2010年発表。
単行本1冊、504ページ
読んだ期間:3日
[あらすじ]
アリスはワンダーランド社製の商品説明用アンドロイド。
彼女の仕事はカメ形2足歩行ロボット、レプリカメの万年1号の売り込み。
そのアリスが目覚めると、地球には人間がおらず、どろんこまみれになっていた。
一緒に目覚めた万年1号と、彼女達を見つけたヒトの形をしたヒトデナシと一緒に、万年1号売り込みの仕事をするために、アリスは人探しの旅に出る…
「かめくん」の北野勇作氏の作品で、同じようにレプリカメが出てくるお話ですが、今回の主役(厳密にはそうともいえない)はアリスと言う少女型アンドロイド(本人はセルロイドと言ってます)。
お客さん(人間)にどうすればウケるかを自分で考える事の出来る自立型AIを搭載。
経験を積んで、よりウケる事を学んでいったアリスが目覚めたのはプレゼン対象がいなくなった世界。
代わりにたくさんいるのがヒトデナシと言う存在。
人がいなくなって100年以上経った世界を一生懸命元に戻そうとしているこのヒトデナシは、そもそも人を助けるのが仕事。
なのにその人がいない。
どうすれば良いか考えた末に思いついたのが、人が住んでいた頃と同じような状態にすれば人が戻ってくるに違いない。
そうして、どこからか放送されているTVの映像を元にせっせとどろを片付け、街づくりに励んでいる。
ただ、道理が良く分かっていないので、作られた建物などもどこか変。
車も走ってないのに道路と信号を作り、赤になったらみんなで止まる。
電車の代わりに巨大なゲジゲジが走ったり、地下鉄の代わりに巨大なミミズが地下をもぐる。
会社があっても社長1人と係長1人の2人だけだったり。
アリスと行動を共にするのはこの係長と言われるヒトデナシ。
とぼけた雰囲気の係長、大きく無口でひたすらアリスを守る万年1号とアリスの3人の人探しの旅は、最終的にはなぜ人がいなくなったかの理由にたどり着きます。
そして係長の下で社員として生きていく事にしたアリスと、アリスを守る事を目的としていた万年1号がそれから開放され、新しい仕事を見つけに旅立っていく姿は、ほのぼのとした中にもホロっとさせられる1シーンです。
本書1行目の「-あるいは、万年1号の長い旅-」の1文がちゃんとエンディングにつながっている、意外な緻密さも良い。
色々謎は残ってはいるものの、鈴木志保さんのふんわりとしたイラストともあいまって絵本のように読める良質なファンタジー小説になっています。
活字も大きく、ページ数の割には早く読めます。
たまにはこういう気楽に読める本も良いですね。
出来れば文庫化して、より持ちやすくなっていると良かった。

単行本1冊、504ページ
読んだ期間:3日
[あらすじ]
アリスはワンダーランド社製の商品説明用アンドロイド。
彼女の仕事はカメ形2足歩行ロボット、レプリカメの万年1号の売り込み。
そのアリスが目覚めると、地球には人間がおらず、どろんこまみれになっていた。
一緒に目覚めた万年1号と、彼女達を見つけたヒトの形をしたヒトデナシと一緒に、万年1号売り込みの仕事をするために、アリスは人探しの旅に出る…
「かめくん」の北野勇作氏の作品で、同じようにレプリカメが出てくるお話ですが、今回の主役(厳密にはそうともいえない)はアリスと言う少女型アンドロイド(本人はセルロイドと言ってます)。
お客さん(人間)にどうすればウケるかを自分で考える事の出来る自立型AIを搭載。
経験を積んで、よりウケる事を学んでいったアリスが目覚めたのはプレゼン対象がいなくなった世界。
代わりにたくさんいるのがヒトデナシと言う存在。
人がいなくなって100年以上経った世界を一生懸命元に戻そうとしているこのヒトデナシは、そもそも人を助けるのが仕事。
なのにその人がいない。
どうすれば良いか考えた末に思いついたのが、人が住んでいた頃と同じような状態にすれば人が戻ってくるに違いない。
そうして、どこからか放送されているTVの映像を元にせっせとどろを片付け、街づくりに励んでいる。
ただ、道理が良く分かっていないので、作られた建物などもどこか変。
車も走ってないのに道路と信号を作り、赤になったらみんなで止まる。
電車の代わりに巨大なゲジゲジが走ったり、地下鉄の代わりに巨大なミミズが地下をもぐる。
会社があっても社長1人と係長1人の2人だけだったり。
アリスと行動を共にするのはこの係長と言われるヒトデナシ。
とぼけた雰囲気の係長、大きく無口でひたすらアリスを守る万年1号とアリスの3人の人探しの旅は、最終的にはなぜ人がいなくなったかの理由にたどり着きます。
そして係長の下で社員として生きていく事にしたアリスと、アリスを守る事を目的としていた万年1号がそれから開放され、新しい仕事を見つけに旅立っていく姿は、ほのぼのとした中にもホロっとさせられる1シーンです。
本書1行目の「-あるいは、万年1号の長い旅-」の1文がちゃんとエンディングにつながっている、意外な緻密さも良い。
色々謎は残ってはいるものの、鈴木志保さんのふんわりとしたイラストともあいまって絵本のように読める良質なファンタジー小説になっています。
活字も大きく、ページ数の割には早く読めます。
たまにはこういう気楽に読める本も良いですね。
出来れば文庫化して、より持ちやすくなっていると良かった。
