高校の時に肩を脱臼して以来

ずっと脱臼に悩まされてきた。
 

大人になって

ついに手術をしなければいけないことになり

落ち込む僕に対して周りは

「元気出せよ!」

と応援をしてくれた。
 

もちろん応援の気持ちは嬉しかったけれど

どこかでその励ましの言葉を

素直に受けとれない自分がいた。
 

元気だせって言われて元気が出せるほど

こっちは余裕ないのに・・・
 

肩の手術を終えリハビリをしていた時も

前向きに頑張ろうみたいな言葉を聞くのが

嫌だった。
 

でも周りからの応援を

嫌だと思ってしまう自分が

もっと嫌だった。

 

そんな僕を救ってくれた人がいる。
 

それは同じように脱臼の手術をし

リハビリをしていたAさんだ。
 

Aさんは僕に対してこういった。
 

「脱臼は大変だよな。

俺、ぶっちゃけ逃げ出したいもん」
 

言葉だけ聞けば

ただの弱音である。
 

でもその言葉が

僕の心を軽くした。

 

「苦しいのは僕一人じゃない」

 

その事実がどんなポジティブな声かけよりも

僕への応援となった。  

 

そして今

応援団になってあらためて思うことがある。
 

応援する時に僕らはついつい

「良いことを言おう」

「前向きな言葉をかけよう」

と思ってしまう。
 

でも悩んでいる相手にとっては

プラスの言葉がむしろマイナスに

聞こえてしまうことが多々あるのだ。
 

むしろ大事なのは

自分が今悩んでいることや失敗談を

さらけ出して語る。
 

するとそのさらけ出した

一見マイナスに見える言葉たちが

相手のマイナスに振れている心に届いた時に

マイナスとマイナスをかけ合わさってプラスに転ずる。
 

なぜなら、脱臼で苦しんでいた僕のように

そのさらけ出されたマイナスの告白が相手にとっては

「自分一人だけが悩んでいるのではない」

というプラスのメッセージに聞こえるからだ。
 

だから相手を応援する時には

自分のマイナスの部分をさらけ出すこと。
 

そう考えると

今、経験している苦しさも

未来に誰かを応援するためのタネを育てている。

そう言えるかもしれない。
 

我武者羅應援團 総監督 武藤正幸