インドの家政夫
デリーに両親が住んでいたころの話。
デリーに住む駐在員のほとんどはサーバントが何人かいます。
まず運転手。これはデリーでの運転が非常にしんどいから。地元ルールであちこちいくのはかなり難しい。
次に掃除人。外を掃除する人と中を掃除する人2人。何故かというと、日本人にはよくわからない理由で外掃除する人の階級が家の中に入れるほど高くないから。
お次は庭師。インドといえば大抵暑い。くそ暑い中庭の世話なんか日本人はしたくない。けれどそれなりの大きな家には庭がついてくる。よって庭師。
さて、他のサーバントより階級が上(?)だという、室内サーバント。さっきの掃除人は家人とあまりかかわらないから、そう偉くないらしい。サーバント達の中での権力者は料理人、そして家政婦。彼らは家の中のこまごましたことすべてを取り仕切り、主人の日常生活に関わり、大抵の場合同居している。一緒に買い物も行くし、慣れない生活の多々な悩み相談にものる。料理人と家政婦は二人別の場合もあるけど、両親の家は一人だった。
両親の家の家政婦は家政夫だった。ラメッシュといって40歳ぐらいの気の弱そうな細くておどおどした人だった。朝起きて部屋を出ると急いで飛んできて朝食の注文を取る。「朝ごはんはいらない。」など言おうものなら悲しそうな目で自分の手を見つめて立ち尽くす。仕方がないから「じゃあ、トースト。」というと、いそいそと台所たつ。出されたものは全部食べる。そうしないとまた、残り物をみつめてしまうから。おまけになんでもラップして冷蔵庫に保存。そうされたくなかったら、食べること。
朝食が終わると彼はうやうやしく両手の平を上にして「本日の洗濯物」を要求。下着は自分で洗いたいと思っても、洗濯室は彼のテリトリーなのでだめ。パンツまできちんとアイロンをかけて夜までに部屋に綺麗にたたまれて戻っている。一度などジーンズがズボンプレッサーで折り目がびしっ!っとついて戻ってきて、70年代を髣髴させた。
午後は買い物に出かける。マダム(つまり母)から晩御飯のメニューを聞き市場に出かけるのだ。ローカルの市場なので、日本人マダムには荷が重過ぎる。だから一人でチャリで行く。でも高級スーパーやマーケットも存在していて、その場合マダム自ら運転手に送られて買い物をする。そういう日は家でのんびりしている様子。子供がいない家の場合もう夕飯まで仕事がない。結構いい仕事かもしれない。
給料は他のサーバントに比べたらかなりいい。おまけに、他のサーバントの給料は彼がマスターから預かり、配給する。権力者だ。よくよく観察すると、家の中では腰の低いラメッシュも外で他のサーバントと話すときは心なしかふんぞり返っている。ちょっと笑える。で、人間どこでも同じだなあとちょっと安心する。
彼のエプロンのポケットには若くて綺麗な奥さんの写真が入っていて、出稼ぎしている彼のことを国で待っているとのこと。キッチンで誇らしげに見せてくれた。家政夫でなく一人の夫なのだと認識を改めた。
でもやっぱり朝起きて待ち構えているラメッシュはさえないおじさんサーバントだった。人間ってややこしい。
デリーに住む駐在員のほとんどはサーバントが何人かいます。
まず運転手。これはデリーでの運転が非常にしんどいから。地元ルールであちこちいくのはかなり難しい。
次に掃除人。外を掃除する人と中を掃除する人2人。何故かというと、日本人にはよくわからない理由で外掃除する人の階級が家の中に入れるほど高くないから。
お次は庭師。インドといえば大抵暑い。くそ暑い中庭の世話なんか日本人はしたくない。けれどそれなりの大きな家には庭がついてくる。よって庭師。
さて、他のサーバントより階級が上(?)だという、室内サーバント。さっきの掃除人は家人とあまりかかわらないから、そう偉くないらしい。サーバント達の中での権力者は料理人、そして家政婦。彼らは家の中のこまごましたことすべてを取り仕切り、主人の日常生活に関わり、大抵の場合同居している。一緒に買い物も行くし、慣れない生活の多々な悩み相談にものる。料理人と家政婦は二人別の場合もあるけど、両親の家は一人だった。
両親の家の家政婦は家政夫だった。ラメッシュといって40歳ぐらいの気の弱そうな細くておどおどした人だった。朝起きて部屋を出ると急いで飛んできて朝食の注文を取る。「朝ごはんはいらない。」など言おうものなら悲しそうな目で自分の手を見つめて立ち尽くす。仕方がないから「じゃあ、トースト。」というと、いそいそと台所たつ。出されたものは全部食べる。そうしないとまた、残り物をみつめてしまうから。おまけになんでもラップして冷蔵庫に保存。そうされたくなかったら、食べること。
朝食が終わると彼はうやうやしく両手の平を上にして「本日の洗濯物」を要求。下着は自分で洗いたいと思っても、洗濯室は彼のテリトリーなのでだめ。パンツまできちんとアイロンをかけて夜までに部屋に綺麗にたたまれて戻っている。一度などジーンズがズボンプレッサーで折り目がびしっ!っとついて戻ってきて、70年代を髣髴させた。
午後は買い物に出かける。マダム(つまり母)から晩御飯のメニューを聞き市場に出かけるのだ。ローカルの市場なので、日本人マダムには荷が重過ぎる。だから一人でチャリで行く。でも高級スーパーやマーケットも存在していて、その場合マダム自ら運転手に送られて買い物をする。そういう日は家でのんびりしている様子。子供がいない家の場合もう夕飯まで仕事がない。結構いい仕事かもしれない。
給料は他のサーバントに比べたらかなりいい。おまけに、他のサーバントの給料は彼がマスターから預かり、配給する。権力者だ。よくよく観察すると、家の中では腰の低いラメッシュも外で他のサーバントと話すときは心なしかふんぞり返っている。ちょっと笑える。で、人間どこでも同じだなあとちょっと安心する。
彼のエプロンのポケットには若くて綺麗な奥さんの写真が入っていて、出稼ぎしている彼のことを国で待っているとのこと。キッチンで誇らしげに見せてくれた。家政夫でなく一人の夫なのだと認識を改めた。
でもやっぱり朝起きて待ち構えているラメッシュはさえないおじさんサーバントだった。人間ってややこしい。