24-01-24 むかしばなし | ヤマダ・マサミ ART&WORK 検:ヤマダマサミ

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主に仕事に関わる、特撮、怪獣がらみのブログです。
ときどき、猫が登場します。

24-01-24 むかしばなし

人は同世代との会話に遠慮がいらないぶん共通体験を大きく語り合います。毎回同じ話題になる事も少なくありません。老人初心者のぼくも同世代と、60年分の体験談に花を咲かせることで日常の力が湧き、これからの残り時間と照らし合わせて、腰が痛いだの頻尿だの高血圧だの糖尿だのの苦笑いを共に楽しむんです。毎月やっていた飲み会はそういう場でもありました。生存確認などと言いつつ。

とはいえ、チクロの味の体験なんて平成生まれの人は知らないだろうと思っていると、意外と若い人も興味をもってくれる。

オタク以外の世界はどうかは分かりませんが、昭和のキャッチボールが始まれば、むしろ若い人側の受け取り方が面白く感じます。

その相互関係が社会性です。老いも若いも狭い了見のオタクにこそ世代を超えた関わりは大事なエネルギーになる。

ここ数年。庵野さんのシンシリーズを観に行くと、息子がいたなら一緒に映画館へ観に行ったのかなぁと感傷的に思う事がしばしありました。

古谷敏さんの光縁会で、7歳の息子さんがビンさんが書いた「ウルトラマンになった男」を読んですっかりファンになったと、連れてきた方がいました。

ビンさんはウルトラマンそのままですからね。子供と向き合うとなんだか微笑ましく素敵です。自分の幼少期を重ねたくなるんでしょうね。

7歳のぼくは、1968年に「ウルトラセブン」の最終回を見ました。翌週からなにが始まるのか、もうウルトラは見られないのか。ぼくの疑問に親は答えてはくれません。

でもいまの子は、小学校二年生なら漢字も読めますから、ビンさんの本を興味深く読み始めてもおかしくない。分からないところはお父さんが教える。いや、教えたくてうずうずしている。

そこから特撮への造詣を深めていくかもしれない。映画やテレビの裏舞台を調べるかもしれない。ビンさんの本は昭和の映画とテレビの時代、それと人とをよく描いている。あの本を起点に子供が夢を広げてくれたらと思っています。

ぼくの子供時分は大伴昌司がやった怪獣図鑑や少年誌の特集を熱心に読みましたけど親とそういう会話したことがありません。オタク趣味が共通する親と子の会話があるのは正直、羨ましいぐらいです。

特撮志向の親子二世代現象というのは90年代からありました。平成ウルトラ3部作の取材を続けていた頃、ヒーローショーに親が子供を連れて来て声援を送る。

懐かしいウルトラマンを子供に見せていたら、親が(30代前後が多かった)懐かしさ以上に目の前の若い俳優に惹かれていた。

インターネットやニフティがまだ課金制で、タイマーとにらめっこしながら横の繋がりを求め、情報が入るとイベントへかけつける。

平成ウルトラのトークイベントの企画と司会をさせてもらった時に、たくさんの大人の女性、お母さんたちが来てくれた。ま、そこから30年近く経っているので今頃は孫がいるかもしれません。

ビンさんに会いに来てくれた小学二年生の2人が、いつかハタチを過ぎて、あるいは結婚をする歳になっても、ずっと特撮を好きでいてくれたらなぁと強く感じました。

 

その話はそれとして。特撮は世代ごとに体験が違います。しかし、趣味の世界ですから欲が出ればすぐ時代の垣根を越えます。初代「ウルトラマン」を好きになった40代や30代と話すと自分が歳をとった感慨ではなくて、同じ土壌に立っている実感が素直に楽しい。

昔の娯楽のない田舎ならふつうに年上から年下へ伝える話に魅力があったでしょう。村の伝承や年寄りが話す怪談も。

ビンさんの集まりでぼくらは特撮ファンのベテランですから、昭和の歴史と照らし合わせながら映画やテレビの黄金期を振り返り、ビンさんがどの位置に居たのか話すと喜ばれます。

その過程でどうしてぼくやぼくらが特撮にのめっていったのか、きらきらした目で聞かれます。照れくさいですよねぇ。

ぼくに関しては中高時代に初めて大人の趣味としての特撮やアニメを味わった。そのタイミングが「宇宙戦艦ヤマト」や「スター・ウォーズ」でした。そのとき、ぼくらの先輩にあたる怪獣倶楽部のみなさんがマニア向けの本を出して、それに憧れた。

あの時代はとっても懐かしい宝の箱なんですよ。

と言うと、そのときに、

怪獣倶楽部って本当にあるんですか? と聞かれて、ああ、そう思うのかと感じました。

どんどん若い世代が中核に上がって来る。昭和なんて伝説なんです。

彼らはテレビのドラマ「怪獣倶楽部」を見ても、その同人が実在のものだとは思わなかった。

ビデオがない頃、16ミリフィルムを制作会社から借りて上映会をやった。映写機は市町村から借りられる(資格をとります)。同人誌なんてホチキスで止めたゼロックスコピーです。ぼくは青焼きコピーで出していました。きっと青焼き、なんて今の人は知らないでしょう。

鉛筆1本と紙1枚で無限に夢が広がった。

そこから1つ1つ階段をのぼっていまに辿りつくのに半世紀を擁した。楽しい苦労ばかりでした。

老若男女の共通言語に特撮がある。そういう場所を大事にしたいです。

 

昭和は伝聞の世界ですから性根を据えて同人誌を残さないといけないなと、いままた褌の紐を引き締めました。

入稿まで1週間ぐらい? 頑張ります。

 

ぼくのトクサツ物語別冊 愛蔵版 

ぼくのヤフオクカタログ1+2

マルサン商店ソフビ 

ウルトラQ

ウルトラマン篇

 

 

山崎貴監督の「ゴジラ-1.0」がアカデミー視覚効果部門にノミネート。本選は3月。とにかくお目出度い事です。理屈なんて要らないじゃないですか。日本映画が、ゴジラが、全米でこんなに認められるとは。

しかもフェイスブックを見ているとアメリカのファンの喜びようがすごい。ホント、お世話になります。と言う感じです。

 

山吉屋のシン・ウルトラマン塗装版、完売しました。ありがとうございました。ぼくはぼくで、小さな歩みですが、個人が出来る事を頑張ります。