✩1月3日(土)つづき
「大変申し訳ございませんが・・・」
とANAの女性スタッフはメモを取り出しながら話を続けました。
「バンコクでお預かりした2つのお荷物でございますが、北京でお乗り継ぎの際にお一つだけ積み残しを起こしてしまいまして、只今、北京空港の方にございます」
ゲゲッ!!ロストバゲージだわ!!
でも、積み残しって分かっているから、〝ロスト〟ではないわねぇ!
〝ディレイバゲージ〟かしら?!
「つきましては、明日のフライトにてのお届けとなってしまいます。
ご迷惑をおかけしますことを中国国際航空に代わりまして深くお詫びいたします」
深々と頭を下げるスタッフさん。
さすがは世界のANAです。
謝罪するにも隙がありません。
これじゃあ怒るわけにはいきません。
「これがもしスーツケースなら問題はあまり無いんですけど、2人分のダウンジャケットを入れた大きなバッグだとかなり問題が生じます。
だって、コートも無しに北海道のこの寒空の下、どうやって過ごせばいいんですか?
特に私ぐらいの大きいサイズになると、すぐに買うというわけにはいきませんよ!」
「確かにおっしゃる通りですね・・・」
この時、あまりの突然さに、足の難治性皮膚潰瘍に塗る薬のことなどすっかり忘れてしまっていたのでした。
それはスーツケースの中のポケットに入れておいたのです。
ただ私はダウンジャケットが無かったら、私はともかくとしても、熱帯のタイから来たキムは凍死してしまう(←大げさ!!)と思ったのでした。
「では、どのお荷物が無いのかが確定してからのお話ということでよろしいでしょうか?」
「あ、はい。仕方ないですね」
と一旦、ANAスタッフと別れました。
それよりも問題はキムです。
まだバゲージクレームには出て来ていません。
また外国人用のレーンが見えるドアのそばに行ってみると・・・・・、
いたッッッ!!
やっと彼を見つけることが出来ました。
ところがキムは悲しそうな顔をして、私に手招きをします。
やっぱり何か問題があったんだわ!!
ブースの後ろ側に行き、
「彼の友人ですが(!)、何か問題でもありましたか?」
と私から入国審査官に聞いてみました。
「北海道で入国をするのに、滞在先が何故か東京都新宿区新宿2丁目XX-XXになっていますが、これはどういう意味ですか?」
「あぁ、それはまず札幌に2泊してから、東京に移動して私の自宅に1週間滞在することになっています。
それで最も長く滞在する私の住所を書いたまでです」
「それでは困ります。札幌での滞在先を記入して下さい」
「はい、分かりました」
私はすぐさま、その夜から2泊する予定の「東横イン すすきの南」と書き込みました。
するとキムのパスポートに入国したスタンプが押されました。
あー良かった!これで無事に日本に入国することが出来ました。
そして再びバゲージクレームに移動しました。
ターンテーブルは既に回っていました。
さぁ、出てくるのはスーツケース?それとも大型のバッグ?
はい!
出てきたのは大型バッグでした。
ということは、北京空港に置いてきぼりにされたのは、スーツケースの方でしたね。
しかし、これで寒さを感じることなく、札幌に向かうことができます。
キムに英語で一連のことを話しておきました。
そしてバッグからダウンジャケットを取り出し着ました。
これで防寒はOKです。
キムのスーツケースを持って、2人揃って税関のカウンターに並びました。
いた職員は若い女性でした。
「このビニール製のバッグの中身は何ですか?」
あらま!マニュアル通りの質問だわ!!
「2人分のダウンジャケットを入れておきましたが、さっき取り出したので、中には何も入っていませんが」
「開けて確かめても良いですか?」
「どうぞ、なんなりと」
職員はジッパーに手をかけ、思いっきり開けました。
すると、バリバリッという音とともにジッパー自体がバッグから取れてしまったのでした。
一瞬の沈黙。
「おいおい、いくら検査とはいえ、国民の大切な荷物を税関職員が壊すんじゃないよ!!
強く抗議します!!!」
とその職員に詰め寄りました。
「も、申し訳ございません」
頭を下げる職員。
でも、これ、壊れても当然のシロモノなんです。
なんせ、前日にBIG Cでダウンジャケットを航空会社に預けるためだけに買った、たった120バーツ(約400円)のバッグですから、すぐに壊れても仕方ないんです。
それを念頭に入れての買い物でした。
でも税関職員がやってくれちゃったのでした。
この騒ぎに彼女の上司も出てきて、
「これはうちの者がやったのですか?」
と聞いてきました。
「はい、そうですよ」と私。
「それは大変申し訳ないです・・・」
と頭を下げてくれました。
本当は怒ってはいなかったし、キムの手前もあるので、このへんで折れることにしました。
「でも、今回はタイから来た友人も一緒にいることだし、大目に見ます。
次回からは荷物の取り扱いに気を付けて下さい」
「分かりました。大変失礼しました、ではどうぞお通り下さい」
・・・・・ということで、無事に税関検査は終わったのでした。
そして到着ロビーに出ました。
キムは喫煙所でタバコです。
私はといえば、そこで先ほどのANA職員と再び会いました。
そして翌日のスーツケースの税関検査はANAが私の代わりに受けて、ホテルまで送るという段取りの説明を受けました。
そのためにスーツケースの鍵も貸してほしいとのことだったので、それをお渡ししたのでした。
これで到着手続きは全て終わりました。
何か大変だったわ!
羽田や成田ではこんなことは起きないのにぃと感じた次第です。
それから通路を国内線ターミナル方向に歩き、JRの駅に向かいました。
ただ、この通路がまた長く、息を切らしたほどの距離でした。
恐らく300mぐらいはあるかと思います。
やっとの思いで国内線ターミナルに着き、地下にある切符の券売機の前に着きました。
今回は快速エアポートで札幌まで移動することにしていました。
切符も絶対に座れる〝Uシート〟という指定席券を購入しました。
そして駅に入り、プラットホームに降りると・・・・・
ここでまたトラブルが発生したのでした。
・・・・・つづく。




