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遅くなりましたが、私からも「あけましておめでとうございます!」(^^♪
ガーデニング・ブーム、珍奇観葉・多肉ブームがいよいよ落ち着いてしまった園芸業界・・・・・
なんだかぼんやりした景色が広がっているような感覚が拭えませんが、←たんに、歳のせい?
きっとどこかに、次の道への手がかりが見つかるはず。見つからないなら、造ればいい。
今年は、例年よりもさらに「自分たちらしく」を意識して、頑張っていきたいと思います。
皆さまに見守っていただけましたら嬉しいです。
さて。
namiさんに剪定ネタは譲ってしまったので、
今回はディッキア話になります。ガーデニング系の皆さま、ごめんなさい。
今回は、赤黒葉の品種をご紹介。
え? どれも同じように見える?
私もそう思います・・・・・。
でも、ひとつひとつ違った顔をしています。
葉色は似ていても、
葉っぱが細かったり、太かったり、長かったり、短かったり、トゲの大きさとか間隔とか・・・・・
え?
やっぱり、ほとんど同じに見える?
ええ。
私もそう思いますよ。仕事じゃなきゃ、ここまで集めません・・・・・。
でも、実は、
上の7枚の写真の中に、ひとつだけ、某・有名育種家さんが作出した、品種名のある高級品が混ざってたりします。
ざっと見て、一瞬で「これだ!」と見分けた方は、まさにディッキア・オタク マスター! 答えは文末に。
さて、クイズを出してる場合じゃない。正解しても賞品はありません。
この時期のディッキアの管理で気を付けたいのが、「寒気」。
テレビのお天気お姉さんやお兄さんやおじさんの言葉を素直に信じてしまっていては、
大切な多肉たちを守り切ることはできません。
夜間~明け方の急激な冷え込みには注意したいものです。
うちのサンルームは無加温なのですが、
店内とサンルームをつなぐガラス戸を開けっぱなしにして、
建物内にたまっている暖かい空気が少しでも入るようにしています。
さらに、寝る前に「なんか寒いぞ?」と嫌な予感がしたときは、
電気代に目をつむって、
店内のエアコンが真夜中に2時間ほど動くように、タイマーセットしています。
もちろん気休め程度にしか温まらず、すぐにエアコンが止まればすぐに冷えてしまうようですが、
いったん寒さが中断されるだけでもマシなのではないかと・・・・・。
ちなみに昨日、朝6時の計測で、サンルーム内の気温は0℃でした。そろそろ冬が本格化ですね。
そんななか、こんな現象がたまに発生します。
タネから作った子どもたち。パッと見、特に異常はなさそうだけれど・・・・
この子、なんか葉っぱの色が抜けて、緑色がかってきた・・・・・。
となりの株も、なんだか色あせたような・・・・・。
こっちの株は、逆に真っ赤っかに変色。なんかシワが寄ってるし・・・・。
こうした妙な変化が起きたときは、あわてずに原因をひとつひとつ探ります。
可能性① 光不足?
可能性② 寒すぎる?
可能性③ 病気?
可能性④ 水切れ?
※写真だけで原因がわかった方はかなりのベテラン、腕利きのディッキア・ドクターですね!無免許Dr.。
検証① サンルームのよく陽の当たる場所なので、日照不足ではない。周囲の株にも問題はない。
検証② 寒さで黒ずんだ赤に染まることはあるが、緑への褪色や明るい赤色にはならない。
検証③ ディッキアで病気なんて、聞いたことない。
検証④ そういえば、昨年末から水やりしていなかった気が・・・・・。
持ち上げてみたら、鉢の中がカラカラになっていました。水をやったら、2日ほどで元に戻りました。
多肉はかなり放っておけますが、見守りは常に必要ですね。
特に、赤黒色で細葉の個体は、水切れが顕著にあらわれる印象です。
※通常の植物は、細葉の方が乾燥に強いです。多肉は太葉のほうが保水性があります。
わずかでもトリコームがある品種は、細葉であっても水切れに強い気がする。写真は4OJ S XX - 1-3。
こちらも問題ないみたい。サウスベイ・ティボー。
こちらはダウソニー(Bill Baker's)。マルニエル・ラポストレイ以外の原種は、寒さにも乾燥にも強いよね。
ところで、管理の話に触れましたので、我が家のこんな例を。
葉が短くて、がっしりしている株。
こちらは葉っぱが長い株。
こちらの株は分厚いトリコームで、中心部は真っ白・・・・。
姿がかなり違うので、どれも異なる品種のように見えます。
しかし実は、上の写真は、どれも「Dyckia ‘Heaven and Hell’」。
でも、「個体差」と早とちりしないでくださいね。
ごく一部の例外を除いて、ハイブリッド品種に個体差は生まれません。クローン繁殖ですので。
これは、「一時的な生育の差」・・・・・言い換えれば、「管理者の私が作ってしまった差」です。
これらの親株たちは、昨年の春までは、
それぞれの見分けがつかないくらい、姿形もサイズもほぼ同じ姿でした。
それらを、いっせいに鉢増し(土と肥料分を追加)→サンルームから屋外管理へ変えたところ、
その後の半年間で、こんなに見た目がバラバラになってしまったのです。やっちゃった~。
バラけた原因は、置き場の差です。
・がっしりした3分頭の株・・・・・・陽当たり抜群。ほどほどに雨が当たる場所。
・葉っぱが長い大株・・・・・・・ちょっと物陰で日照時間が短かったうえ、もろに雨ざらしの場所。
・トリコームで真っ白の大株・・・・・陽当たり抜群。でも、雨がほとんど当たらない場所。
もちろん、あるていどまとめて置いていたのですが、
ほんの数10センチくらいの置き場の違いで、こんなにも生育に差が出てしまいました。
若干、土の配合(肥料分の量)と水やり(ホースでぶっかける)の量にも差があったのかもしれませんが、
このヘブン・アンド・ヘルのように、縦に葉を伸ばすタイプ&赤葉・白トゲ系品種は、
もともと成長が比較的早くて、
光、気温、水、土(肥料)など生育環境の影響を受けやすい傾向があります。
なので屋外管理(雨ざらし)の場合、天候の悪い年には、たちまち形が崩れてしまったりします。
※ちなみに学術上、こういう見た目の差は「個体差」とは呼びませんのでご留意ください。
あくまで、「一時的な生育の差(最近太った、急に痩せた、鍛えて筋肉モリモリ、運藤不足でひょろひょろ)」です。
輸入株を例にとっても、
よく届くのは、これくらいの姿。小さい株だと、標準的な状態。
一緒に輸入した別の株。トゲがデカっ! 葉色の赤と白のコントラストもくっきりで、きれい。
「これって、もしかしたら、優良株か選抜個体を入手したのでは!」「普通のより、高く売れるのでは!」
などと思い込んでしまいそうになりますが、そんなことはありません。
くどいようですが、クローン生産品であるハイブリッド品種で、そう簡単に遺伝子異常は起きません。
2枚目のめっちゃキレイな株も、成長につれて、もしくは育て方で、
1枚目の株と同じような姿になります。経験済み。
しかし、逆もしかり。
1枚目の株も、育て方次第で、2枚目の美しい姿にまで持っていくことができます。こちらも経験済み。
環境や管理を改善することで、どれくらい立ち直れるかというと・・・・・・
ほら。いったん葉が長く伸びてしまった株だけど、新葉はたちまち引き締まってきた。
ヘブン・アンド・ヘルだと、この中心部くらいが理想的な色・トゲ・形かな?
長く伸びてしまった古葉と、引き締まった短い新葉が一緒にあるので、
しばらくはスカートを履いたようなおかしな姿になりますが、
今年中には古葉が枯れ落ちて、新葉がどんどん展開して、ギュッとした理想形に戻ります。
「ディッキアは成長が早くて、油断するとすぐに形が崩れてしまうので嫌」
なんて方もいらっしゃるようですが、
逆に私と同じく、「たとえ徒長させちゃったとしても、簡単に元に戻せるので安心」という人もいます。
多肉は「インテリア」「コレクション物」として普及していますが、
やはり生き物ですので、植物栽培の知識と経験が必要となります。
傷んだ状態では良い飾りになりませんし、枯れてしまってはいくら集めてもキリがないですから。
「原産地の環境は?」から始めて、光、風、土、水、肥料分、気温など、
そこにできるだけ近い条件を用意してあげるのがベストです。
冬の現在、ディッキアに限らず、多肉植物の室内管理を余儀なくされる方は多いかと思いますし、
大切な株が、日照不足などで、どうしても色が褪めたり、形崩れてしてしまうことも。
でも、早めに原因に気づいて、対処すれば大丈夫!
生き物だからこそ、びっくりするほどの生命力や適応能力を秘めていますし、
丁寧にケアすれば、瀕死の状態からでも回復させられます。
放置しない、見捨てない、よく考えて、あきらめないことが、成功の秘訣かと思います。
ただそうは言っても、誰にとっても住宅環境には限界がありまして。
いろいろ育てていくうち、「このグループだけは、どうしてもうまく育てられない」という多肉も出てきます。
もちろん、努力と設備投資で、環境のハンデを乗り越えるというマニア道もありますが、
私的には、無理をせず、運命が交わらないのだと割り切って、
もっと自分に合った、魅力的な別の植物たちとお付き合いすれば良いと思っています。
ちなみに我が家では、「0℃以下に耐えられないもの」は購入しないように気を付けています。
ちょっと欲しかっただけの多肉をビクビクしながら育てるよりも、
暖房費を節約するほうがずっと幸せだからです!
さてさて。長くなりましたので、今回はこれで。
次回はnamiさんです(´▽`)
こちらは分頭をくり返した、普通の群生株。
ある条件がそろうと、さらに密生した群生株が作れます。
この秘密をご存知のあなたは、ハイブリッド・ディッキア・マスター!
※クイズの答え。某・有名育種家が作出した高級品というのは、6枚目の写真「Bill Paylen」。