脳波研究・脳力開発のプロが、自らのガンと向き合った方法とは!?


【志賀一雅博士 プロフィール】

脳力開発研究所 相談役

日本において最初に脳波の「アルファ波」を3種類に分け、ファストα波、ミッドα波、スローα波と質的な違いを提唱した。

1961年電気通信大学卒業後、松下技研に勤務。東京大学工学部計数工学科研究員を兼務しながら、脳波研究に没頭。 83年脳力開発研究所設立。パソコンを利用した脳波分析装置を開発し、大学や企業の研究所へ提供。アルファ波を指標としたメンタルトレーニング指導で、日本航空、日本IBM、NTTなど、大手企業の脳力開発研修において高い評価を得る。

2008・2009年文部科学省より委託を受け「専門学校教職員、学生のためのメンタルヘルス・脳力開発プログラム」を開発、その後、学校や企業に向けての「メンタルウェルネストレーニング推進プロジェクト」を総合監修。

著書は「全身の疲れがスッキリ取れる本(三笠書房)」など多数。2011年3月に米国HHS(米国保険社会福祉省)大統領諮問機関より、長年にわたる脳波とメンタルトレーニングの研究、実践に対しGOLD AWARD(金賞)を授与される。2015年にはステージ3の大腸がんを克服し現在もさまざま研究と講演活動を実施している。

 

 


講演される志賀一雅博士

 



長年の脳波研究から、「脳から良い信号が発信されると、体は健全な生命活動をする」という説に至った志賀一雅博士は、企業や学校への脳力開発プログラム提供の傍ら、個人からの相談も受けてこられた。その中には、健康問題やガンに悩む人も少なからずいた。

その志賀博士自身に、2015年3月の健診で大腸にガンが見つかりました。

脳波観察によるメンタルトレーニングを2ヶ月間行った後、手術を受ける。摘出した腫瘍を調べると、すでに壊死していた。


《志賀博士へのインタビューその1》

小澤
志賀先生のところには、以前から病気の相談に来られる方も少なくないと伺いました。

志賀博士
確かに健康問題の問い合わせもありました。しかしながら、私は医者でもなければ、患者経験もない。いくら相談を受けて、私の理論を説いても傍観者という立場に過ぎず、相手の方にしっかり伝わらないだろうと思っていました。

小澤
もしかして、ガンを体験してみたいという意識がお持ちだったのですか?

志賀博士
ええ、ありました。ガンを経験していないと、患者本人の苦しみは根底的には理解できない・・・相談に来られるクライアントさんは、私に対してそういう思いがあるだろう・・・と感じていました。私がメンタルと病の関係を解説したところで、信憑性に欠ける。ですから、ガンが見つかってよかったと思いました。「よかった」「ありがとう」を習慣にしているので、ガンと判ったことを妻に報告すると、「あら、よかったわね」という返事でした。(笑)

小澤
そうはいっても、世間では「ガン=死」のイメージが一般的です。死に対しては、どんなイメージをお持ちでしたか?

志賀博士
終活ではないですが、年齢的にも死の心構えはできていました。ですから、どうせなら何か役に立って死を迎えたいという気持ちでした。ガン体験者として伝えることができる。


長年研究されてきた理論と実践を、我が身をもって実証する機会を得られた志賀博士の病状は、S字結腸部の大腸ガンでステージ3。直ちに切除しないと拡大し、腸を閉塞して6ヶ月の余命という診断でした。

しかし、海外渡航の予定もあった志賀博士は、とくに自覚症状もなかったこともあり、手術日を2ヶ月後にしたいと申し出ました。主治医は手遅れになると難色を示しましたが、本人の希望ということで承諾しました。

志賀博士が、手術までの2ヶ月の間に取り組んだのは、

①毎朝のメンタルトレーニング(よかった、ありがとう、GCN瞑想法)+サイモントン療法を参考にしたイメージトレーニング・・・大腸ガンの塊を免疫細胞が攻撃して塊が小さくなっていずれ消えていくイメージをして喜ぶ。

②外気功(3回)
中国嵩山の少林寺気功法最高師範秦西平氏と個人的に親しかったので3回ほど気功療法を受ける。

③沖縄出張時に、当地の温熱療法(海水を沸騰させた湯に浸したタオルを絞ってお腹にあてる)を2回受ける。

①と②は、脳波(①-ご自身、②ご自身&施術者)を測定しながら行う。7.8Hzのスローα波が出現。脳波を測定することにワクワクしていた。

志賀博士本人は、積極的に手術を望んではいなかったが、画像では腫瘍が変化せずに存在していたので、6月3日に手術が執り行われました。ところが、摘出したガン細胞を調べてみると、すべて壊死していました。術後は追加治療なく、経過観察だけです。


《志賀博士へのインタビューその2》

小澤
研究者魂、科学者魂、ですか?

志賀博士
たんなる好奇心ですよ。(笑) 今まで誰もやったことない事ですからね。脳波を追いかけて来た者としては、またとないチャンス到来! ワクワクしました。気功の達人、最高師範の脳波をも測定できたのですから。

小澤
無邪気な子どもが何かに夢中になっている状態でしょうか?

志賀博士
ガンは大変な病気という認識はありましたが、気張った感じはありませんでしたね。

小澤
それと今日のご講演に関して、一つ質問があります。何があっても「よかった。ありがとう」を唱えると、α波が出やすいということですが、もし心の奥底(潜在意識)で、「よかった。ありがとう」を否定していたら、脳波には反映されないのでしょうか?

志賀博士
そういうことになります。ですから、普段から習慣化することが大切です。寝る時に、息を吸いながら「よかった」息を吐きながら「ありがとう」を心の中で思う練習です。メンタルトレーニングは「思い方の練習」ですから、ゆったりした呼吸とともに反射を形成します。


志賀博士はさらに、現代社会が死と疎遠になっている弊害を指摘されました。死がもっと身近になれば、健全な死生観が育まれる。すると、死を忌み嫌う意識、病に対する否定的な意識が薄らぎ、脳はもっと期待感、満足感を高めやすくなるとお考えです。


【志賀博士が考案されたメンタルトレーニングの一例】
α波強化の練習=期待感と満足感を高める準備→反射の形成
・寝る直前の意識・・・「よかった!」「ありがとう!」「明日もいいことがある!」
・目覚め直後の意識・・・「よく寝た!」「今日もいいことがある!」
・食事のときの意識・・・「おいしそう!」「おいしい!」「おいしかった!」
*反射は汎化される・・・「できそう!」「できる!」「できた!」

 

 


 

 


【編集長感想】(2017年取材時)

志賀博士の場合、「原因があってガンになった!」というより、「目的があってガンになった!」という印象を受けました。ご自身の研究を役立てたいお気持ちを、細胞が汲み取ったのでしょうか。

今後は、脳波と遺伝子発現の関連について、検証できないものだろうか?などと、勝手に妄想したしだいです。

志賀博士、ご協力ありがとうございました。



*志賀博士が会長をされている一般社団法人 メンタルウェルネストレーニング協会の公式サイトはこちら!