今思い返してみると、
20年も勤めたのは、
収入を得る以外のなにものでもなかったと総括できます。
入社当初は怠惰な社風に馴染めずに悶々としていました。
同期の者たちが嬉々としているのがまったく理解できませんでした。
はたらく喜びなど感じられず、
同士と睦むことを重んじる空気は受け入れ難いものでした。
あくまでも想像の域を出ませんが、
その息苦しさは労使の癒着にあるように思えてならないのです。
入社間もないころ、Mさんという古参が来て、
「組合入るよな、入ってない奴いないからな」
と睨みを利かせて言い放ちました。
そのときはまあそういうもんかと、
長いものに巻かれるかの如く受諾してしまったのは、
今思うと間違いの始まりだったように思います。
この会社がオープンショップというのは建前に過ぎなかったということです。
それより前、管理職に言われたのを思い出しました。
「組合に入らなくてもいいんだよ」
と。
それから20年を経て思う事。
組合に助けてもらったこともあるけど、
しきたりに従わなければあっさりと切る、
そういう現実です。
よく考えてみればあさはかでした。
雇用関係には雇われる側を不利にしない約款があるのに、
組合と組合員の間には、
組合員を不利にしない明確な約款はないのですから。
そんな慣行を不思議にも思わない連中とは、
縁が無かったと思うことにします。
所詮、
「井の中の蛙、大海を知らず」
そういうことなんです。
そこから脱出したら、
大海に溺れるかも知れません。
でもいいんです。
嵐をやり過ごす術は知っていますから。
今更ながら再び知りました。
俺は、
「寄らば大樹の陰」
に生きられない者なのだと。
そこがブラックホールなら逃げるのは今しかありません。
そう思うと勇気が湧いてきました。
利益が無くても自分に嘘はつかない。
たった今そう決めました。