列車は600m以内で必ず停止できる | 新田鉄人「久慈だョ!全員集合」

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難病と闘いながらピンの鉄道芸人、その他で活動する、元本物の鉄道の駅員と電気部、さらに保線の経験を持つ、新田鉄人のブログへようこそ!岩手県久慈市公認、北三陸久慈市ふるさと大使。潜水士の資格取得済。

荒川夢悟「テツろぐ」-東日本485系.JPG

日本の鉄道の列車は、新幹線を除いて必ず600m以内に停止できなくてはならないという決まりがあります。これは、緊急停車する場合です。これに合格する列車だけが走行しています。
異常などの発見により列車を緊急に停車させる際、停まるまでの距離が短いほど事故を防止できると思ってしまいますが、あまりに急だと車内の人が慣性の法則で飛ばされたり脱線につながるなど危険です。また、仮にそのような停まり方をしようとしてもなかなかできません。何故でしょうか。
国鉄時代に最高速度が引き上げられた際、この600m以内の停車をクリアするために、一定の速度以上の場合はブレーキが自動的に強めにかかるよう対策が施されました。

荒川夢悟「テツろぐ」-東日本651系→.JPG

現在、在来線で原則として認められている最高時速は130kmです。この速さから一気に600m以内で停めようとすると、ブレーキ力を強めただけでは逆に締めつけられた車輪がロックされ、そのまま列車が慣性の法則で進んでしまいこの距離をオーバーする恐れがあります。そのため車輪のロックを検知、一時その車輪のみブレーキ力を弱めて再び回ってレールと粘着させてから再びブレーキを強めて他の車輪と同じにするシステムを使っています。
何故そこまで600mにこだわるか。それは、保安装置に異常が発生して運転できなくなっても、600m先で後続の列車に非常停止の合図をすれば絶対衝突しない、ということです。ちなみに線路には距離が分かる標識があります。

荒川夢悟「テツろぐ」-西681.JPG

例外として、踏切がないなど幾つもの条件をクリアすれば130km以上の最高時速が例外的に認められ、JRは青函トンネルの時速140km、他では北越急行や成田スカイアクセスの時速160kmがあります。
それでも、安全が最優先され、きちんと決まりに則った運行形態であることには変わりありません。