トロイアの総大将ヘクトルの死後からトロイア戦争終結までを描いた叙事詩。
ホメロスの「イリアス」直後から始まり「オリュンポス」の直前あたりまでが描かれます。
とにかく、アキレウスの死~トロイの木馬~トロイア戦争終結という最も盛り上がる部分だけ合って、
大変読み応えもあり。
せっかくなのであらすじを。
ヘクトル戦死後のトロイアにアマゾンの女王ペンテシレイアが12人の女戦士を連れて加勢に登場。
勢いに乗って戦場で暴れまくる。
それを見たトロイアの奥さんたちも家族の仇を討とうと立ち上がりかけるが諌められて引っ込む。
ペンテシレイアらの活躍もアキレウスらギリシア勢の英雄たちの反撃に合い、一人また一人と倒れ、ついにペンテシレイアもアキレウスに討たれる。
ところがアキレウスは殺した後にペンテシレイアの美しさに気づき激しく後悔。
次のトロイア勢の援軍として現れたエチオピアのメムノンとその一軍は、ギリシャ勢を一気に押し返すが、アキレウスは激闘の末これを倒す。
トロイアを推すアポロンはその矢でもってアキレウスの唯一の弱点であるかかとを射抜き重症を与える。
傷を負いながらも更に暴れまくるアキレウスだが、ついに力尽き息絶える。
アキレウスの弔いを兼ねた競技会が開かれるが、最後の賞品であるアキレウスの武具は、彼の遺体を最後まで守ったものに与えられる事になる。
立候補した大アイアスとオデュッセウスは激しく主張を繰り返すが、最終的にはオデュッセウスの勝ちとされる。
これに憤った大アイアスは激怒のあまり全てを呪って自害する。
多くの勇将を失ったギリシャ勢はアキレウスの子、ネオプトレモスの参戦を求めるため、オデュッセウスとディオメデスが彼を迎え行く。
その頃、トロイア勢は新たな援軍としてヘラクレスの孫、エウリュピュロスを迎え、彼に率いられたトロイア勢はギリシャ勢を圧倒する。
そこへオデュッセウスとディオメデスに連れられたネオプトレモスが登場。
父アキレウスに優るとも劣らぬ活躍を見せ、エウリュピロスと対決。ついにこれを倒す。
援軍をことごとく失うトロイア勢だが、何とか踏みとどまり、戦線は一進一退のこう着状態に陥る。
ここでオデュッセウスとディオメデスは、トロイア攻めの道中でケガを負いレムノス島に置き去りにした弓の名手ピロクテテスに参戦を求めに行く。
不満を抱きながらも参戦の求めに応じたピロクテテスの放った毒矢はパリスを傷つける。
治療を求め本妻のオイノネの元に赴くパリスだがオイノネはそれを拒否。
パリスは遂に命を落とす。
火葬にされるパリスの元に訪れたオイノネは自ら火の中に飛び込み夫パリスの遺体と共に果てる。
再びこう着状態に陥った戦況を奪回すべくオディッセイアは木馬作戦を提案。
エペイオスの指揮の元、完成された巨大な木馬にギリシャ勢の英雄たちが乗り込む。
他のギリシャ勢は、撤退を装い、陣を引き払い船で沖へ向かう。
これを見たトロイア勢は、木馬と共に残ったギリシャのシノーンから、「ギリシャ勢は撤退した。木馬は女神アテネへの捧げ物だ。」という言を入れ、木馬を城内に引き入れる。
その夜、戦勝に沸くトロイア勢は宴を開く。
隙を見て合図を送るシノーン。
これを見たギリシャ勢は木馬から飛び出し、城門を開く。
それに呼応し、撤退したと見せかけていたギリシャ勢も城内になだれ込む。
不意をつかれたトロイア勢は次々とギリシャ勢に討たれていく。
トロイアの王、プリアモスはネオプトレモスに討たれ、ヘクトルの遺児アスチュアナクスは城壁から投げ落とされ、ヘクトルの妻アンドロマケは捕虜となる。
パリス亡き後、ヘレネの夫となっていたデイポボスは本来のヘレネの夫、メネラオスに討たれ、ヘレネはメレラオスに捕まる。
トロイア勢の勇将のなかではアイネイアスが何とか場外に脱出を図る。
戦勝の宴の後、凱旋帰国しようと船出するギリシャ勢だが、女神アテネが彼らに神罰を下す。
その理由は、トロイア城内での戦闘の際に、小アイアスがプリアモスの娘カサンドレをアテネの神殿で陵辱したためだった。
ゼウスの意を受けた女神アテネはギリシャ船団に大嵐をぶつけ、船団をちりぢりに引き離す。
その中で小アイアス含め多くの者が命を落とす。
アテネに乗じたポセイダオンの放つ大波は浜にも上陸し、トロイアは水没する。
こうして10年に渡るトロイア戦争は終結をみる。
あらすじの割にはずいぶん長くなりました(^^;
最初にも書きましたが本書は本当に盛り上がる部分なのと、非常に読みやすく訳されています。
小説的な趣きです。実に面白かった。