T19「始まったぜ渓流シーズン!景気付けに、今日のお昼はマグロのカブト焼き!」
ティンバー「今年もヤマメ狙いか?」
T19「それがこの地方はアマゴが中心らしいんだな。取り敢えず愛知のアマゴで手慣らししてから、いずれは岐阜県神通川、もしくは長野県梓川へ出向く!狙いはブラウントラウト」
ティンバー「ブラウンって、メチャメチャごっついで?自分のタックルで獲れるんか?」
T19「管釣りじゃあるまいし、そこまで大きな奴は居らんでしょ。俺はサイズには拘らないから、20センチぐらいのが釣れたらそれで満足かな。まぁ次の休みはアマゴ釣りに行こう!アンバーも来るか?」
アンバー「!」
新天地たる中部地方は岐阜、長野を始め渓流釣りの聖地が数多く存在して、お馴染みの在来トラウトはもちろん、ブラウントラウト、ブルックトラウト等の外来種も定着しているそうで、今年は存分に楽しめそうです♪
パッケージの原材料欄に“バチ・キハダ(日本又は台湾又はその他)”と書かれ、結局何処の誰なのかよく分からないマグロの目玉を食らいながら(笑)、1人闘志を燃やす私T19。
3月14日、寝起きが悪く目が痛いのを堪え、朝3時半出撃!行く先は、岡崎のすぐ上に位置する愛知県豊田市!
豊田市と言えば、そりゃあ世界のTOYOTAの本拠地ですから大都市をイメージしてしまいますよね。
ところが衛星写真を見たら実際は山が多く、矢作川水系の渓流河川が豊富にある自然の宝庫!
この度T19は名倉川漁協のアマゴ年券を買ったので、その管轄エリアへと向かいます。
フィールド近辺の山道は狭く不規則にうねっており、それでいて次々対向車が来て、轢かれた鹿が倒れてたりと、愛知特有の交通量に環境が追い付けてない状況・・・。
目的地到着。小雨が降る暗い中、カイロを全身に貼って、新調したウェーダーを車から降ろします。
前のウェーダーは父が田植えに使ってた物で釣り用ではなく、1シーズンであっさりズタボロになっちゃいましたが、新しいのは釣り専用!
“フェルトスパイクソール”というヤツです!どんな足場でもピタッとロックしてくれそうな頼もしさ!
ウェーダー、タックル、ライジャケ、リュックを装備。雨が止み、日の出と共に入渓!
雪が残るヒンヤリした渓流はなかなか神秘的な雰囲気で、ワクワクしながら岩に足を掛けた瞬間、ズルッ!
・・・おいおい、フェルトスパイク・・・いきなり盛大に滑っちゃったんだが・・・。
まぁ何かの間違いだろうと歩き出すと、またツルン!この靴底メッチャ滑るじゃねぇか!
アイスバーンとかならいざ知らず、何でもない乾いた岩の上でも滑ってしまうのにはかなりガッカリ。明らかに前のウェーダーより滑る・・・。
「買った以上は使い込んでみるか」と滑りながら意地で進み(笑)、水深のある所へ新兵器Dコンセプトを撃ち込んでいく!
が、雨の影響で水は濁り気味。トラウトはもちろんハヤの姿も見えず、何か引くぐらい生命感がありません・・・。
Dコンパクトにすらチェイスが無かったため、このポイントは素直に諦めて移動することに。
漁協の区域図とグーグルマップのストリートビューを照らし合わせて、良さげな場所をナビに設定します。
運転中、高校時代の同級生から電話が掛かり、車を止めて10分ぐらい通話。私が滋賀近辺に戻って来てると知って連絡してきたそう。
奴は自慢話の多いハイテンションな男でしたが、今やすっかり落ち着いてそれなりの地位に就いていました。
「また、パブでギネス飲もう」と微妙に格好付けた文句と共に電話を切る辺りはアイツらしいけど、そうか、アイツも大物になってんのかぁ。
何かみんな、どんどん立派になっていくなぁ。
俺は28歳で、オッサンの領域に突入しちゃってるのに、今の立場は新人社員。
ほんの数ヵ月前までリーダーとして現場を仕切ってたのが、今は振り出しに戻ってペーペー。
自分で選んだ事だし、当然の事ではあるんですが、理解はできても納得ができない複雑な気分になると共に、急に体が重たくなりました。
同級生との数年振りの会話を喜ぶ間も無く、自分を客観的に見ちゃって憂鬱になっちゃったT19でした。まぁ、釣りしよか。
次のポイントは道路沿いで開けている所謂“里川”って呼ばれるタイプ。
両岸はコンクリートで渓流っぽさはあんまりですが、日光がダイレクトに当たる分、視覚的にはかなり暖かな雰囲気です。
さっきの場所より濁りは軽く、水中を覗いたら小さなヨシノボリが岩陰からこちらを眺めていました。
釣ることは不可能なサイズだけど、やっと魚の姿を確認できて一安心。
ちなみにこの地域には『トウカイヨシノボリ』という貴重な種が居て、目の前のヤツもそれかもしれません。
が、ヨシノボリ類の判別は難しく私じゃ何とも言えない・・・。
アンバー「・・・」
T19「何だ、泳ぎたいの?」
アンバー「!」
T19「まぁ割と流れは緩いし、トラウトにチャレンジしてみるか!」
アンバー「!」
ここで、日光を浴びてフラッシングパワーが滾る、やる気満々のアンバータイガーをスナップにセット!
3センチと十分トラウトに使えるサイズではあるし、ティラピアの引きにも耐えているので、ひょっとしたらドラマが起きるかもしれない!
しかし現実は甘くは無く、速攻で流れに捕まり、弾かれ、揉まれ、釣れる釣れない以前の状態なアンバーは、グッタリした様子で手元に帰って来ました。
T19「やっぱ俺の手作りルアーじゃ渓流は無理か・・・」
アンバー「・・・」
「幼いルアーよ!背伸びは程々にし給え」
T19「カウントダウン!」
CD「全く、渓流は過酷だという心構えをもう忘れたのですか?まして初めての釣り場で、思い付きで我が子を投げるなど、考えがあまりに浅いでしょう、主殿」
T19「久し振りなのにいきなりお説教かい」
CD「ここは予が行きます。昨年散々ぶつけられて、一寸打たれ強くなりましたので」
T19「分かった。頼むよ!」
CD「仰せの通りに」
漂うように沈み、流芯に入り込んでリアルなアクションを魅せるカウントダウン。
癖でトゥイッチを入れたら、少々面倒臭そうに体を捩ってすぐに元の体勢に戻ります。
陽の光と水の濁りと揺らぐ波が魚の形に成って、カウントダウンの後ろに付いた!
岸まで2メートル弱。魚と私はすぐに目が合い、お互い「あっ」ていう表情でしたが、魚は「ええい!行ったれ!」的な勢いでバイト!
T19「車の運転向いてないタイプだな」
CD「要らんことを言って魚を煽るんじゃない。上手く獲って下さいよ!」
T19「任しとけ!愛知初トラウト、もらったぁぁぁ!」
胴に赤い斑点が見えるし『アマゴ』には相違ないんですけど、パーマークが殆ど見えないほど銀白色が強いキラキラの魚体!
中国山地のアマゴとはまるで別の魚です。
T19「これってスモルトってヤツじゃないの!?」
CD「銀毛雨子かもしれないし、皐月鱒かもしれない。予でもどちらか判りません。鱒の世界は奥深いのです」
T19「まぁ、釣れてくれたんだし何でも良いか」
アマゴはリリースし、午前の部は終了。昼からも日当たりの良い里川を重点的に攻めることにします。
この時は「アマゴもう1本追加できたらラッキー」ぐらいの想いでしたが、この後予想を超えた出会いが・・・次回に続きます。
今回の決まり手:アモルファスウィスカー・ファントム562ULF+サハラC2000HGS+フロロカーボン3ポンド+CountDown3