別れ…そして…!
結局その翌日の朝は殆んど眠れないまま夜があけた……
それは姉さんや兄さんも同様だった
その日の朝はまるでウサギの朝食会の如く皆一様に赤い眼をしてテーブルを囲んだ……
外は相変わらずの夏の陽射しが楽屋の窓を照りつけはじめていた……
客席もいつもの様にセンターのパートのおばちゃん達が湯呑み茶碗をテーブルにガチャガチャと並べる音が聴こえてくる……
いつもと変わらぬ朝の風景
ただひとつを除いては………
「頂きます!」
何となくおごそかに朝食会は始まった
姉さんの目線は何気に楽屋の廊下を気にする様におくられていた……
それは病院からかかってくるであろう電話がその廊下を出て舞台袖の手前に有るからだ……
沈黙の朝
いつもなら拳兄さんがネチャネチャと納豆をかき混ぜる音とテレビのモーニングショーの能天気な声が食卓のBGMとなって賑やかな筈だが
今日に限ってはその音達はなりを潜め代わって柱時計の秒針がそれにとって代わった……
静寂……
いつもと変わらぬ朝なのに食卓だけは……
いつもと違っていた……
その中を静かにこじ開ける様に座長がその静寂を解いた!
「今日の演目……」
が
そういいかけて
「今日……舞台はねたらみんなで大川さんとこ行こう……」
と
言葉を変えた……
と
姉さんが…
「今日の演目…あれやろうか?」
「えっ?」
「あれだよ……」
あれとは師匠がこの一座で一番好きな演目
「俵星玄馬だよ!」
俵星玄馬……
座長と師匠の看板浪曲芝居だ
「ああ……そうだな……俺も玄馬が良いと思ってた……」
「そうしよう……」
姉さんは座長の質問には何故か答えぬままだった
「舞台はねたら大川さんのとこ行こう…」
この言葉に
その真意は分からぬが恐らくは姉さんの中で師匠が今日の夕方迄持たないのではという思いがあったからに違いない?
が
実状は全てのショーが終わらないと病院へは行けない………
一様に複雑な思いを胸に無理矢理飯を喉の奥に流し込んだ……
朝食会が終わり片付けに入って皆化粧の準備に取り掛かった
下地のビンつけ油を顔にぬり赤のドウランを目の回りに塗り眉潰しの太白を塗り鼻筋を茶のドウランでたて練り白粉を刷毛につけ額から塗りたくりスポンジで叩こうとしたその時ある音が耳に障りその手を止めた!
廊下の奥にある電話が鳴ったのだ!
自分が取りに行こうとしたがそれを制する様に姉さんが立った……
けたたましくなるその音が程無くして姉さんの声に変わった……
「もしもし!はい!」
再びの静寂が楽屋を包み込んだ!
外は相変わらずの夏の陽射しが楽屋の窓を照りつけていた……
そして………
結局その翌日の朝は殆んど眠れないまま夜があけた……
それは姉さんや兄さんも同様だった
その日の朝はまるでウサギの朝食会の如く皆一様に赤い眼をしてテーブルを囲んだ……
外は相変わらずの夏の陽射しが楽屋の窓を照りつけはじめていた……
客席もいつもの様にセンターのパートのおばちゃん達が湯呑み茶碗をテーブルにガチャガチャと並べる音が聴こえてくる……
いつもと変わらぬ朝の風景
ただひとつを除いては………
「頂きます!」
何となくおごそかに朝食会は始まった
姉さんの目線は何気に楽屋の廊下を気にする様におくられていた……
それは病院からかかってくるであろう電話がその廊下を出て舞台袖の手前に有るからだ……
沈黙の朝
いつもなら拳兄さんがネチャネチャと納豆をかき混ぜる音とテレビのモーニングショーの能天気な声が食卓のBGMとなって賑やかな筈だが
今日に限ってはその音達はなりを潜め代わって柱時計の秒針がそれにとって代わった……
静寂……
いつもと変わらぬ朝なのに食卓だけは……
いつもと違っていた……
その中を静かにこじ開ける様に座長がその静寂を解いた!
「今日の演目……」
が
そういいかけて
「今日……舞台はねたらみんなで大川さんとこ行こう……」
と
言葉を変えた……
と
姉さんが…
「今日の演目…あれやろうか?」
「えっ?」
「あれだよ……」
あれとは師匠がこの一座で一番好きな演目
「俵星玄馬だよ!」
俵星玄馬……
座長と師匠の看板浪曲芝居だ
「ああ……そうだな……俺も玄馬が良いと思ってた……」
「そうしよう……」
姉さんは座長の質問には何故か答えぬままだった
「舞台はねたら大川さんのとこ行こう…」
この言葉に
その真意は分からぬが恐らくは姉さんの中で師匠が今日の夕方迄持たないのではという思いがあったからに違いない?
が
実状は全てのショーが終わらないと病院へは行けない………
一様に複雑な思いを胸に無理矢理飯を喉の奥に流し込んだ……
朝食会が終わり片付けに入って皆化粧の準備に取り掛かった
下地のビンつけ油を顔にぬり赤のドウランを目の回りに塗り眉潰しの太白を塗り鼻筋を茶のドウランでたて練り白粉を刷毛につけ額から塗りたくりスポンジで叩こうとしたその時ある音が耳に障りその手を止めた!
廊下の奥にある電話が鳴ったのだ!
自分が取りに行こうとしたがそれを制する様に姉さんが立った……
けたたましくなるその音が程無くして姉さんの声に変わった……
「もしもし!はい!」
再びの静寂が楽屋を包み込んだ!
外は相変わらずの夏の陽射しが楽屋の窓を照りつけていた……
そして………