$アルバレスのブログ

本日5/19(土)に行ってきました。

指揮)川瀬賢太郎
オーボエ)寺島陽介②
クラリネット)ロバート・ボルショス②
ホルン)安土真弓②
ファゴット)ゲオルギ・シャシコフ②
フルート)上野星矢③
演奏)名古屋フィルハーモニー交響楽団
曲目)
①リゲティ: コンチェルト・ロマネスク(ルーマニア協奏曲)
②モーツァルト: オーボエ、クラリネット、ホルンとファゴットのための協奏交響曲変ホ長調
③コリリアーノ: 『ハーメルンの笛吹き』幻想曲(フルート協奏曲)


昨日の初日の感想ツイッターで絶賛されたこのプログラム。
今回は全く予習なしで臨みました。

会場はほぼ満席状態。

指揮者は若手のホープ、川瀬賢太郎氏。
今日のコンマスは田野倉雅秋氏。

早速1曲目のリゲティ「コンチェルト・ロマネスク(ルーマニア協奏曲)」。
郷愁を誘う穏やかな第1楽章から村祭りの喧騒のような第2楽章へ。
さらにはバンダのホルンとステージのホルンとの掛け合いが入って、再び躍動感あふれる展開へ。
最後には小鳥のさえずりが延々と続くような、コンマスの田野倉氏の演奏が印象的でした。
これは中々面白い曲です。

リゲティ作品は今まで1曲も聴いた事がなかったので、今回の演奏を期に早速CD注文しました。

続いて2曲目のモーツァルト「オーボエ、クラリネット、ホルンとファゴットのための協奏交響曲」。
モーツァルト作品かどうかの議論が絶えない作品だとか。
一聴した印象では、いかにもモーツァルトっぽい感じではあります。

普段、弦楽器の後ろにいて良く見えない4つの楽器がステージ先頭にいます。
名フィルの演奏を聴いてていつも思うのは木管楽器の安定感・安心感。
やっぱり安心して聴いていられます。
クラリネットのボルショス氏がやたらと楽器を気にして掃除したり、強く息を吹きかけたりしてましたが大丈夫でしょうか?
吹きかけ音がかなり響いてました。
あと、ファゴットってでかいですね。
穏やかで温かい音色もちゃんと聴けて良い経験でした。
ちなみに4人さんはそれぞれの楽器の名フィル首席奏者。
笑顔で演奏している姿が印象的でした。

モーツァルト作品としての感想ですが、穏やかでまろやかな曲ですね。
ソロ楽器4つの特徴とも合ったものです。
学校や会社でギスギスしていく心を丸くさせてくれるような、ヒーリング音楽的な印象です。
こういう曲を定期的に聴いていると心穏やかでやさしい人間になって行く気がします。

そして最後のコリリアーノ『ハーメルンの笛吹き』幻想曲(フルート協奏曲)。
このコリリアーノも今まで1回も聴いた事のない作曲家。
名フィルもツイッターで詳しく解説するなど力を入れてましたし、18日演奏後の感想ツイッターでも絶賛されていました。
「涙が出た」と言う感想もあり、正直言ってそういうタイプの曲目じゃない気がするけどな~と思っていましたが、それは嘘じゃなかったです。
今回、前評判が非常に高かったのでかなり期待して聴きに行きました。
こういう時はだいたい「期待したほどじゃなかったな」と言うオチが待っていますが、今回はそれを見事に覆してくれました。
本当に良かった。

最初、オペラのようにステージのみライトがともる中、現代作曲家らしい不協和音による不安感がステージを満たした後、スイスの民族衣装のような笛吹に扮した上野星矢氏が演奏しながら入場。
そこからはオケ演じるネズミの大軍と笛吹との戦いの幕が開きます。
ネズミを探してステージを行ったり来たりする笛吹男。
様々な音を駆使してネズミの様子を表現するオケの面々。
まるでそのシーンの映像が目に浮かぶかのような臨場感です。
激しい攻防の末にネズミを駆逐した笛吹の勝利宣言と村人たちの喜びの宴。
徐々にズレていく村人と笛吹。
業を煮やした笛吹は楽器を持ち替え会場の後ろ向かって呼びかけると、2階席左右に子供たちの鼓笛隊が笛吹に合わせて演奏し始める。
通路を歩きながら徐々にステージに上ってくる子供たちとそれを迎える笛吹の演奏は、村人たちを演じるオケの演奏とはリズムもメロディーも異なるもので、ステージ上は混沌として来る。
その後、笛吹に操られるようにステージから降りて行く子供たち。
彼らの一見楽しげな演奏とは裏腹にオケは徐々に悲哀を帯びたメロディーに変貌。
遠ざかって行く笛吹たちのメロディーと村人たちの落胆と後悔を表現するオケの対比が見事です。
笛吹たちが去ってしまった後、会場は暗くなり再びステージのみがぼんやりと照らされ、楽曲の最初の不安定な音色が会場に哭くように響き渡りついには全ての照明が落ち真っ暗に。

実にすばらしい演出、すばらしい演奏でした。
「涙が出た」と言う感想が見事に理解できました。
まさかと思いましたが、ちょっとウルっと来た。
本当に素晴らしかった。

上野星矢氏のフルートも絶品でした。
フルートってあんなにパワフルな音も出るんですね。
また笛吹役も堂に入ってました。

色々と変わった音や演奏も見れました。
コンマスの田野倉さんが弓を指揮者の様に振っているのとか、楽譜台をたたいて音を出すとか、普段聴いた事のない楽器の音もありましたし、ほかにもいろいろ特徴的な音がステージを満たしていました。

川瀬氏の指揮もコントラストの効いた若々しい指揮ぶりでした。
「ハーメルンの笛吹き」では指を1本ずつ出して”1、2、3、…”と指示してましたが、これはどういう意味なのかはちょっと分かりませんでしたけど(^^;

そして子供たち。
小3から高2までの男女(男子は1名でした)19名のエキストラを集めたそうですが、良い経験になっただろうな~。
こういうのを見ると学生時代に自分も楽器やっておけばよかったと思います。
今日もらったチラシに「ヤマハ大人の音楽レッスン」が入ってましたが、ホントに考えようかな~

とにかくこの曲はもう1回聴いてみたい。
CDでは楽しさ半減かもしれないですが、色々探して注文しました。

最後に今月退団のチューバの亀山氏への花束贈呈がありました。

何度も言いますがホントに堪能しました。
今日も寝不足気味だったんですが、全く眠くなりませんでした。
この曲を定期演奏会に選んでくれた名フィルに感謝します。

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