昨日(7/7)「ポリヴェーガル理論」(主催:NPO法人中部ホリスティック医学協会中部支部)を聴講しました。
初耳の理論。
「ポリヴェーガル理論超入門」(オンライン)
ナチュラル心療内科院長 竹林直紀先生による解説。竹林先生は大阪で極力薬を使わない診療をされています。
「リボーンテラピーをポリヴェーガル理論で読み解く」
リボーン洞戸テラピスト 細川明子さんがリボーンカウンセリング(「がんの言い分」を聴く)を通して観察されたがん患者さんの身体反応の変化をポリヴェーガル理論を用いて考察。
座長:船戸崇史先生(船戸クリニック院長、リボーン洞戸代表)
ポリヴェーガル理論(多重迷走神経理論)は1994年に提唱されました。(米国 ステファン・ポージェス博士)
自律神経といえば交感神経(緊張)と副交感神経(リラックス)の2つと習いましたが、ポリヴェーガル理論では副交感神経を背側迷走神経集合体と腹側迷走神経集合体に分けています。
交感神経:緊張、闘争・逃走反応
背側迷走神経集合体:弛緩、不動化、フリーズ、シャットダウン
腹側迷走神経集合体:社会的交流、他者との意思疎通、つながり
生き物は大きな恐怖や不安に直面した時、防衛反応が働きます。自律神経の働きも“身の安全”が最優先事項です。
闘うか逃げるかの動的な防衛反応は交感神経。(アクセル)
フリーズ、シャットダウン、死んだふりなどの静的な防衛反応は背側迷走神経集合体。(ブレーキ)
そしてその両者が極端にならない(急アクセル、急ブレーキ)ようにハンドル操作するのが腹側迷走神経集合体。
副交感神経でリラックスといっても、背側迷走神経集合体だけ極端に優位になると(急ブレーキ)、無呼吸、感覚麻痺、失神、解離などの反応が現れます。一方、腹側迷走神経集合体によってバランスがとれた自律神経の働きになると、ストレス反応の持続やトラウマを回避またはそれらからの回復に有効と考えられています。
テラピストの細川明子さんはリボーン洞戸でのべ420名のカウンセリングをされています。「がんの言い分」を聴くには“つながり”が重要と説かれました。「他者とのつながり(社会交流)」、「自分とのつながり」によって【安全・安心】を感じること。
がんと告げられ、交感神経優位で闘争する人。背側迷走神経集合体優位でフリーズしている人。いずれも身の危険を察知しての防衛反応ですが、恐怖や不安が緩和されないとその極端な状態が解けません。とはいえ、恐怖や不安がまったくなくなるわけではありません。
「安全とは脅威があっても助けを求められる状態」
「安心とは不安とともにいることができる状態」
【がんの言い分=本当の自分の言い分】
今まで封印してきたこと、目を背けてきたことがあるならば、しっかり向き合い、つながる。(数名の方の事例を紹介くださいました)
自分とつながることで安全・安心が感じられれば、バランスの良い自律神経となりレジリエンス(回復力)の発動を促してくれるのです。
*ポリヴェーガル理論について詳しく学びたい方用に下記の書籍が紹介されました
「ポリヴェーガル理論への誘い」 津田真人 星和書店
「疲れた心の休ませ方」 竹林直紀 青春出版社
右から小林正学先生(岡崎ゆうあいクリニック院長)、杉浦貴之さん、船戸崇史先生、細川明子さん、小澤