日立市地域産業創造賞
前回の事業概要に引き続き今回は、実施のポイントとして事業実施上の問題点とその解決策などについて紹介します。
事業実施のポイント
1.品質向上等における問題解決
○原材料の安定確保
【大豆】
農産物における貿易自由化の進展により、多くの納豆商品が安価な輸入大豆を使用し、商品の低価格化が進展してきた。しかし、輸入食品の農薬残留問題等の発生により、国産大豆への需要が高まり、価格が3~4倍へと上昇した。本事業は、日本食文化の一つである納豆の味にこだわることをテーマとしているため、安全でかつ日本人の味覚に合った国産大豆の安定確保が重要な課題であった。
そのため、インターネットを活用し、各産地の収穫状況をはじめ国内大豆市場に関して多くの情報収集を行うとともに、仲買業者とのネットワークを強化するなど、良質な国産大豆を可能な限り安価で購入できるルートの構築を行ってきた。
【金箔】
菊水ゴールド納豆には金箔を使用するが、金取引市場は相場変動が著しく、日常の加工食品に使用するには、より安定した価格での確保が大きな課題であった。このため、毎年、北陸地方にある金卸業者や金箔製造事業者を訪問、直接交渉により使用条件に合ったものを探し出し、低価格での安定確保に努めている。
○製造方法の確立
商品一つ一つについて高水準の品質を実現するためには、納豆菌の醗酵状態の見極めを修得することが最も重要な課題であった。茨城県工業技術センターからの技術指導を仰ぐとともに、試行錯誤を繰り返しながら、高品質納豆を製造するための“見極めのコツと適切な措置対応のノウハウ(醗酵管理技能)”を確立した。
○食品安全衛生の徹底
食品加工産業における商品安全性の確保は極めて大きな課題であり、日常の衛生管理の徹底が求められている。弊社は、素材の安全性、作業場や作業員に係る衛生管理はもとより、製造過程の作業ごとに関係機器の清掃を実施することで雑菌の完全排除に努めている。
この結果、本件事業の開始以降、商品に対する消費者からのクレームは発生していない。
2.販路の開拓における対応
○イベント参加によるPR販売
新商品の開発及び販売促進を戦略的に展開するに当たっては、いかに消費者の反応を見極め、事業へ反映していくかが大きな課題であると言える。弊社商品の受注先のうち60%以上は、店舗販売が占めているという状況にあり、インターネットによる通信販売件数が年々増加傾向にあるが、地域に根ざした事業展開を基盤とすることが重要であるということは変わっていない。
このような観点から、顔が見える場所での直接販売において、消費者とのコミュニケーション構築を目指し、早くから市内イベント等における出展販売に参加することで実績を積み重ねてきた。また、地域イメージ向上にもつながる地域外イベントに関しても積極的に出展し、日立の納豆として普及促進に努め、併せて、商品開発や販路の拡大の一助としてきた。
○新商品に係る付加価値の創出
集客力のある大型スーパーマーケットからの受注を確保するためには、品質・安全性などの商品力向上とあわせ、売れる商品としての付加価値の創出が課題であった。
このため、納豆製造工程の1つである、醗酵を深夜まで管理し、品質の安定を図っている。TV、ラジオ、新聞、雑誌など、多くのメディアへの積極的な対応を図るとともに、全国納豆鑑評会への出品を精力的に実施してきた。
開発した商品に関して、それぞれ高い評価を獲得することができ、販路の拡大に結びつけることができた。
次回は、波及効果調査として市民生活や地域産業に及ぼす効果などについて説明します。