$アルバレスのブログ

2010年発表。ヒューゴー、ネヴュラ、ローカス賞受賞。
新書1冊、766ページ
読んだ期間:9日


[あらすじ](ハヤカワHPより)
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2060年、オックスフォード大学の史学生三人は、第二次大戦下のイギリスでの現地調査に送りだされた。
メロピーは郊外の屋敷のメイドとして疎開児童を観察し、
ポリーはデパートの売り子としてロンドン大空襲で灯火管制(ブラックアウト)のもとにある市民生活を体験し、
マイクルはアメリカ人記者としてダンケルク撤退における民間人の英雄を探そうとしていた。
ところが、現地に到着した三人はそれぞれ思いもよらぬ事態にまきこまれてしまう……

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アメリカのSF界の女王、コニー・ウィリスの新作が登場。
ウィリスの十八番、「オックスフォード・タイムトラベル」シリーズの第3弾です。
1作目の「ドゥームズデイ・ブック」は黒死病が猛威を振るう中世を調査しに行った女学生が見舞われる悲劇を描き、
2作目の「犬は勘定に入れません あるいは、消えたヴィクトリア朝花瓶の謎」は一転、喜劇。
で10年を経て本書に至ると。


そしてこの本書は1冊の大著を半分のバッサリ切った前半部になります。
なので、本書だけで評価するのはちょっと厳しい。
後編となる「オールクリア」は来年4月まで待たなければなりません。
長いな~。

本書が2分冊になったのはあまりにもページ数が多いため。
本書は新書で1ページ2段組みで760ページあまり。
背表紙を下にして置くと微動だにせず立ってます↓
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アマゾンで購入した時に2500円超えだったので「妙に高いな」と思ってましたが、届いた時に理由はわかりました。
そして後半の「オールクリア」に至っては本書よりさらにページ数が多いらしい。
う~む、凄いね。


ウィリス自身は分冊される事に納得いってないようですが、これだとしょうがないかもな。
でもやっぱり一気に読みたかった。


どんなに長くてもやはりウィリスはウィリス。
彼女らしい、永遠に続くかのようなすれ違いプロット。
ほんのちょっとの時間のズレ、場所のズレのため、会いたい人に会えない、見たいものが見れない、気づかなければならない事象に気づかない。
これにイライラする人はウィリス作品はつらいでしょうが、それを超えてしまえば彼女の作品ほどハマる作品はありません。
本書も冒頭からいきなりウィリス節炸裂。
「あぁ、これこそウィリスだな」と実感します。


感想は色々あるんですが、8か月後の「オールクリア」まではとりあえず待っておきます。


なので、各種設定などをおさらいしておきます(記憶違いがあったらすいません)



1.タイムトラベルの条件

①過去にしか行けない
②過去の物品は持ち帰れない(微小なもの、ウイルスとかはどうだったか忘れた)
③歴史を改変する可能性がある時代、場所では降下点が開かない
→この3つがあるため政府や民間は手を引き、学術研究のみがメインになった。
④同じ日時に同じ人物が同時に存在できない(一度行った時代の少し前も行けない。その時代に居続けるといつか自分のいた時代になるため。そうなる場合はどうなるのかは不明)
⑤歴史のごくわずかな改変はありうるもののそれを打ち消す変化が起こり結果的に大きな流れに変更はなくなる(はず)
⑥降下点が開く時はおぼろなきらめきで場所が分かるが、それを時代人に見られる可能性がある場合は開かない。場所はいつも同じ場所。
⑦定期的に現代に戻り経過報告するルールがあり、それを怠ると現代から回収班がやってきて連れて帰らされる。
⑧トラベルを繰り返すと時差ボケと似たような症状に陥る。
⑨トラベル前にトラベラーはその時代と場所について徹底的にレクチャーを受け、時代人になりきる。
洋服なども現代からそれっぽいものを使う。名前も変える場合がある。
とにかくその時代人に怪しまれないよう装い、振る舞う。

2.登場人物一覧

①コリン
2060年
17歳の高校生。
12歳の時、黒死病が猛威を振るう14世紀へ旅立ち行方が分からなくなっていた史学部学生キヴリンをダンワージー教授と共に救出した過去を持つ(「ドゥームズデイ・ブック」)。
史学部の女子大生ポリーに夢中でつきまとい中。
タイムトラベルでポリーとの年齢差を埋めようと画策。

②ダンワージー教授
2060年
オックスフォード大学史学部教授。
全てのタイムトラベルを統括する責任者。
最近、なぜかタイムトラベルのスケジュールを色々と変えており、学生たちが右往左往する事態に…


③メロピー(時代名:アイリーン)
1939年12月~1940年8月(ウォリックシャー州)
1940年9月~10月(ロンドン)
オックスフォード大学史学部学生。
第二次大戦下で疎開する子供たちの生活を調査するため、ある領主館のメイド=アイリーンとして働く。
悪ガキ姉弟ビニーとアルフに辟易。
そんな時、子供たちの間ではしかが流行。
ビニーは瀕死状態になるものの何とか回復。
現代に戻って報告したいものの、館が軍に接収され居場所を失い、とりあえずビニー、アルフ、シオドアを自宅に連れ帰る事になった。
しかしビニーとアルフの母親には会えず、シオドア宅に行くもそこで空襲に遭う…


④マイクル(時代名:マイク)
1940年5月(ソルトラム・オン・シー~英仏海峡~ダンケルク)
1940年夏~9月(戦時救急病院(ケント州オーピントン))
オックスフォード大学史学部学生。
数々の危機的状況の中、英雄と賞賛された人物を観察する研究の一貫として、アメリカ人新聞記者=マイクに扮しダンケルク撤退を取材する。
ダンケルクへの移動手段を探している時に出会ったコマンダー・ハロルドと彼の孫ジョナサンと共にレイディ・ジェーン号でダンケルクに出かけるが、そこはダンケルク撤退の正にその時だった。
その混乱の中でマイクルは右足に重傷を負い、入院する事に…


⑤メアリ・ケント
1944年6月(サリー州ダリッジ)
オックスフォード大学史学部学生。
ドイツのV1、V2攻撃下の救急救命調査のため、応急看護部隊(FANY)の少尉としてトラベル。
同僚のタルボットと移動中にV1攻撃らしきものに遭遇してしまう…
(とここまでで本書は終了。後は「オールクリア」まで出番なし)


⑥アーネスト
1944年4月(ケント)
時代人?
新聞記者。
ドイツ軍を欺くため、風船戦車を設置している。


⑦ポリー(時代名:ポリー)
1940年9月~10月(ロンドン)
オックスフォード大学史学部学生。
ドイツのV1、V2攻撃下のロンドン市民の生活を調査するため、デパート店員ポリーとしてトラベル。
下宿先の人々ら、シェルター仲間と友好関係を結び、デパート店員として暮らす。
現代に状況報告するために灯火管制下出かけるが、その際にいつものシェルター代わりの教会が爆撃で崩壊。
シェルター仲間の人々はそこにいたはずだった…


と、まぁ、こんな感じ。
非常に細かな伏線とかあるので、8か月後まで覚えていられるとは思えないな~。
8か月は長い…


あ、ちなみに「ブラックアウト」とは灯火管制の事で、「オールクリア」は空襲警報解除の事。
空襲警報が解除された後、史学生たちと彼女たちを取り巻く時代人たちには何が待っているのでしょうか?
待ち遠しい…



[人物紹介詳細]
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2.登場人物一覧

①コリン
2060年
17歳の高校生。
12歳の時、黒死病が猛威を振るう14世紀へ旅立ち行方が分からなくなっていた史学部学生キヴリンをダンワージー教授と共に救出した過去を持つ(「ドゥームズデイ・ブック」)。
史学部の女子大生ポリーに夢中でつきまとい中。
タイムトラベルでポリーとの年齢差を埋めようと画策。

②ダンワージー教授
2060年
オックスフォード大学史学部教授。
全てのタイムトラベルを統括する責任者。
最近、なぜかタイムトラベルのスケジュールを色々と変えており、学生たちが右往左往する事態に…


③メロピー(時代名:アイリーン)
1939年12月~1940年8月(ウォリックシャー州)
1940年9月~10月(ロンドン)
オックスフォード大学史学部学生。
第二次大戦下で疎開する子供たちの生活を調査するため、ある領主館のメイド=アイリーンとして働く。
悪ガキ姉弟ビニーとアルフに辟易。
そんな時、子供たちの間ではしかが流行。
ビニーは瀕死状態になるものの何とか回復。
現代に戻って報告したいものの、館が軍に接収され居場所を失い、とりあえずビニー、アルフ、シオドアを自宅に連れ帰る事になった。
しかしビニーとアルフの母親には会えず、シオドア宅に行くもそこで空襲に遭う。
空襲は何とかしのぎ、シオドアの母親の好意もあり、シオドアの家にお世話になる。
ビニーとアルフの母親とも何とか会え、二人を引き取ってもらう。
自分の降下点に行けなくなったため、ポリーの降下点を借りようと会いに行くも、すれ違いで会えない。
ポリーを探している内にあるデパートで働く事になったが、そこでついにポリーと再会。
しかもマイクルも一緒だった。
→ポリーの項目へ




④マイクル(時代名:マイク)
1940年5月(ソルトラム・オン・シー~英仏海峡~ダンケルク)
1940年夏~9月(戦時救急病院(ケント州オーピントン))
1940年10月(ロンドン)
オックスフォード大学史学部学生。
数々の危機的状況の中、英雄と賞賛された人物を観察する研究の一貫として、アメリカ人新聞記者=マイクに扮しダンケルク撤退を取材する。
ダンケルクへの移動手段を探している時に出会ったコマンダー・ハロルドと彼の孫ジョナサンと共にレイディ・ジェーン号でダンケルクに出かけるが、そこはダンケルク撤退の正にその時だった。
その混乱の中でマイクルは右足に重傷を負い、入院する事に…
ダンケルクでの自分の行為で歴史を変えてしまったかも知れないと心配するものの、大まかな歴史は変わっておらずほっとする。
その後、ハロルドとジョナサンが2回目のダンケルクへの救出航行から帰ってこなかった事を知る。
さらに、マイクルがダンケルクで助けたハーディー2等兵が519人もの兵士を救った事を聞き、歴史への影響を危惧する。
退院後、自分の降下点に向かうが、そこには軍の大砲が設置されているのを見、もうそこが使えなくなっている事を知る。
マイクルは同じ時期にロンドンに降下したメロピーを探しに行く。
→ポリーの項目へ


⑤メアリ・ケント
1944年6月(サリー州ダリッジ)
オックスフォード大学史学部学生。
ドイツのV1、V2攻撃下の救急救命調査のため、応急看護部隊(FANY)の少尉としてトラベル。
同僚のタルボットと移動中にV1攻撃らしきものに遭遇してしまう…
(とここまでで本書は終了。後は「オールクリア」まで出番なし)


⑥アーネスト
1944年4月(ケント)
時代人?
新聞記者。
ドイツ軍を欺くため、風船戦車を設置している。


⑦ポリー(時代名:ポリー)
1940年9月~10月(ロンドン)
オックスフォード大学史学部学生。
ドイツのV1、V2攻撃下のロンドン市民の生活を調査するため、デパート店員ポリーとしてトラベル。
下宿先の人々ら、シェルター仲間と友好関係を結び、デパート店員として暮らす。
現代に状況報告するために灯火管制下出かけるが、その際にいつものシェルター代わりの教会が爆撃で崩壊。
シェルター仲間の人々も亡くなったと思ったが、仲間は全員別の場所に避難しており無事だった。
ただ、ポリーは降下点が見つからず、現代に帰るすべを失い、回収班を待つしかなくなる。
そんな時、近くのデパートでポリーが働いている事を知り、さらにそこが空襲で破壊されるはずのデパートだと気づき、あわてて向かうとそこにいたのはマイクルだった。
マイクルと2人でポリーを探し、見つけたポリーと3人でデパートを後にする。
結局、デパートは大破し3人は九死に一生を得た。
しかし、メロピーが知っている事実と異なる事象が起きていた。
デパートの爆撃で出る死者は3人だったはずが、5人に増えていたのだ…


⑧ジェラルド・フィップス
オックスフォード大学史学部学生。
メロピーたちと同時代にタイムトラベルする予定の学部生。


⑨彼
正体不明。
1940年9月のロンドンに降下する。
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