$アルバレスのブログ

2004年発表。
単行本1冊、188ページ
読んだ期間:3日


クラシック音楽を聴くに当たっての基礎的知識と、それを基にして作曲者がどのような意図を以ってテンポや拍子・リズム・旋律・調性・担当楽器などを構築しているのか、それを指揮者・演奏者はどうやって読み解き・解釈し、実演するのかを、実際の楽曲と楽譜を多く用いて解説した本です。


ただ、はるかな昔に義務教育で音楽を学び、その大半を忘れてしまっているわたしのようなものには非常にハードルの高い解説書となりました(^^;
やっぱり、せめて楽器経験者くらいじゃないと厳しいと思われます。
(ただ、楽器についての解説の章は初心者でもかなり面白く読めます)


とは言え、ショパンの「別れの曲」、ベルリオーズの「幻想交響曲」、ドボルザークの「新世界より」、ホルストの「惑星(木星)」、マーラーの「交響曲第5番」、モーツァルトの「交響曲40番」、ラヴェルの「亡き王女のためのパヴァーヌ」、シューベルトの「未完成」「グレート」「野ばら」、スメタナの「わが祖国(モルダウ)」、チャイコフスキーの「悲愴」など有名曲を、楽譜に書かれている事を細かく分析して作曲者の意図を解説してくれるのは、初心者でも「あぁ、そういう事が裏にあるわけね」とちょっと分かった気にさせてくれます。


特に最終章に書いてあるベートーヴェンの「運命」の解説は目から鱗が落ちるようです。
「”運命の鉄槌”は激しく重く突然にやってくる。その時はその”運命”がいかなるものかわからない。なんだかわからないがなにかとてつもない事が起こった。それを表現するのに楽譜上では楽想、音色、調性、リズム、拍子が不明確、不安定になっている」
これは解説されないと全く分からない事でした。
この解説を読んだ後に聴いた「運命」は今まで聴いていた「運命」とは違う作品のように聴こえます。
(そんな気がします)


なので、冒頭では初心者向けではないと言う説明をしましたが、初心者でも得られる知識はありますので、手を出してみても良いと思います。