ノルマ…
小劇場演劇が出来上がるまでに恐らくは一番
ネックになるモノである
台本や役者
劇場探しは勿論だけどこれらを制作するには
お金がかかる
制作費をどうやって集めるか?
H君の台本が出来上がる迄に制作の見積もりを
出さねばならない
芝居の規模というかスタイルにもよる
例えば一人芝居で素舞台ならさほど制作費はかからない
がしかし仮に一人の役者でスタッフさんのギャラやチラシチケットを捻出するのは容易ではないプラス作演出費もかかる
今の時代はSNSが主流だからかなりのコストダウンが計れるかもしれませんが当時は何をするにも金がかかる
作演出出演を自分がやってその分は費用がかからないとしても結構かかる
先ずは
劇場費
照明スタッフ費
音響スタッフ費
舞台監督費
チラシチケット代
衣装小道具費
受付劇場スタッフ費
まだまだ細かいところでお金はかかる
仮に上記の見積もりを出すと
規模にもよるが
因みに自分たちの時は今から約35年前だが
およそ50万円位だったかイヤもう少しかかったかもしれませんネ
然もこの時今だから言えるが
劇場費用とチラシチケット印刷費以外は殆ど
自分の仲間内で弁当代と飲み代で手伝って貰った
照明音響オペレーターもだ
でもって舞台監督も自分が兼ねた
衣装小道具もあり物借り物でやった
兎に角役者の熱と力で何とか乗り切っていくしかなかった

もう一つ補足すると劇場費も築地のバイト時代の先輩の持ち物だったからかなり安くして貰った
今考えるだけでもゾッとするよね(笑)
恐るべし根拠のない自信と情熱
頼るべきは隣の他人(笑)
本当にあの時のスタッフさんお手伝いさんには今だに頭が下がります
必ず恩返しするので自分が売れる迄待ってて下さいってまだ恩返ししてないのかよ!(笑)
頑張ります…

ノルマは当然だがスポンサーを探したり役者の頭数で割って制作費を捻出するのだが
この頃他劇団の皆さんはチラシの裏の下の方にスポンサーさんを募り一口いくらみたいにして掲載料を頂き印刷代の足しにした

コレが中々に難しい
何せコレから旗上げする弱小役者の自分にお金を出してくれるところなんて中々無く
知り合いの企業さんに頭を下げて何とか掲載させて頂いた
頭割りのノルマは例えば見積もりを若干多く見積もってそれを単純に人数で割る
60万円なら6人いたとして10万円のノルマ
当時チケット1500円〜1800円位だったので
一人あたり65枚位になるだろうか
決して少なくない
然も自分以外は劇団員でもないのに
かなりのリスクを課してしまう
辛い…
その代わりと言ってはアレだがチケットバックは良い条件にして何とか購買意欲を高めて貰うようにした
その方法とは
仮にノルマ65枚チケット代1500円とした時
65枚以上一枚でも多く売り上げた場合には
チケット代1500円まるまるバックにした
中々簡単ではないが皆思った以上に張り切って売ってくれた
その後のチケットバック方法はまた次回にお話しさせて頂きます
経験を重ね色々な制作力を身に付けましたネ(笑)

そうして
待つこと2週間
遂に
H君の台本が完成した…

H君の魂こもった台本には幾つかの消しゴムで消した跡と鉛筆の芯で黒くなった書き跡が
その情熱を物語っていた

自分は瞼が熱くなるのを手で押さえながら
その原稿用紙をめくった



その前に取り敢えずの脱稿を祝して
H君と飲みに行った
気がつくと
あたりはもうすっかり

太陽が…

ウッ

瞼が熱い!(笑)

帰ってから一眠りしてから台本読みます(笑)

ダメだこりゃ!







そして……