スクリーム「買ったねー!まだポイント開拓進んでないのに」
T19「コイツ等を使って開拓するんだよ!しかもトリプルフライのドラドカラーが手に入るとは・・・通販ってありがてぇ!」
ティンバー「アンバーも使うたるんやで。せっかく作っといてロクに投げもせんと次から次に新しいルアー買うとったらあかんやろ」
T19「もちろん使うけど、どうしても動きが危なっかしいんだよなアンバーは。やっぱここぞって時は市販のルアーで勝負を」
ティンバー「1回2回しか投げてへんのに決め付けるんちゃうの。アンバーはウチをモデルに作った以上、キッチリ釣ってもらわな困りまっせ!まずは100回ぐらい投げ倒してみ!」
T19「わ、分かったよ・・・」
1月14日、早朝から車を出し、三重県桑名市に到着!
有名な温泉街であるこのエリアでは、温排水が近隣の水路に流れ込むことで、珍しい魚が棲み付いていると専らの噂。
天気は雪。観光地とは思えないモノトーンのどんよりした世界が広がり、人影も皆無。
「近頃またコロナが酷くなってきたみたいだし、この静けさは好都合じゃないか」と考えつつ、タックルを準備します。
寒さにはひたすら耐えるしかないけれど、雪の日ほど温排水ポイントの絞り込みは楽になる。
まず、水面に氷が張ったり雪が乗ってるような場所で温排水は有り得ない。そして、温排水が注ぐ場所では湯気が上がっているはず。
無数の水路を転々としていると、遂に薄っすら湯気が立っている流れ込みが!よっしゃ!行け!アンバータイガー!
プカリと水に浮いてウォブリングを始める、我が手作りシャロークランク、アンバータイガー。
3センチ、4グラム。潜行深度は0~数十センチ。アユースウッド製。サーキットボードリップ使用。真珠貝シート貼り。
スペックだけなら悪くないんだけど、モデルにしたティンバータイガーとは比べ物にならないバランスの悪さ・・・。
それでも必死さだけはちゃんと伝わって来る、そんな泳ぎ。
ティンバーに言われた通り100投ぐらい投げまくってやるつもりで、キャストの度に数を勘定しました。
でも、勘定しても勘定してもし尽くせないほど、投げたルアーが虚しく泳いで戻って来る繰り返しで、何も起きません。
終いには指が悴んでまともに動かせなくなって、車に避難して暖を取ることに。
T19「あぁぁぁ寒ぃぃぃ」
ティンバー「風邪引かんように頑張りやー」
T19「他人事だと思いやがって・・・」
スクリーム「あーあ、旦那やっちゃいましたねー」
T19「やっちゃった?何が?」
スクリーム「どーん!」
スクリーム「一昨日から移動自粛出てたっぽいっすよ、三重県」
T19「えっ!?ヤベぇ知らなかった・・・いやでも、ここは愛知から数キロの距離。ギリギリセーフなんじゃ」
スクリーム「いやアウトよ」
T19「アウトと言うよりも、限りなくアウトに近いセーフと言うか」
スクリーム「往生際が悪い!どうする?」
T19「・・・分かった。今んとこ誰とも接触してない。今からも誰とも会わず、来た以上はちゃっちゃと魚釣って、釣り次第すぐ帰る。この不祥事の埋め合わせはまた後日だ」
しかし、決して文句言うわけじゃないですが、新型コロナが騒がれ出してもうすぐ2年。
「今度こそ抑え込みましょう」というお偉いさんのメッセージの下、自粛要請に次ぐ自粛要請。
やっと解除されたと思ったら感染者が増えて自粛要請。ワクチン接種が進んでも変異株が流行って自粛要請。
「この件、ずっと続くんかなぁ」と雪空を見ながら考えました。
2年間で私の知り合いに感染した人が居ないこともあって、正直、コロナが身近に居て危険だという警戒心はかなり薄らいできてる。
私自身、仕事柄1日何度もシャワーを浴びて消毒を行い、健康に気を遣い、もちろんマスクも常に付けています。
「万が一キャリアーになってはならない」という想いと、「世の中に後ろ指差されながら釣りしたくない」という想い。
今、私が要請を守ろうと努める理由はその2つだけで、自分が感染することへの恐怖はあまり無い、想像もしにくいというのが本心。
こんなこと、雪の中1人悩んでても仕方ありません。とにかく急いで目的を果たして帰らなければ!
テンポアップしてランガン!それでも時間が勿体無くて、湯気を探して水路沿いをラン!(笑)
そして!水面が見えないほど濃い湯気が広がる、温排水ってより温泉そのものと言うべきピンポイントを発見!
そしてそして!湯煙の中、長い胸ビレを持った数十センチの魚が、水面を波立てておりました。
ティンバー「ティラピア!?沖縄に居った奴や!」
T19「そう。この辺では、排水が水路を高温に保つことで、ティラピアが大繁殖したらしい」
今回のターゲットの正体は、エジプト原産の外来魚、『ナイルティラピア』。
大学時代の沖縄釣行で何度も釣った魚種。エンゼルフィッシュ、ディスカス、ピーコックバスの仲間。
・・・いくら何でもここで、手作りルアーは怖い。市販の堅いルアーでやろう。と、ベビーサーディン投入!
フォールするワームに指先ぐらいのチビティラピアが無数に群がり、見えていた成魚は入れ替わるように深みに消えました。
チビ達はテナガエビ仕掛け使わなきゃ釣れないぐらい小さく、ワームが無駄に消耗するだけ。
シンキングクランクのミニファットラップを通すも、枯草を引っ掛けまくって魚を警戒させるばかりです・・・。
秘密兵器、ジョインテッドクロー70投入!管釣りやメバリングで大活躍中のジョイクロ70ですが、ティラピアの反応は冷ややかなもんでした。
不味い・・・思い出せ、思い出すんだ・・・沖縄のティラピアがどんなだったか・・・。
T19「・・・トップか・・・」
アンバー「!」
T19「どうした?やってみたいのか?」
アンバー「!」
T19「じゃあ、任した!」
太陽が顔を出し、真珠貝でできた皮が光るアンバー。その妙に気合の入った表情に託し、再びスナップにセット!
キャスト!そこら中に浮いた枯草をラインが跨ぎ、その向こうのオープンウォーターへ着水。
トゥイッチングで左右に頭を振るアンバータイガー。ティラピア成魚、急浮上してバイト!乗ってないことを認め、即リトリーブに移行。
沖縄の時と同じ!やはり水面が鍵か!
枯草にぶつかり、勢いでそれを次々乗り越えるアンバー。水面を突き破って本気のバイト!
今度こそシングルフックが魚の口を捉え、パワーを1点集中させて一気に貫く!突進はドラグで全ていなし、ランディングネットでキャッチ!
ティンバー「よっしゃあー!やればできるやんけアンバー!」
T19「でかした!流石俺のハンドメイドルアー!」
アンバー「・・・」
T19「しかし冷えたな!温泉入りてぇ・・・ちょっと寄るぐらいなら」
スクリーム「あー」
T19「嘘です帰りますよ」
グッドサイズのティラピアを釣ることができたので、即座に車に乗って撤収。岡崎へ帰りました。
移動自粛要請が出ていた中、何も知らず三重に来てしまった私T19。リサーチ不足を猛省致します。三重県の皆さん、ごめんなさい。
ティンバー「急に魚のスイッチ入ったな!流石、ウチをリスペクトしたクランクはちゃうで!」
T19「お前にあんまり似てないけどな。まぁ、とっくに100回投げてたのかもね」
アンバー「・・・」
T19「これからも宜しく!アンバー!」
アンバー「!」
今回の決まり手:ヌーヴォボスコ+アリビオ2000+ナイロン5ポンド+アンバータイガーDC-1