にいらしてて丁度休憩時間で初舞台のH君が
「いやぁ!緊張して来ましたね…」
階段の踊り場が喫煙所になっていて一服していた木村さんが話しに入ってくれた
「木村さん!どうなんですかね?緊張?」
と自分が聞いた
するとこう続けた…
「アガるってのは緊張を解こうとして無理に落ち着かせようとして自分を見失ってしまうんだよね…だから無理に抑えないで緊張しまくったまま芝居をやると最初はキツイけどある瞬間突き抜けるからさそうすると力が抜けた良い芝居が出来るんだよね!そうすると自分は緊張から逃げなかったってなるし緊張を怖がらなくなるんだよねでも少しの緊張は油断を遮断してくれるから必要なんだよね!でも抜ける経験を重ねると程良い緊張でとどまってくれるんだよね…」
流石早稲田の劇研出身である(笑)
「なるほどですね!」
「あっいけねぇ!ただで教えるとこだった(笑)
今の分は劇場費に入れとくからね!(笑)」
H君の表情が少し和らいだような気がした
「ありがとうございます」

そして翌日このゲネプロが開始されたのだが
ココでまたまた?アクシデントが発生した
失敗をする最後のチャンスがゲネプロなんだけど稽古の時もう少し目を配ってた方が良かったか?


着物の着付け…稽古場での出来事

「あのさコレぐらい出来ないとさ…ていうか座長さんに教えて貰うか知らないなら知ったかぶりしないでワタシに聞いてくれたら良いのに!」
実は衣装をつけて稽古しようって時に
またまたTさん爆弾が!
自分の彼女のNが涙目満載になって説教されていたのだ…
あちゃー!参ったなぁ
「それアレだね個人的に時間とってやろう!」
稽古を中断するワケにもいかず思わずそう言った
稽古場の空気はまたまた凍り付くかと思いきや
グッドタイミングでY君が入って来た
良い意味で空気を読む事が苦手なY君は稽古場に入るなり一瞬休憩時間と勘違いしたのか
「ガラさん!ポスター作って来ましたよ!」って
ドヤ顔で額に汗びっしょりで…
あちゃー!
でもコレがなんと怪我の功名に!
イヤ!
やっぱり結果的に不味かったのだ!
着付けも稽古の中でちゃんとやるべきだった!
だのにAさんは呑気なトーンでポスターを見やると
「オッ良いね」
あちゃー!
結局着付けは家でやったんだけど
にしてもY君のポスターの出来は良かった
流石油画作家だけのことはある
このY君に関しては山ほどエピソードやらハプニングやらアクシデントやらがあるのでまた追って話させていただきます(笑)

するとTさんが
「ちょっと稽古やるの?やらないの?」
キョトンとしたY君の顔が場を和ませる
「やりますよ!」
「稽古中だったんですね?すいません!」
自分の耳元で呟くようにY君が言った
そしてまた呑気なトーンでAさんが
「やろうやろう」
着付けが上手く出来ない彼女はその涙をそっと拭いながらも帯を締めていた
その彼女の方ををまたまたキョトン顔でY君が見つめていた(笑)

小屋のせいには出来ないけど
狭くて暗い小屋での着付けは予想以上にきつかったのよね
「ちょっと待って下さい!」
ゲネプロ中の劇場内を異様な空気が支配した
場当たりでは出来てた早着替え
大した着替えではなかったがやはり帯を替えるのは難しい…
コレが明るくデカい所謂ちゃんとした楽屋なら…
イヤイヤよそう!
結局のところなんとTさんが寸でのところで
着付けを助けてくれて間に合った
然も彼女Nのセリフ言いながらの出番だったのだがワザと袖中で一発セリフを言ってから
慌てずに出て来たのだ
なんとこのアドバイスも瞬時にTさんがNに耳打ちしたのだ
参ったネありがたかったネ
流石Tさん!
勿論このアドバイスやらはこん時は知らず後でNに教えて貰った

改めて芝居はチームプレイダネ
然もピンチの時に冷静になって考えられるヒトには絶対に勝てないよね?

そして何よりもこのゲネプロをイヤ公演を助けてくれた恩人仲間がいた
自分のバイト仲間たちである…
この辺りの話もたっぷりとしないといけない

ゲネプロはその後も行ったり来たりの大騒動となっていった
うん!良いネ!
だって失敗は今のウチだからね!
なんか全然違うけど箱根登山鉄道のスイッチバック方式みたいな気がするのは自分だけかしら(笑)

行って戻ってまた前進(笑)
繰り返しながら登るぜ!
えっ?

お前のブログもスイッチバックだな!

正解です(笑)


1988年10月

たまに記載しないと忘れてしまうので(笑)



そして……