
1988年発表。
文庫1冊、516ページ
読んだ期間:4日
普段、短編集は読まないんですが、ワンコを題材にした作品集と言う事で買って見ました。
掲載されているのは以下の16編。
①デーモン・ナイト「死刑宣告」[11ページ](1961年)
②フィリップ・K・ディック「ルーグ」[9ページ](1953年)
③ジェロルド・J・マンティス「ニューヨーク、犬残酷物語」[35ページ](1971年)
④ケイト・ウィルヘルム「銀の犬」[42ページ](1974年)
⑤フリッツ・ライバー「泣き叫ぶ塔」[24ページ](1941年)
⑥M・サージェント・マッケイ「悪魔の恋人」[61ページ](1984年)
⑦ジョン・クリストファー「同類たち」[17ページ](1965年)
⑧マイクル・ビショップ「ぼくと犬の物語」[36ページ](1984年)
⑨L・スプレイグ・ディ・キャンプ&フレッチャー・プラット「おいで、パッツィー」[11ページ](1953年)
⑩クリフォード・D・シマック「逃亡者」[24ページ](1944年)
⑪ダミアン・ブロデリック「わたしは愛するものをスペースシャトル・コロンビアに奪われた」[14ページ](1983年)
⑫アルジス・バドリス「猛犬の支配者」[46ページ](1966年)
⑬ブルース・ボストン「一芸の犬」[5ページ](1987年)
⑭ジョナサン・キャロル「最良の友」[34ページ](1987年)
⑮パット・マーフィー「守護犬」[15ページ](1980年)
⑯ハーラン・エリスン「少年と犬」[70ページ](1966年)
フィリップ・K・ディック以外の作家は今回が初読です。
ここに掲載されている作品は、ワンコと人間のほのぼのとした情景を描いたものは一切ありません。
⑧マイクル・ビショップ「ぼくと犬の物語」くらいはちょっとそっち系かもしれませんが、それ以外は心に重くのしかかる灰色の雲のような読後感を味わう結果となります。
なので、そこんところは覚悟して読んでください。
だからと言って面白くないわけではありません。
短編集だけに、SF、ホラー、ミステリー、ファンタジーと色々な楽しみがあります。
ボリュームも9ページの短いものから70ページの中編級のものまで。
結末がはっきりしない作品もありますが、ホラー系にはよくある展開です。
ワンコが人間並みの知性を備えた作品が割と多く(①⑥⑧⑩⑪⑯)、やっぱり人間はワンコと会話したいんだなと思います。
個人的には、ニューヨークで激しい犬排除条例が施行された事をドライでジャーナリスティクに描いた③とか、
自身の生涯と関わった犬たちとの出来事を時代を行ったり来たりしながら語る不思議な雰囲気の⑧とか、
異星の知的生命体との邂逅を描いた⑩とか、
ダークなサスペンス映画のような⑫とか、
ブラックユーモアたっぷりの⑭とか、
本作中最長で、ドン・ジョンソンが若い頃に主演した映画の原作にもなった⑯あたりが印象に残りました。
(⑯はあまり気持ちの良い話ではありませんが)
発表年が40年代~80年代と幅が広いですが、時代の差は全然感じませんでした。
いつもはざっとあらすじを書いておくんですが、作品が多くてあきらめました(^^;
たまにはこういう読書もいいもんです。