あなたの人生にとって、最優先事項って何でしょうか?
ガンになる前の私の最優先事項は間違いなく仕事でした。
頑張って仕事をして、地位も名誉も、そしてお金も得ることが、自分にとっても家族にとっても一番大切な事だと思っていました。
しかし、それは長い人生というスパンのなかでのこと。
私はがんになって、5年生存率20%という事を知ったときから、人生を長いスパンとして考えることが出来なくなってしまったのです。
したがって、それまで持ち続けてきた最優先事項である仕事も何のためにやっているのか?も解らなくなり、イコールそれまで必死に得ようとしてきた地位も、名誉も、お金も得ることが出来なくなってしまいました。
そして当たり前のことですが「死にたくない!」が最優先事項となり、必死に情報や知識を漁り、あれこれやるようになったのです。
しかし、それはこれまでの人生という長いスパンが見えなくなったことで、「それを取り戻したい!」「嘘であってほしい」といった、現状を否定する気心が根底にあり、当てもなく彷徨っている状態だと気付きました。
それに気づくことが出来たのは、人生を長いスパンで見えなくなったのだから、見ないようにしようと開き直ることができたから。
つまり、この先いつ死ぬか解らないから不安になり、いつまで生きれるか解らないから彷徨っていた自分から、もともと人はいつ死ぬかなんてわからないものだし、たとえいつ死んでも良いと思えるような生き方をしようと決めたという事です。
すると必然的に最優先事項は短いスパン、それも今日とか明日という極々短いもの。
もともと再発したら早ければ半年の命、早ければ3か月のこともなんて言われていたので、1年なんて中期スパンなんて考えられるはずもなかったので、「もし明日死ぬとしたら」といった最優先事項を選択することが出来たのでした。
するとどうでしょう?
ほとんどのことが上手くいくようになり、生きている実感がわくようになり、生きることが楽しくなってきたのです。
やりたいと思ったことは、先送りはせず、すぐやる今やる、。
思ったことは、口に出す。
嫌なことはしないし、きちんと嫌だという。
家族にお金や財産は残せないから、親として夫として家族がこれから先、生きていくうえで何か役に立つような、どう生きたかという記憶を残す。
すべて一番大切にしていることは未来ではなく、今の自分。
そして未来というものは、今の積み重ねでしかない。
したがって、今を良くしなければ未来が良くなるなんてことはあり得ない。
そんな当たり前でシンプルなことが、はじめて分かったのでした。
私たちは普通に暮らしている時はどうしても人生という長いスパンや、何歳までという中期のスパンでビジョンを立てて目標とすることで、自分を制し取捨選択をします。
しかし、それが上手くいかなかったり、病になったりというピンチの状態に陥ったとき、多くの場合は最優先事項を先のことにしてしまっている場合が多いような気がします。
それは、未来のため、子供や家族の将来のため、といって今の自分を気持ちや感情、そして考えを封印してしまっていたから、そうなってしまったともいえるではないのでしょうか?
だから、そんな時こそ、その時の今の自分にとって何が最優先事項であるかで取捨選択をすることで、今を良くすることが必要なのです。
何度も言いますが、未来は今の積み重ねでしかないのですから。