日本初のオーガニック検査員 |  みどり色の地球

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最近、オーガニックが注目されてきていますね。

ほんの数年前は議会で「有機農業」という単語を出すと、後で職員に「笑われるからやめな」とこっそりアドバイスをされたものです。令和4年に農水省が制定した「みどりの食料システム戦略」で有機農地を4分の1・100万haをめざすことになり、随分社会が変わってきたと実感しています。

吉川市には「ライフ」が2つありますが、ライフのBIO-RAL(ビオラル)は品数も増えて、売れ行きもいいそうです。吉川市の学校給食でも今年5月に有機農産物が初めて導入されました。また、数名の新規有機農家さんが吉川市で取組み始めています!!時代が変わってきています。

 

今議会では、見積もり合わせを行っているので、なかなか有機農産物については考えてこれなかった市立保育園が、調達方法を大ロット・小ロットで発注等工夫したいとの話がありました。前向きな姿勢です。質問議員からは小ロットだと有機農家さんの利益にならず難しいという話が出ましたが、折角の前向きな姿勢です。小ロットにも応えられるように、日野市のように野菜を給食センターまで農家さんの代わりに運ぶ支援など、少しでも地場産、有機農産物利用を進められるような取組みを導入できるといいのではないでしょうか。日野市では、農家さんの要望と栄養士さんをつなぐコーディネートにも予算が組まれています。

このような有機農家さんを支援する団体ができれば、環境保全型農業交付金をもらえたり、次のステップに進めることができると思います。

 

そんなこんなで、注目の有機農業ですが、昨年末に日本で初めてオーガニック検査員になった水野葉子さんのお話をお聞きしたメモが出てきましたので、少しご紹介します。

オーガニック審査員になる前は

日本にオーガニック審査員を導入した水野さんですが、その前はアメリカでアスパルテームとアセスルファムの反対運動等にも関わっていたそうです。それはそれは有難い活動をしてくださっていたと感謝の念が沸き上がります。この二つの添加物は私も摂取したくないと思っている甘味料です。この甘味料の導入はロビースト(ロビーでの活動)の活動の成果だったと話されていました。

 

有機認証制度はお金がかかる⁈

有機・オーガニック・Bio は同じものを指します。オーガニックは昔の栽培方法というわけではなく、地球環境のためのもので、地力を活かして栽培した農産物、また、それを原料にした加工品のことを言います。

有機認証はお金がかかります。昔は外国人が日本に来て検査をしていたので、100万円ほどかかっていたそうです。水野さんがその検査制度を日本に持ち込み、そして、今では半分が国の補助、綾町や鶴岡市など地方自治体で認証制度を設けているところもあり、数万円で取れるところも増えてきています。

 

どうやって認証するの?

有機認定はコーデックスガイドラインというルールに基づいてい行われます。

日本はEU、アメリカ、カナダ、スイス、アルゼンチン、オーストラリア、ニュージーランド、台湾、イギリスと同等ということで、日本で認められれば、それらの国でも有機になります。逆にそれらの国で認められたものは、日本でも有機として販売されます。

認証制度は、頑張っている生産者を応援していくための性善説の制度だそうです。一番大切なのは生産者からの聞き取りで、審査員にはコミュニケーションが求められます。

現在、日本で有機野菜の第3者認証できるのは51の機関あるそうです。

審査員と判定員は別の人で認証されます。

 

有機農業の世界の動向・現状
有機食品の消費は年々増加しています。
コロナの影響で、健康志向が有機食品への消費に拍車をかけています。有機農産物の摂取が免疫力UPに貢献する可能性を示唆した動物実験や学術調査は多くあります。

 

各国の状況(OTA資料より)
・米国-3月~6月の4か月間で有機食品の前年同期比25%増 (調査会社ニールセンのデータによる)
・イギリスー有機食品の宅配事業を展開するアベル&コールでは注文25%増
・フランスー有機食品専門店の売上高40%増(リサーチ会社エコヴィア・インテリジェンスによる)
・インドのオンライン小売店ナリシュ・オーガニックスでは3月の売上高が30%増


オーガニック食品の売上高 (FIBLより)
・アメリカのオーガニック食品の売上額は16年で5倍以上 

 (2002年80,5億ドル→479億ドル)
・フランスのオーガニック食品の売上額は18年で9倍 

 (2000年10億ドル→2018年91億ドル)
・ドイツのオーガニック食品の売上額は18年で5倍

  (2000年20,5億ドル→2018年109億ドル)

・全食品の有機食品比率が高い国は 

 1. デンマーク (11.5%)、2.スイス、3.スウェーデン
 

生産者と圃場

・有機の生産者数は280万人 (2009年から55%増)
・有機園場は7150万ヘクタール (2017年より+2.9%、1999年 り+546%)
・世界の1.5%の圃場は有機。
・有機圃場で多い国の順は 

 1. オーストラリア、2.アルゼンチン、3.中国
・有機農業をしている国は186か国
・有機生産者が多い国は 

 1. インド (1,149,371人)、2. ウガンダ (210,352人)、3 エチオピア (203,602人)
・有機市場が大きい順 

 1. 米国、2.ドイツ、3.フランス、4、中国、5. イタリア

 

その他情報

・3大農薬利用作物は「いちご」「コーヒー」「コットン」です。

日本の基準はゆるく、台湾で日本いちごが販売できず廃棄しなくてはならないという事件がありました。

・表示のルールが変わり、「無農薬」という標記の仕方はできなくなりました。書くならば「農薬不使用」という書き方になります。

・特別栽培はその地域の通常使用の半分なので、地域によって違います。
生産者が県をまたぐと、それぞれ対応する必要が出てくるという話には、県をまたいで農業をやられている生産者のご苦労が容易に想像できました。

 

質問タイム

Q ゲノム応用編集食品について心配です。

A ゲノムに関しては検査法を探っているところ。オーガニックは遺伝子組み換えに厳しいです。大豆レシチンにどんな大豆を使用したか証明を出させますし、醸造アルコール20%のコーンが遺伝子組み換えでないか証明させます。だから「有機」を選べば、それらの食品を避けることはできます。

どこまで表示を信頼できるかという声もありましたが、不正表示は罰金です。

 

Q オーガニックは高く、安さにはかなわない。

A だから有機給食なのです。また家庭菜園をお勧めします。

 

最後に

水野さんの講演は、吉川市の「母親大会」の中で行われました。「母親」というジェンダーバイアスばりばりのネーミングですが、「命を生みだす母親は生命を育て、生命を守ることを望みます」というスローガンにもなっている、詩人・ペリディス夫人の詩の通り、「母親」が連帯して子ども達を守ろうとする活動は、ジェンダ―バイアスがあっても、それを超えて尊いものであると思います。

 

1945年のアメリカの水爆実験で広島、長崎につぐ3度目の被ばくに怒った平塚らいてうさんら5名の女性たちが全世界に向け「原水爆禁止のための訴え」を送り、1955年にスイスのローザンヌで初の世界母親大会が開かれたのです。それに先んじ東京で開かれたのが日本母親大会が始まりだそうです。68年余の歩みです。吉川市では57回目の企画でした。

 

最近、大きな声では言いにくいので小さな声で言いますが、化学物質過敏症や香害、命を守ることに関するセンスは圧倒的に女性の方が高いという話を色々なところで耳にします。私もそういうう傾向は否定はできないと思っています。

母達の子を守る本能は強く、また不変なんだろうと思います!

私もできうる限り参加してきた母親大会です。非常に貴重なお話をありがとうございました。