やっと「ク」が終わって次はサ行でダン・シモンズ.
SF好きな人なら(きっと)必ず知ってる作家。
読んだのは以下の7作品。
・ハイペリオン
・ハイペリオンの没落
・エンディミオン
・エンディミオンの覚醒
・ザ・テラー-極北の恐怖-
・イリアム
・オリュンポス
最初の4作はシリーズ物で、それぞれ上下巻なので全8冊、4000ページを超える超大作。
28世紀の人類を描いたSF小説ですが、ミステリー、ホラー、ハードボイルド、サイバーパンクなど
ありとあらゆる小説ジャンルをつぎ込んだ上にものの見事に纏め上げた稀代の作品で、
解説者の言では「これを読んだら他の小説はもう読まなくていい」とまで言わしめた作品。
確かにボリュームがすごいので、わたしも二の足を踏んでましたが、読み始めたら止まらない、
強力な一品です。
内容はとにかくてんこ盛りなのであらすじを書こうにも膨大になるので敢えて書きませんが、
絶対読んで損はしない作品。
一部、広げすぎた風呂敷が畳みきれていない箇所もありますが、気になりません。
いや、気にはなりますが、あふれる満足感がそれを覆い尽くしてしまいます。
ちなみに「ハイペリオン」と「エンディミオン」の間には270年の隔たりがありますが、
完全な続編で、一部登場人物もつながってます。
なんで270年も離れているのに同じ人物が出てくるのかは読んでみればわかります。
なお、「SFの殿堂 遥かなる地平」という短編集には、さらに続編となる短編が書かれているので、
これを含めて一つの作品群となっている感じ。(「ヘリックスの孤児」というタイトルの短編)
こちらは「エンディミオン」のヒーロー、ヒロインの息子が出てきます(ちょっとだけですが)。
次の「ザ・テラー-極北の恐怖-」(全2巻)は19世紀中頃、遭難した北極探検隊が巨大な
白熊のような怪物に襲われるというホラー小説。
ただ、ここで描かれるのは怪物との戦いが主眼ではなく、極限の環境に置かれた人間たちの
恐ろしさ、エゴが主眼なので、モンスターホラー小説と思うとスカされます。
わたしは見事にスカされました(^^;
ちょっと先入観を持ちすぎて読んだので微妙な感じ。
ただ、読んでると背筋が寒くなるほど極寒の極地の雰囲気が味わえるのがシモンズの凄さ。
後の2作品はまだ、文庫本化されてないので、ハードカバーの単行本になってます。
こちらは、トロイの木馬で有名なトロイア戦争を大胆にアレンジしたSF。
「イリアム」「オリュンポス(全2巻)」で2000ページ弱ですが、もし文庫本化されたら3000ページ級の
大作になりそう。
技術的精神的に退化し激減した人類と、かつて人類に作られその後自己進化したロボットたちと、
火星でトロイア戦争を再現しているアキレウスやヘクトルと言ったギリシャ神話の英雄たちと、それに
ちょっかい出してるゼウスを始めとするギリシャ神話の神々、それに得体の知れない異形の神々という
説明しづらい設定をものの見事に小説化した作品。
持ち歩くにはかなり辛い極厚単行本ではなく文庫版で読みたかった。
ハヤカワさん早く文庫化してください。
「ハイペリオン」シリーズ同様、数冊分のプロットをぶち込んでそれなりにまとめた筆力はさすが。
ただ、難を言えば、「ハイペリオン」シリーズよりさらに広げた風呂敷はやはりそれなりに畳みきれて
おらず、「あれは結局どうなったの?」という箇所が随所に見られます。
まぁ、それでも面白い事にはかわりは無いですが。
続編を書くとか書かないとかの話もあるようですが、ぜひとも書いていただきたい。
そうなるとさらに1000ページ以上追加されるでしょうねぇ。
※ 追記
ダン・シモンズのオフィシャル・サイトをたまたま見たら、「ハイペリオン」映画化らしき記述が…
本当かいな?英語分かる人、翻訳してくれないだろうか…
こちらは文庫。