そりゃ無いぜ!
安田君と一晩中話した
お互いのやりたい芝居の話しが中心だったが最終的に2人とも辞める方向で話しが一致したがいきなり辞めるってのもアレだしって事で次の公演に参加して辞めようって…
ところが翌々日稽古場に行ったら何やら皆集まって深刻な空気を醸し出していた
その中にはより一層深刻な顔つきの安田君がいて何やら皆に話していた
途中からそっとその輪の中に加わった自分の耳にとんでもないワードが飛び込んでは突き刺さった
「辞めさせて貰います」
色々喋ってたがその言葉が一段と響いた
えっ⁈
次の公演迄はやるんじゃなかったのかよ!
そりゃ無いぜ!
やられた‼︎
正にミニクーデターだった!
安田君は自分にも深く頭を下げて
その場を去ろうと立ち上がった
と
松本君が「ちょっと待ってよ!」
場が凍り付いた
そりゃ無いぜ
そりゃ無いぜ
自分の脳みその中でこのワードだけがぐるぐるとリフレインしていた
もはや何も見えなかった何も聞こえなかった
松本君が言った
「お父さん(安田君)!そりゃ無いぜ!」
自分の脳みその中のワードがピタッと重なった
そりゃ無いぜ!
そして…