循環式トイレ「エコまるトイレ」視察報告 |  みどり色の地球

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今回いいもの見させてもらったなぁという充足感を抱いています。

こういう技術を積極的に活用していくことで、地球に負荷の少ない暮らしが実現できるんだと思います。SDGsを達成させるためには『公共善エコノミー(まだ報告かけていなかった)』が必要です。利益追求だけでなく、良いものを広げて経済を回していく方法こそが人類に残された道です!

 

ということで、今日は(株)エコまるくんのエコまるトイレをご紹介します。

お水のいらない超循環型のトイレです。固液分離層と特殊濾過材、そしてこのシステム自体に特許を取っているそうですが、仕組み自体は自然の力を活用した単純な仕組みです。

 

今回の見学先はミヤコ樹脂工業(株)(吉川市)です。
まず、屋外に設置されたトイレを見ていましょう。

手前のドアを開けると普通の洋式トイレ、奥のドア(写真で開けようとしている)を開けると男性用のトイレがあります。極普通の水洗トイレです。

  

建物の反対側に回ると大きな開口部があります。

 

そのドアを開けると…。

中はこんな風になっています。

床が湿っていますが、実はオーバーフローしてバケツに溜まった水をうっかりあふれさせてしまったとのこと。いつもは中はジメっとすることはありません。ホースを繋げ、下水に流せるようにしておけば確実に回避できます。

 

濾過材の横はこんな感じです。

個液分離槽の中の嫌気性微生物による汚泥分解剤は半永久に使えます。濾過材は交換が必要ですが、1年程度休ませるとまた使えるので、交互に使えばよいとのこと。メンテナンスがほぼフリーでランニングコストがほとんどかからないのがエコまるトイレの大きな特徴です。

 

ちなみに、今回見せていただいたものは「濾材式」といって、システムの全てが地上部(建物内)にある循環式トイレなので、この建物ごと移動が可能です。水を抜いて、クレーンで釣ってトラックで運べば、運んだ先ですぐに使うことができます。移動トイレのリースも検討中です。

上下水道が通っていないような辺鄙な場所での普及が期待されていますが、3年位の仮設トイレが必要な現場でも便利ですし、SDGsの視点で新設施設・公園等のトイレに導入するとよい思います。

 

このシステム部分を地中に設置する土壌式もあります↓。

土壌式だと、地上にはトイレのみの広さを確保すればよいです。タンク部分は地中に、濾過部分は「高度処理花壇(芝生可)↓」の下になります。

 

今回のミヤコ樹脂工業さんのシステムは1日のべ100人程度の利用ができます。尿処理が多ければもっと可能ですし、みんなが大便ばかりだと、処理に負担がかかります。単純に1人5回トイレに通う計算だと、浄化槽で言うとほぼ20人槽に匹敵するということになります。

 

一番気になるコスト面ですが、今回の施設は550万円で設置料20万円。決して安いものではありません。しかし、浄化槽(20人槽)を導入するにも400万円ほどかかりますし、毎年法定検査で10万円かかります。エコまるトイレは、水道代がかからない、汲み取りが不要、ランニングコストがほぼかからないという点で総合的なメリットが生まれます。

電力も照明と水洗トイレ程度で太陽光パネルによる独立型も可。

 

独立型・循環トイレは災害時にも役立ちます。「ジャパン・レジリエンス・アワード(強靭化大賞)2021」で金賞を受賞していて、実際、その後の熱海土砂災害時の自衛隊キャンプ地でエコまるトイレは活用されています。

循環型で、地球に負荷のかからない、さらに災害に役立つという利点がSDGsにマッチしています。

 

見学者からの質問

①生ごみの処理もできるのか。

生ごみをたくさん入れると処理に負担がかかるが可能とのこと。人間の排泄物は人間が消化した後のものなので、生ごみより分解がしやすくなっています。動物が食べ物を食べて消化することで、自然への負荷を軽減しているという、世の理に改めて感心してしまいました。あまり小規模なものはコスト面ではあまりメリットはないかもしれませんが、個人家庭にこのトイレを導入すると、有機物全部これで処理することも可能になりますね。ちなみに土壌式だと、メンテ時に取り除く作業は発生しますが、生理用品なども投入化だそうです。

 

②屋内のトイレでこの仕組みを導入できるか

いまべつ総合体育館で室内に設置した10数個のトイレと外の処理施設をつないで設置している事例あり。室内トイレでも使える仕組みです。

 

③寒暖への適応について

暑いのには適応。寒いと土壌式は心配はないが、濾材式は管が凍らないように注意が必要だとのこと。

 

④建設許可申請は?

10㎡超えると建設許可申請が必要ですが、今回の建物はそれ以下なので、申請なしで設置が可能です。

 

自治体における先進事例のご紹介

●山梨県山中湖村桂川簗尻(やなじり)公園(土壌式)

日本で初めて循環式トイレで建築確認許可をうけました。

●富士山五合目

●小仏トンネル拡張工事の清水建設現場トイレ(濾材式)

工事現場では補助金が5万円でます。リースで設置しています。

あまりにトイレがきれいで土足禁止で使っているそうです。

その他さまざまな場所で導入されています。(パンフより)

詳しくは㈱エコまるくんのHPをご覧ください↓。