ロバート・A・ハインライン「ダブル・スター」 | アルバレスのブログ

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最近はガンプラとかをちょこちょこ作ってます。ヘタなりに(^^)

1956年発表。ヒューゴー賞受賞。
文庫1冊、279ページ
読んだ期間:2日


[あらすじ]
おちぶれた俳優のロレンゾは、ある時酒場で見かけた男に声をかけた。
あわよくば1杯ご馳走になろうとしただけだったが、その男からある依頼を受ける事になる。
それは元太陽系帝国首相、ボンフォートの替え玉役だった。
一度は断ったロレンゾだったが、プライドをくすぐられた末についに一世一代の大芝居に臨む決意をする。
舞台は火星人との入巣の儀式。
地球人とは異なる習慣、習俗の上、全く融通が利かない火星人との一大儀式は、失敗すれば地球と火星の全面戦争にもつながる。
ロレンゾは一人、人生と命を懸けた大舞台に立ち向かう…


読み終わったのは去年の年末ですが、色々あって本日レビューをUPします。
元は「太陽系帝国の危機」という邦題で出版されていたものの改題・新訳版です。
発表されたのが50年以上前ですが、時代の古さはそれほど感じられず、結構楽しめます。
主人公のロレンゾはプライドだけは高い三文役者で、日本で言うと旅芸人一座の二代目のような存在。
父親からは厳しく役者道を仕込まれますが、自分はそれに応えられないという自信の無さから、亡くなった父親の存在は今でもプレッシャーとなっている。
政治には無関心で大の火星嫌い。
そんな彼が大政治家ボンフォートの替え玉になるために、ボンフォートの著作・映像などを徹底的に調べつくし、彼の仕草、しゃべり方を完璧に真似していくわけですが、このあたりは人を演じるとはどういう事かを克明に記した演技マニュアルのようです。
ハインラインは「月は無慈悲な夜の女王」で、レジスタンス組織の作り方とクーデターのやり方を詳細に著しましたが、本書はその政治・演技版のような印象。
こういった事を書くのが好きなのかも知れない。


280ページ弱の短い小説ですが中身はかなり濃いです。
ラストの仕掛けも気が利いてます。
始めはコメディタッチ、終わりは深みのあるSF小説です。

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