
2010年発表。ローカス賞受賞。
文庫1冊、573ページ
読んだ期間:6日
[あらすじ]
はるかな昔。
<大渦巻>から一人の神が生まれた。
受容を司る闇の神、ナハド。
その後、秩序を司る光の神、イテンパスが生まれた。
二人は当初、激しく対立していたが、その後和解し、平和な時代が続いた。
さらに変化を司る黄昏の女神エネファが生まれた。
エネファは様々な変化を世界にもたらし、子神を生み、人間を作った。
ナハドはその変化を楽しみエネファを支持した。
イテンパスはエネファのもたらす変化に対し徐々に苛立ちを募らせる。
ナハドがエネファとの関係の親密度を増していく事に疎外感を強くしたイテンパスは二人に戦いを挑んだ。
子神たちと人間の巫女シャハール・アラメリの協力を得たイテンパスはエネファを倒し、ナハドを屈服させた。
ナハドと彼に従った子神たちは、人間の体に封じられ、永遠にアラメリ家の奴隷として生きる罰を与えられた…
それから2000年後。
辺境の小国ダールの首長イェイナは、アラメリ家の当主で世界の統治者デカルタ・アラメリに召集される。
イェイナの母親キニースはデカルタの娘で後継者筆頭だったが、その座を放棄しイェイナの父親と結婚していた。
近々行われる後継者継承式に、後継者の一人としてイェイナは呼ばれたのだった。
イェイナは最近、不審な死に方をした母が誰かに暗殺されたものと思っていた。
その謎を探るため、デカルタの呼び出しに応じたのだった。
継承式までの期間は2週間。
自分が継承式でのいけにえ役となる覚悟を決めたイェイナは、慣れない環境と少ない協力者に苦労しながらキニース暗殺をめぐる謎に迫って行く…
女性作家ジェミシンの処女長編にしてローカス賞受賞作。
ものすごく簡単に言うと大人向けダーク・ファンタジーと言ったところ。
主人公イェイナが過去を回顧する形で語られる小説です。
話はあらすじに書いた通りで、これで半分くらいは言ってます。
全体を通してスローな展開で、劇的なシーンや仰天のどんでん返しみたいなものはなく、淡々と話が進んでいきます。
次にどうなるかが気になってついついページをめくる手が止まらないと言う事もなく。
そのためか、読むスピードが中々上がらず、意外と読むまでに時間がかかりました。
これでは全く面白くないと言ってるようですが、別段そうでもない。
矛盾しますが、なんとなく不思議な味わいがある小説です。
最近良く聞く三部作の第一部だそうで、どちらかと言うと、プロローグ的な小説かな。
ちなみに第二部は本国アメリカでは既に出版済み、第三部は10月刊行予定と言う事なのでもう発売されているかも。
日本では来年末に第二部刊行予定だとか。
ずいぶん時間がかかります。
その頃に覚えてるかどうか自信なし(^^;
最近読んだ大賞受賞作品と言うとヒューゴー賞・ネビュラ賞・ローカス賞・キャンベル記念賞受賞作、パオロ・バチガルピの「ねじまき少女」がありますが、あちらの方が密度は圧倒的に上です。
最近のSFが読みたい人はそちらを読んだ方がいいと思います。