などという美談が溢れている。
しかし著者の八十余年の体験によれば、
いくら努力してもダメなことは実に多いという。
つまり努力でなしうることには限度があり、
人間はその分際(身の程)を心得ない限り、
決して幸福には暮らせないのだ。

「すべてのものに分際がある」
「老いと死がなければ、人間は謙虚になれない」
「誰でも人生の終盤は負け戦」
「他人を傷つけずに生きることはできない」
「『流される』ことも一つの美学」
「老年ほど勇気を必要とする時はない」等々、
作家として六十年以上、
世の中と人間をみつめてきた著者の知恵を凝縮した一冊。