余命3日?今井雅之さんの大腸がん | 今日もいちにち生きました

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2016年、直腸癌が再発。
治療の結果、一生の障害を負うことになりました。
2022年胃がん発覚。2023年咽頭がん発覚
3つの癌を抱える今。
以前の私とは生き方が変わりました。
がんと闘い、生き抜くことができた日々。
今日という日をつづります。

今井さんは私が好きな俳優さんの一人です。

芝居が上手いとか
そういうレベルの話ではありません。

元自衛官という経歴から来るのでしょうか。

全身から繰り出す雰囲気が
彼が出るドラマに独特の緊張感を与えてくれていました。

その彼が大腸がんのため
舞台を降板する記者会見を開きました。

カメラのフラッシュの中、
大勢の記者からの質問に
とても真摯に答えているその姿がとても印象的でした。

抗がん剤治療を受けながらの会見ということですので
思考力も万全ではなかったはずです。

それでもその受け答えは明確で
「言いつらさ」というものを微塵も感じさせない
堂々としたものでした。


ただ、大腸がんという病を考えた時、
彼の答えた内容には私なりの疑問が残りました。
なぜなら、私も大腸がんですから。


会見によればその経緯はこうです。


昨年の夏頃、腸に異常を感じ病院へ
診断は腸の風邪・・・(なんだそれは?という感じですが)

11月 強烈な痛みのため、別の病院でCT検査。
すると大腸の上行結腸部に二つの巨大な腫瘍が発覚。
診断はステージⅣの末期大腸がん。

さらに二つの腫瘍の間が閉塞を起こしており、
通常の飲食を続けていたら
大腸破裂により即死の可能性を指摘される。


その上、閉塞部位が壊死を起こしていた。
手術不可能と診断され、告げられた言葉は「余命3日」

すぐに転院を決意し転院先で緊急手術。
腫瘍、閉塞部位、壊死部位を全て切除。

転移が疑われたことから
抗がん剤治療を開始。

副作用が仕事に支障をきたすことを理由に
抗がん剤は一時中断するも3月末から再開。

入院しながらの治療となった。

4月30日の会見は抗がん剤の入院治療中に行われた。


まず違和感を覚えたのは昨年夏の時点で
「腸の風邪」という診断をされたということです。

現在の日本の医療なら
少しでも大腸がんの疑いがあれば
まず間違いなく内視鏡検査が行われます。

胃がんや大腸がんの治癒率が比較的高いのは
カメラによる目視検査ができるからです。

にもかかわらず、
今井さんの場合はその検査が行われていません。

11月に大きな腫瘍が発見されたと告白していますが
その発見もCTによるものです。

もちろん、これほどの腫瘍が複数できていたわけですから
腸管を内視鏡が通らなかった可能性はあります。

そうであるなら、他に変わる検査法もあったろうし
それ以上に大変な病状であることぐらいはすぐに分かったはずです。

これほどの大病であるにもかかわらず
きちんとした精密検査が行われた様子が伺えず、

ただ「余命3日」という言葉だけが
独り立ちしてしまいました。

さらにその診断が
ステージⅣの末期ガンということなのですが
ステージⅣならば転移が確定しているはずです。

ところが実際にはがんと考えられる影は認められるものの
転移かどうかはわからない。
その可能性がある以上
抗がん剤治療を行っているという説明でした。

もっと言えば、
ステージⅣイコール末期ガンというのは早計です。

昨年の時点でなぜそのような診断が下されるのか
どうにも分かりません。

がん治療は後戻りはできませんが
これほどの進行度であれば
その自覚症状はかなりのものであったはずです。

しかるべき処置を受けていれば
違った結果になったものと思われます。

もしかすると今井さんの男気の強さが
逆目に出てしまったのかもしれません。

それでも彼は仕事に生きている男です。

仕事のためには少しでも長く良好な状態で
今の体を使い続けなければならない。

そのために彼が選んだのは
いい結果を求めるために次々と転院することでした。

通常の治療に加え、
免疫治療や食事療法もやったと聞いています。

その結果、彼がこの数ヶ月の間にかかった病院は6つに及びました。

上記で述べた、診断のばらつきや治療の一貫性のなさは
短期間に転院を重ねた結果なのでしょう。

今井さんが自分で説明した言葉だけからの
推察なので、実際のところは分かりません。

ただ、この状況になった今、
今井さんが自らのがんを
どう理解しているかは問題ではない気がします。


状況からみて彼に残された時間は
あまり長くは期待できそうにありません。

今井さんのがんは確実に
今この瞬間もその命を削っているのだと思います。

彼は真正面からそれを受け止め、
フラッシュが雨あられのように降り注ぐ記者会見に臨みました。

そして、集まった記者たちの
不躾な質問の一つ一つに
真摯な言葉で答え続けました。

がんの痛み耐え、
抗がん剤の副作用に耐え

何より命が尽きようとしていることを
感じ取りながら

仕事への希望を失わない今井さんに

心からの敬意を表したいと思います。