今年3ヶ所目のワイナリー訪問です。

南西向きの陽当たりのよい土地とはいえ、

斜度38度というのは見下ろせば崖のような感覚です。

ゲレンデなら上級斜面です。

 

開墾は森林の伐採から始まり、

およそ半世紀を経てこのように葡萄畑となりました。

このテロワールを手入れされているのは、

150名もの数の知的障がいを持つ人々。

共同生活を送りながら、

体を動かして労働するよろこびを、

そして鍛錬を目的としているそうです。

 

ワイナリー見学ガイドさんの説明が耳に残ります。

自閉症の人に検品の仕事を任せると、

一本たりとも見逃さないし、一日でも集中できる、と。

その特性は素晴らしいものですし、

個の活躍の場を活かした理想的な労働だと思いました。

何もかもが合理化されて、

生産性ばかり優先するのとは対極を成しています。

ここに共産主義社会主義を意識したものの、

それはまったく古びていない社会のあり方なのかもしれません。

 

行き場を失ったひとりとして、

まったく評価されなかった者として、

活躍の場がどれほど生きる糧になるか、

そのようなことを考えさせられました。