※画像は500L
500D’57年モデル
エンジン:空冷2気筒OHVリア縦置き
排気量:479cc
ボア/ストローク66.0×70.0mm
圧縮比:7:1
ウェーバー28IMB1キャブレター1基
最高出力:21PS/4,800rpm
最大トルク:3.6mkg/3,500rpm
トランスミッション:4MT
F独立ウィッシュボーン&横置きリーフスプリング
R独立セミトレーリングアーム
ブレーキ:前後ドラムブレーキ
燃料タンク:21L
タイヤサイズ:125-12
ボディサイズ:L2,970×W1,320×H1,298
ホイールベース:1,840mm
トレッド:F1,121mm/R1,135mm
車重:486kg
最高速度:95km/h
500R’72年モデル
エンジン:空冷2気筒OHVリア縦置き
排気量:596cc
ボア/ストローク73.5×70.0mm
圧縮比:7.5:1
ウェーバー24IMB1キャブレター1基
最高出力:18PS/4,000rpm
最大トルク:3.7mkg/2,800rpm
トランスミッション:4MT
F独立ウィッシュボーン&横置きリーフスプリング
R独立セミトレーリングアーム
ブレーキ:前後ドラムブレーキ
燃料タンク:21L
タイヤサイズ:125-12
ボディサイズ:L2,970×W1,320×H1,325
ホイールベース:1,840mm
トレッド:F1,121mm/R1,135mm
車重:525kg
最高速度:100km/h
1971年に登場したフィアット500Lは、イタリアを象徴する小型車フィアット500の拡大版として市場に導入されました。このモデルは、フィアットが1960年代後半から1970年代にかけて製造した一連の「大きな500」として知られていますが、特に500L(Lusso)は、その名の通り「豪華版」と位置づけられていました。
設計と機能
フィアット500Lの設計は、元々のフィアット500のコンパクトなスタイルを踏襲しつつも、より実用的で快適な内装が施された点が特徴です。全長3メートル未満という小さなボディながら、内部は意外と広く感じられる設計になっており、小型車ながら4人が乗車可能な空間を提供しています。また、リアエンジン・リアドライブ(RRレイアウト)を採用しているため、小回りが利きやすく、狭い街中でも扱いやすいのが魅力です。
エンジンは、空冷式の2気筒499ccエンジンを搭載しており、18馬力を発生します。この小さなエンジンは、そのサイズからは想像もつかないほど元気な走りを見せ、フィアット500Lの軽快なドライビング体験を支えています。トランスミッションは4速マニュアルが基本で、非常にシンプルながらもドライバーに直接的な運転の喜びを感じさせることができます。
インテリアと装備
内装においては、500Lの「Lusso」(豪華)の名が示す通り、基本モデルのフィアット500よりも充実した装備が施されています。当時としては高級感を演出するために、クローム仕上げの部品や良質な布製シート、そして天井にはビニールのライニングが施されていたことが特徴です。また、ダッシュボードには実用性を考慮した収納スペースがあり、小物を置くのに便利です。フロントガラスの開閉機能や、内部の通風を良くするための設計など、細かな配慮がなされています。
フィアット500Lは、その登場がイタリア国内だけでなく、世界中での小型車ブームの火付け役となったことで知られています。1960年代から1970年代にかけての経済成長と共に、多くの家庭が初めて自動車を手にするようになり、フィアット500シリーズはその需要を捉えるのに最適な車でした。特に500Lは、その手頃な価格と維持費の安さで、多くの若者や小家族に受け入れられました。
カルチャーとしても、フィアット500Lは多くの映画やテレビ番組に登場し、イタリアの日常や風土を色濃く反映したアイコンとなっています。小さな車体が織りなすチャーミングな存在感は、今日においても多くのコレクターやカーエンスージアストから愛され続けており、クラシックカーとしての価値も高まっています。
現代における評価
現代においてフィアット500Lは、クラシックカーとしての魅力に加え、エコフレンドリーな都市型移動手段としての再評価も進んでいます。そのコンパクトなサイズと経済的な運用性は、今日の都市部における交通の問題を解決する手段としても理想的です。また、そのユニークなデザインと歴史的背景は、自動車文化を象徴するものとして、多くのイベントや展示会で引き続き注目を集めています。
フィアット500Lは、その誕生から半世紀を超える今でもなお、多くの人々に愛され続ける車であり、その魅力は時代を超えて受け継がれているのです。