今回は6月に同時発売されたデヴィン・タウンゼンド・プロジェクトの2枚のCDについてレヴューします。
実は発売されていたのをすっかり忘れていて、最近入手したものです。

デヴィン・タウンゼンドはカナダ出身のミュージシャンで、彼の事を初めて知ったのはスティーヴ・ヴァイのソロ・アルバム、ヴァイの「セックス・アンド・レリジョン」。
このアルバムでヴォーカルを取っていたのがデヴィンでした。
この時の印象は「何だか凄いパワフルなヴォーカリストが出て来たぞ!」と言うものでした。
スクリームしても絶対割れない驚異的に丈夫な上に巧みな歌唱を持った稀有なヴォーカリストでした。

その後、自分のプロジェクトやバンドをいくつかやって、ヴォーカルだけでなくギターも巧い事を証明。
実に多彩なアーティストです。
プロジェクトに関しては色々な名前で同時期にアルバムを発表(日本だけ?)した事もあったので、何が何やら良く分からん時期もありましたが、その、独特でなじみやすいメロディや分厚い音作りは彼の持ち味として異色の存在でした。

今回、そんな彼のプロジェクトが同時に2枚発売。
これは彼のプロジェクトの4部作の後ろ2部に当たるそうです。
見事の毛色の異なるアルバムで正に「静と動」にくっきりと分かれたアルバムです。

では、まずは「動」の方から。

Devin Townsend Project/Deconstruction

発売:2011年6月
ディスク:1枚 全9曲(70.8分)
$アルバレスのブログ

前半のテクノポップ調のサウンドから一気に重量級サウンドに変貌する①「Praise The Lowered」に始まり、
「動から静」へ一気に転調する⑤「Sumeria」、
後半、サーカス調からハレルヤコーラスで終焉する激情ナンバーで16分超えの大曲⑥「The Mighty Masturbator」、
チーズバーガーにこだわり連呼する(?)タイトル・ナンバー⑧「Deconstruction」など、
印象的な曲は多数。
その全てに共通するのがカオス。
様々な音が重層的に組み合わされ、乱雑に投入されているようで整合性が取れている、混沌の中の整合と言うか、とにかく圧倒的なパワーの渦に巻き込まれます。
体調の悪いときに聴くと最悪の事態を引き起こしそうな強烈に無駄な熱量を感じるアルバムです。
(褒めてます(^^))

そして次は「静」の方。

Devin Townsend Project/Ghost

発売:2011年6月
ディスク:1枚 全12曲(72.7分)
$アルバレスのブログ

こっちは、まぁ、見事に静かなアルバム。
同じ人が作ったのかと疑問に思うほどの違いです。
ここまでくるとヒーリング音楽ですね。
穏やかたおやか初春の肌に優しい暖かさ。
激しさや混沌とは皆無の世界がここにあります。
1曲、1曲のレヴューはあまり意味が無い気がしますので特にしません。
睡眠導入剤的なアルバムと言って良いかな。
最近の暑苦しく寝苦しい夜のナイト・ミュージックとしてご使用下さい。
(「Deconstruction」が好きな方には絶対受け入れられないアルバムだと思われます(^^;)