1994年作品。星雲賞受賞。

 



過去へのタイムトラベルが可能になった近未来。

二人の古生物学者が6、500万年前の恐竜たちの闊歩する時代に赴く。

そこで遭遇した恐竜は人語を解する知性のあるアメーバ状の生命体=ヘットに寄生された存在だった。

子供言葉で話す恐竜=ヘットとは何者か?

彼らの目的は何か…

 



以下、ネタバレしないように振り返ってみます。

 



わたしの読書のクセとして、あとがきから読むというのがあります。

まずは、予備知識を仕入れてから読むというのが目的。

今回のあとがき(訳者あとがき)では本書で解明される主な謎が紹介されています。

 



1.恐竜はなぜ絶滅したのか。

2.恐竜はなぜあれほど巨大化できたのか。

3.白亜紀と第三紀の境界線になぜイリジウムの豊富な地層があるのか。

4.恐竜の肉はうまいのか。

5.火星はなぜ死の惑星になったのか。

6.時間旅行はなぜ可能でなければならないのか。

 



1.と2.は素人のわたしたちでも気になるところですが、作者なりの解釈(本書での)がされており、これは中々面白い解釈です。

内容は読んでもらった方が面白いかと。

 



3.については一般人には何にも興味のない事ではないでしょうか。

正直わたしもどうでもいい感じでした。解説も数行くらいなので、主な謎って感じではない気がします。

 



4.は気になりますねぇ。あれだけでかいと食べ甲斐があるし、もし現在で繁殖出来たら食糧難も解決に向かいそう。

想像ではワニ系の淡白な肉っぽい気がしますが、作中では筋がきつくて固いので美味くない。

まぁ、そうかもなぁ。

 



5.は急に火星の話ですが、ここはネタバレしないと話せないので言いますと、この当時の火星は生きた星という設定。

そしてヘットとは火星から来た生命体です。

それが現代ではなぜ死の星になってしまったのか?

これに対しても解釈されています。

ただ、ヘットと対立する××がどのような生命体なのかの掘り下げが今ひとつ。

 



そして6.

一応の回答が用意されていますが、個人的にはあまりすっきりしません。

直接的な回答はありますが、なんというか「卵が先かにわとりが先か」的な部分の整理はどうなってるのか良く分かりません。

タイムパラドックスの回避についても微妙な気が…

 



という訳で、若干、物足りないところもありますが、300ページちょっとの枚数の中に色々な要素を巧くまとめてあり、最初と最後に主人公の私生活を挟み込む構成も見事。

 

(ちょっとラストに向けて謎解きがバタバタしてる感がありますが)

登場人物はヘットも含めて6人(内3人はちょっとだけの出演)なのでキャラも分かりやすく、

ラストの恐竜たちの襲撃シーンも迫力があって、全体的は良い作品です。

 



この後、予定では「占星師アフサンの遠見鏡」が読書予定リストに入ってますが、

ソウヤー作品は他にも気になるものもあるので、ちょこちょこ読んで行く事になりそうです。

 





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