イヤミラーとガヴァドン
日記に書いたものと同じ内容です。ガヴァドンの資料を集めましたので、せっかくだから再録・加筆で。
七夕でした。
東宝映画「ゴジラ」の特撮はじめ、TBSテレビ空想特撮シリーズを世に出した円谷英二さんの誕生日。
そして、ウルトラマンによって怪獣ガヴァドンが夜空の星にされた夜から50回目の七夕です(放送は66年10月23日だった)。
ガヴァドンは、子供が土管に落書きした絵に特殊な宇宙線が当たって実体化した怪獣で、現れてもなにもすることなくビル街で鼾をかきました。なにもしなくても日本の経済を麻痺させるので、科特隊は出動しますが、これと言って有効な攻撃はなく、日没と共に姿は消えていきました。
夜間、子供たちはガヴァドンをもっと強そうにしようと描き足します。そして強そうになった?ガヴァドンが翌朝また現れます。
立ち向かうウルトラマンへ子供たちはやめてくれ~と懇願します。そのうち、ばかやろう、なんて声も。
投げ飛ばして相手の体力を奪ったウルトラマンは、とどめを刺さずにガヴァドンを持ち上げると飛び上がります。
夜。河原で夜空を見上げる子どもたちへ、星の瞬きがウルトラマンの姿となって現れます。
「泣くな子供たち。毎年七夕の夜。きっとガヴァドンに会えるようにしよう。この星空の中で」
「七夕の夜、雨ふったらどうなるんだよ」
そんなしっとしたお話でした。
ガヴァドンは、「ひょっこりひょうたん島」のドンガバチョをもじったとされていますから、初稿「朝と夜の間」登場のイヤミラーも「おそ松くん」のイヤミから?でしょうか。特撮における、佐々木守の最初の執筆です。
ガバドンでないの? と問われれば、台本にガヴァドンとある以上は、それその通り、という事で。
成田さんのデザインは、例によって台本が出来る前で、二転三転しています。
イヤミラーとして描いたもの。
ミイラ怪獣として描いたもの。
イヤミラーとして描いた絵は、トドにトナカイの角が付いていました。気乗りのないデザインです。打ち合わせの発想なので、実相寺さん好みだったかもしれません。
台本が上がってイメージがかけ離れると、ミイラ怪獣として描いた絵をガヴァドンで使う事にします。
ミイラ怪獣は実はドドンゴの初稿でした。結局、人間が2人入る事に魅力を感じて、麒麟のようなドドンゴになったそうです。
ミイラ怪獣のフォルムを活かして、ガヴァドン(B)が完成します。
(A)の方は、画集で「動く抽象形態」と説明していました。
実相寺さんは著書「闇への憧れ」では、これをハンペンのようだとし、特撮班の嫌がらせだとずいぶんがっかりしています。
後年、その事を言いましたら、いま思うとあれで良かったと苦笑いされました。あまりに素直なので、びっくりですよね。
ファルシオンにもらったガヴァドンのソフビを監督へプレゼントして喜ばれたのが「ウルトラマンティガ」の時です。30年かかったんですね、成田さんの真意が伝わるのが。
高山さんの作業はそう難しい事はなかったようですが、四つ足怪獣は頭が下がってしまうのが欠点で、テコの応用で、役者の頭を支点に怪獣の頭を上げ下げ出来る細工を考えました。
ちょうど高山さんが日本橋の歯医者へ通っていた時期で、ガヴァドン、立派な歯が付いています。
この前の話(ガマクジラ)から、ウルトラマンのスーツは新調されています(Bタイプ)。ラテックスから樹脂にされたマスクは鶏のくちばしのように尖った鼻先、少年のようなおちょぼ口。
ビンさんの長い手足が銀に映え、赤に映え、中性的な肢体に筋肉が誇張された細マッチョの、最高の見栄えでした。
個人的にはCタイプをはるかに凌駕するセンスだと思っています。
正統派の「ウルトラマン」の世界観の中で、佐々木さんの脚本はウルトラマンや科特隊へ向け皮肉めいた変化球です。
子供が主役でした。
いま大人の目でも見ても、お話もよく、怪獣も哀愁と愛嬌があって、ウルトラマンも優しくしてくれて、怪獣ファンは、だから、七夕の夜空にウルトラマンとガヴァドンを思い浮かべます。
ま、人生ほとんど怪獣がちらつきましたから、50回おおよそ、七夕の夜の度に、ガヴァドンを思い出すんですね。
織り姫でなく、怪獣なのが難有りですけど、ま、仕方ありません。
ところで、英二さんの誕生日は、福島でやった生誕100年祭のイベントで学芸員の方が親戚からうかがったところでは実際は7日でなく、との事でしたが、まぁ、夢のあるお話なので7日で。
・ガヴァドン(A)。動く抽象形態。今だったらCGでにょこにょこやれるんでしょうね。実相寺さんは縫いぐるみに絶望してハンペンと称していました。
・その造型物。まんま、エバーソフトを丸めたかのような。
・「朝と夜の間」登場のイヤミラーのデザイン画。
・上がガヴァドン(B)の決定稿。その下、ミイラ怪獣として描いたもの。ドドンゴでこの案はやめて、麒麟のようなドドンゴが完成。このミイラ怪獣を転用してガヴァドンが生まれました。
・怪獣の頭を上げ下げさせるための高山さんの操演案。
・アトリエメイで完成したガヴァドン。鼻先から背中へのラインが美しいです。
・撮影の合間のガヴァドン。背ビレ、紫なんですよ。
・本当にカッコイイ、ウルトラマン。赤いラインの緊張感がすごいです。こんなデザインの発想はないですよね。ビンさんの指先まで綺麗なライン、小さくぷりっとしたお尻も素敵です。







