映画観ました。

五十嵐大介氏原作の漫画アニメ化です。

 

先入観を持たずに臨みました。

ウィキ先生もトレーラーも見ないで魅かれたのは、

何かの導きだったのかもしれません。

 

美術はとても綺麗です。

模擬舞台のエノシマ周辺の海はグレーに濁っているのに、

藍々と描いてくださったことでファンタジズムが高まりました。

上下に移動するアニメーションなど「もののけ姫」を思い出させます。

 

本作の描く世界観は大き過ぎます。

広いのではなくて大きいのです。

ただ海を扱った作ではありません。

ひとりのサーファーとしては海の怖さも描いて欲しかったのに、

海中を自在に移動する特異な主要キャラに違和を覚えました。

 

以下ネタバレあり。

 

 

 

 

ルカのウミへの恋心は分かりやすかったものの、

この物語の主題として叶わぬことを悟る中学生は謎めいています。

ウミとソラはジュゴンに育てられたという背景があり、

海中を自在に行き来できるのは踏まえて進めます。

ルカは地上人なのに、海中で窒息しない場面も描かれます。

ソラはルカに同じにおいを感じたようでしたが、

ルカはただのヒトとして描かれるので彼等とは別起源なのです。

そんなルカが彼等に近い能力を持つ機会があったのなら、

冒頭の水族館の出来事以外に無いのです。

海の生物たちは"ゲスト"にゆかりのあることを感じてルカに近寄ったのだと思います。

 

現在の宇宙探査は、

地球が形作られた起源を宇宙に求めています。

あわせて水の有無も調査されています。

水が生命の起源なのでしょうか。

海水が生命の起源なのでしょうか。

ビッグバンが描かれるシーンがあっても、

地球が子宮で隕石が精子、そこから新しい銀河が形成されるとするのは無理があります。

 

海獣が宇宙のすべてを知っているという前提も受け入れられませんでした。

異なる条件で生命が誕生する可能性が零ではないのですから。

あるいは他の惑星では海獣ではない生き物が海を守っているのですか。

宇宙がひとつならその点も共通されないと違和があります。

示された哲学に価値はあるものの、

ウミの運命をルカが受け容れただけならまさにひと夏の恋だったと言わざるを得ません。