ストラディヴァリウス・サミット・コンサート2011 | アルバレスのブログ

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最近はガンプラとかをちょこちょこ作ってます。ヘタなりに(^^)

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昨日5/27(金)に行ってきました。


ヴァイオリン)トーマス・ティム、ゾルタン・アルマジ、リューディガー・リーバーマン、スタンリー・ドッズ、セバスティアン・ヘーシュ、ベルンハルト・ハルトーク、アレクサンダー・イヴィッチ
ヴィオラ)マシュー・ハンター、ヴァルター・キュッスナー
チェロ)ルートヴィヒ・クヴァント、クヌート・ウェーバー
コントラバス)ヤンネ・サクサラ
チェンバロ)シャレフ・アド=エル(①、⑥、⑦)
曲目)
①モーツァルト/ディヴェルティメント ヘ長調KV138
②バーバー/弦楽のためのアダージョ 作品11
③スーク/弦楽のためのセレナーデ 変ホ長調 作品6
④シューベルト/5つのメヌエットと6つのトリオ D89
⑤チャイコフスキー/弦楽のためのセレナーデ ハ長調 作品48
アンコール)
⑥J.S.バッハ/G線上のアリア
⑦モーツァルト/アイネ・クライネ・ナハトムジーク ト長調 K.525 第1楽章


ストラディヴァリウスと言えば、クラシックに造詣が深くない人でも聞いた事のある楽器の帝王のような存在。
わたしがこの名前を知ったのは、子供の頃に読んだ手塚治虫「ブラック・ジャック」の「 ストラディバリウス」と言う話。

B・Jが乗った飛行機がアラスカで機体不良を起こし胴体着陸。
近くのエスキモー村に乗員・乗客が避難する事になるが、持ち物は飛行機に置いていく事に。
ただ同乗していた天才ヴァイオリニストは愛器のストラディヴァリウスを持ち出し、強風で飛ばされてしまう。
夜中、それを探しに出たヴァイオリニストは見つける事が出来ず、さらに指を凍傷で失う事に。
救出されエスキモー村を後にしたB・Jたちだが、その後、エスキモーたちがストラディヴァリウスを発見。
ヴァイオリニストの指と一緒にストラディヴァリウスを埋葬する。

そんな話でした。

この中で機内でパニックに陥った乗客を一瞬でおとなしくさせたのがストラディヴァリウスの音色。
この話とストラディヴァリウスという名前はそれ以後記憶に刻み付けられたわけです。

最近ではテレビ朝日の「芸能人格付けチェック」で練習用ヴァイオリンと音色を比較される存在として知名度を上げていますね(^^;
実際、この音色を聴くのはこういうテレビの中からくらいで、生音を聴けるのはそうそうあるわけではなく、しかもそれが11本も勢ぞろいしているというこのコンサートはある意味奇跡かも。
総額90億円以上!
そして演奏するのはあのベルリン・フィルのメンバー。
今回のメンバーの中ではベルンハルト・ハルトーク氏は元ベルリン・フィルだそうですが、この方だけが個人でストラディバリウスを所有とか。
凄い人です。

今回の席は1階前のほうのど真ん中。
これだと演奏者の人たちの様子が手に取るようにわかります。
これはいい席だったな。

「ただいまから上演いたします」のアナウンスからかなり待たされます。
さすがはストラディバリウス&ベルリン・フィル。
しばらくすると控え室の方からチューニングの音。
それが止むといよいよ入場。
コントラバスはマホガニー色したちょっと古い感じのもののように見えました。
椅子無しで立ったままの演奏。
チェロは椅子ありでした。
ヴァイオリンやヴィオラではイヴィッチ氏のみ紫の布を頬当てに使ってました。

ではいよいよ演奏へ。

①モーツァルト/ディヴェルティメント ヘ長調KV138
わたしの不得意なモーツァルト(^^;
しかし第1楽章が始まった瞬間、心の中で(オォー!)と言う叫びが聞こえます。
始まる前はステージに近いのを利用して演奏者の運指や弓使いとか色々観察しようかと思っていましたが、音が鳴った瞬間、そう言う細かい事はどうでも良くなって、とにかく音の包まれていればそれでいいと思いました。
まさにそんな気にさせる音色。
音の波の中にプカプカ浮かんでいるような。
曲はやはりモーツァルトですね。
明るく楽しい曲です。


②バーバー/弦楽のためのアダージョ 作品11
始まる前にイヴィッチ氏が隣のハルトーク氏のヴァイオリンに自分のヴァイオリンをコツっと当ててしまうハプニングがありました。
イヴィッチ氏「Woops!」とか言って一瞬真顔に。
生でこの単語聞いたの初めて(^^)
当たり所が悪くて、チューニングとか狂ったり、それ以上に何か本体に影響出たら大変でしょうからね。
まぁ、特に何も無かったようです。

さてこの曲とこの作曲家、最初は全然知らない曲、知らない人だと思ってたら、何とこの曲が映画で良く聴くあの有名な曲だったとは…
無知とは恐ろしい。
そしてこの旋律の美しさとせつなさ。
体が震えそうです。
さらに何故か急に今年の頭に亡くなった愛犬の事がフラッシュバックして来て思わず泣く。
なんとすばらしい演奏。
慟哭とか扇情とか言う言葉も当てはまりそうな密度の高い演奏でした。
早速アマゾンでCD購入。


②終了後、チェロのクヴァント氏がいったん帰りかけますが、そのまま続行する事に気づいて戻って来ます。
(この方、直ぐにステージを降りるクセがあるのかも(^^;)

③スーク/弦楽のためのセレナーデ 変ホ長調 作品6
こちらは本当に初めての曲でした。
4楽章形式でそれぞれ楽章に特徴があり多彩で変化のある面白い楽曲。
各楽器がそれぞれの特徴を生かした演奏でした。
楽章終わりで毎回拍手が沸き起こります。
みんな我慢できないようです。
こっちもアマゾンでCD購入。

ここで15分の休憩。

④シューベルト/5つのメヌエットと6つのトリオ D89
苦手なシ徒の一人シューベルトの作品ですが、やはり初めて。
ちょっと良くわかりませんでした(^^;
なぜかと言うと、この曲当たりから腹具合がちょっとおかしくなってきたため。
(耐えろ!我が腹!)と念じていたら演奏が終わってしまった(^^;

⑤チャイコフスキー/弦楽のためのセレナーデ ハ長調 作品48
プログラム最後の曲はこの名曲。
去年、コバケン・スペシャルで聴いて以来の生演奏。
あの時と違って楽器数は少ないですが、迫力は圧倒的でした。
3倍くらいの楽器数があるように感じます。
実は家に帰ってからCDで聴き直してみましたが、迫力が全然違います。
楽器と演奏者の力が相乗効果を引き出した結果でしょうか?
とにかく感動的。
第1楽章終わって盛大な拍手が沸き起こりました。
我慢できないんでしょうね、気持ちは分かります。

プログラムではこれで終了ですが、アンコールが2曲ありました。

アンコール前にティム氏が日本語で演説。
かなり長い時間しゃべってましたが中々達者な日本語です。
「見かけが綺麗なこのホールで演奏できてうれしい」的な発言では場内がちょっと笑いに包まれましたが、ご本人はそんな気じゃなかったでしょうね。
すいません、日本語的にはちょっと笑ってしまう感じなんです。
東日本大震災では心痛めたと言ってもらいちょっとありがたい気持ちになりました。
そして、被災し亡くなった方のためにとアンコール1曲目は⑥J.S.バッハ/G線上のアリア。
こちらも2回目の生演奏ですが、やはり感動的な演奏です。

そういえばヴァイオリンの人たちは曲によりちょこちょこ立ち位置を変えてますが、どういう意味があるんでしょうか?

何度かステージへの出入りをしたあと、ヴァイオリン隊がアンコールの準備に入ったところ、例のチェロのクヴァント氏が引っ込んでしまったため、いったんみんな戻ってしまいます(^^;
その後、改めて来場し、ティム氏が軽く説明。
アンコール2曲目は⑦モーツァルト/アイネ・クライネ・ナハトムジーク ト長調 K.525 第1楽章。

最後はステージ前列に全員並んで自分が持ってるストラトヴァリウスを会場に披露して終了。


今回のコンサートはとてつもなくコストパフォーマンスの高いコンサートでした。
楽器の貴重さが表に出てますが、演奏もプログラムもすばらしく、下世話な表現ですが、実に儲かった気がします。
終わったの21:20頃でしたが全然遅い気はしませんでした。
楽器の響き重み深さが高度な演奏力により見事に引き出されていたと言う印象。
この公演は1993年から続いて今回で9回目と言うことなので、ぜひ来年も聴きに来たいと思います。
(演奏者の方の名前はもしかするとほかの人と取り違えているかも)


会場で2000円で売っていたプログラムには今回演奏されるストラディバリウスが紹介されているのでそれもメモしておきます。
<ヴァイオリン>
・ダ・ヴィンチ(1714年製作)
・1703-04年製作
・キング・ジョージⅢ(1710年製作)
・ホッホシューレ・ストラディヴァリ(1709年製作)
・アウレア(1715年製作)
・1732-34年製作
・ハンマ(1716年製作)
<ヴィオラ>
・グスタフ・マーラー(1672年製作)
・ギブソン(1734年製作)
<チェロ>
・ド・ケルマデック=ブラス(1698年製作)
・ボナミ・ドブレー=スッジア(1717年製作)

ちょっとコマーシャルの入ってるプログラムですが、フルカラーですし、資料的な価値もあるコストパフォーマンスの高いものでした。
これにも満足しました(^^)
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