平成17年。法改正によってグループホームの中でも
ホスピスを行うことが可能になり、前年に片野氏の奥様が
在宅ホスピスでお世話になった先生に来ていただくことになりました。
この先生に初めて「パーキンソン病」であると診断されます。
MRIの画像では脳の前頭葉は“真っ白”な状態で
既に状態は進行してしまっていました(パーキンソン病の徴候は
思い返せば平成13年位には見受けられたそうです)。
それでも、実際の片野氏の様子は、調子の良い時には受け答えはあり、
少ないとはいえ表情もあり、MRIから予想される程の
進行程度ではなかったようです。
薬を使いながら上手に付き合っていく方針でのホスピスが開始されます。
パーキンソン病は病状が進行する病気です。
薬は病状に応じて少しずつ強さを上げていかなければなりません。
片野氏の場合2、3カ月に一度は薬を強くしなければなりませんでした。
しかし、薬の強さを変えても段々とベッドの上で寝ている
時間が増えていきます。2、3日程度で目が覚めれば良くて、
薬が効かなくなってくると1~2週間も寝続けることもあったそうです。
そういう時は肩を持って揺すっても、耳元で大声を出しても
起きる気配もなかったそうです。
片野氏の元気がなくなってきてしまったので、ひとつの決断をします。
胃にチューブを通す“胃ろう”の手術です。
純子さんの実父が同様に元気がなくなってきてしまったときに
手術することで元気になった経験から、
先生に相談して早目に行うことにしたのです。