有限会社の社長だった母は生前、将来のこの仕事もいくらでやりますとか、タダでやりますという話をあちこちのお客様にしていました。
僕の会社は、経営者も商号も本社所在地も母の会社とはまるで異なる別会社です。
そして、母の会社は平成の時代に解散を申請しております。
つまり現在は事実上存在していません。
しかしながら、母の言ったことを信じているお客様に対して、
別会社だからそんなことは知りません
というのはあまりに申し訳ないので、僕が受けているのです。
が、やはり一円も貰っていない相手に対してタダで仕事をするというのはとても大変なことです。
ましてや、母が作った借金や負債を負ってているし、母の会社で働いている際も給料を満額もらえず、昇給もなく、なんの蓄えもない状態です。
この仕事をしている理由は、借金負債をゼロにすることと、お客様が困ることのない様にとの思いで続けています。
けれど資金がなくなり、僕が新たに借金をしてまで続ける必要があるのか。
借金や負債をゼロにし、後世に残さないためにやっているのに、もっと増やしてどうする?
大企業はよくやりますよね。
いきなり値上げやサービス内容を改定するってこと。
物価が上がれば原価も上がる。
けれど販売価格は昔お客様に伝えた金額のままとか、無料というのはどう考えても無理がある。
で、一歩下がって考えてみると、まず将来もいくらでやりますからという話ですが、それって安くなければ意味がないですよね?
他社さんが値下げしたり、新規参入で安い業者が実際出てきていますが、そこと比べて母の言った金額が高い場合、お客様の1番のメリットと思われたことが消えてしまうことになります。
それが絶対にうちしかできない仕事であったり、契約や規約などによりうちに依頼する以外の選択権がない場合は仕方ありませんが、いくらでやりますよという一見お得な言葉が、逆にお客様が他社にご依頼する機会を奪ってしまっていることに気づきます。
逆に周囲が値下げしてもうちはその金額でやるという話になっているからそれをいただけるのであれば、うちにとってはありがたいことです。
また別の話ですが、近所の同業者で作る組合がありまして、昔はいくつかの商品の価格は暗黙の了解的にどこも同じ金額でした。
それを見たあるお客さんが公正取引委員会に訴え、価格協定に当たる可能性があると指導を受けました。
その結果、組合加盟店が価格を自由に決めて提示できるというかすることになったのです。
で、この話はそもそもお客さんが近所の同業者で示し合わせて高い金額を取ろうとしていると思ったことが発端の様です。
ところが実際は、長いこと大幅な値上などしてきていなかったから決して高い金額などではなく、さらにはうちの両親がやっていた様な小さな会社も支店がたくさんある様な大きな会社と同じ様に皆一律に安値を提示するのはかなり厳しいものがありました。
そこにお客さんが訴え出てくれたことで、うちのみならずどこの会社も安心して値上げすることができたのです。
お客さん、それで満足しましたか?
うちは助かりましたよ。
まぁたまたま他社さんと同一価格ということならありうるけれど、暗黙の了解的に示し合わせて同じ価格にすることはいけませんという話でしたが、なかなか長いことその価格でやってきたため、変えなさいとか変えてもいいと言われても何を基準にいくら値上げもしくは値下げしていいのか見当がつかず困ることも少なくありません。
どの会社も示し合わせて同じ高い金額を取ろうとしているってのが面白いし大きなお世話です。
カルテルに相当する可能性って小規模な会社の商店街で大袈裟なって気もしますし、そもそも嫌ならそのお客さんも別のところに依頼すればいいだけの話。
それを公取委に訴えて安くしようという魂胆が笑ってしまう。
ましてや皆結局値上げしたってことになったなら何がしたかったのかという話。
ただ腹が立ったから困らせてやろうという魂胆でしょうか。
大きな会社に金額を合わせていたうちにとってはありがたいことでしかないのですが。
もともと誰がいくらで販売するかは売り手が独自で決めることですし、お客さんは必ずそれを買わなければならないことではありません。
役所などの公的機関で他に代わりがないなら高値を提示されたら皆困るでしょうが、ただの一企業ですから本来お互いに何の縛りもなく、お好きなところで買えばいいのです。
仮に独占契約の様なことになっていたのなら、その会社のそのサービス商品をお買い求めたお客様に落ち度があったのではないでしょうか。
そんな話で独占契約でない場合は価格やサービスに疑問に思ったならどんどん他社さんに目を向けて欲しいです。
得だと思っていたけど、実は価格面では安くなかったなんてことがあるかもしれませんから。