大田浩右 時空出版

 

 

 

 

 

大田浩右(おおたこうすけ)先生は、患者会の会員さんから紹介された脳外科のドクター。

難治性の頭痛、めまい、しびれを「脳過敏症」として臨床理論を確立。個人病院を開設して多くの患者さんを診療されてこられました。

大田先生が尿管がんの告知を受けたのが71歳(2010年)。6年前の登山事故で奥さんを亡くしていた「孤独な独居老人にがんと闘う気力はなかった」と記されています。事実、精神科医に「喪失性うつ」と診断されます。そのせいもあってのことでしょうが、手術を拒み3年間無治療(標準治療)を続けます。

その後、リンパ転移、水腎症、肺転移、骨転移となり、腎摘出手術、骨への粒子線治療、化学療法、低容量抗がん剤治療、ゲルソン療法などに取り組み、発病から5年、余命宣告から2年後に寛解となりました。

治療のモチベーションの一つは、ライフワークともいえる脳過敏症の本を書き上げることでした。

患者の揺れる気持ち、日常生活、がん友の医師の実際、病状の推移、医師の目からみたがん標準治療への疑問、自分なりの治療観に基づく療法選択などが、ありのままに書かれています。

ともするとセンセーショナルながん闘病記もあるなか、リアルで地に足着いた本音の体験記だと思いました。