T19「高級木材を丹念に削り、コーティングを繰り返し、真珠貝シートを余すことなく全身に貼り付けた、T19拘りのハンドメイドクランク!『アンバータイガー』と命名する!!」
ティンバー「色塗ってへんから下地丸見えやわ」
T19「フラッシング効果と木目の美しさを両方魅せるため、敢えて無塗装からの真珠貝ってわけよ!」
ティンバー「ホンマのこと言うてみ?」
T19「塗装面倒臭くなって・・・」
ティンバー「力尽きんなや途中で!」
“ティンバーのタイニーモデルを生み出す”という目的で作り上げた『アンバータイガー』。まず、何1つティンバーに似てない・・・。
腹の溝にフックアイがすっぽり収まる予定だったのに、彫り過ぎでヒートン刺すゆとりが無くなり、アイを微妙な位置に設置せざるを得ず。
シェルシートは細かくカットしてから敷き詰めるように貼り付けたものの(ステンドグラスみたいになると思ってた)、ただでさえ歪なボディが更に歪んで見えてしまうという酷な事態になってしまいました。
それでも、初めて自力で作ったルアー。何だか我が子のように可愛く見えて、「コイツで魚釣りたい!」という想いが湧き起こる!
後は泳ぐかどうか。左右非対称でもちゃんと動くタドフライみたいなクランクも居ることだし、この子もそうであることを祈ろう・・・。
T19「頼むぜ、アンバー!」
アンバー「・・・」
ティンバー「何や、喋れへんのか?ルアーのクセに」
T19「あのね、喋れなくて当たり前だからね?喋れるルアーの方が異常だからね?」
ティンバー「まーええわ、早速スイムテスト行くで!」
T19「いや、次の会社の入社日控えてるんだよ。釣りはその後にさしてくれ」
数日後、5時半に起床した私T19、シャワー浴びて、歯磨いてスーツ着て、岡崎の街とは逆方向の山中へと車を走らせました。
薄暗く細い道を進んでいたら急に景色が開け、見えたのは畜産用の餌タンク。
T19「本日より、正社員としてお世話になります!過去5年半、育雛を経験してはいますが、成鳥と卵に関してはほぼほぼ未知の世界なので、早くお役に立てるよう頑張ります!どうぞ宜しくお願いします!」
農場長「ありがとう。若手で業界経験者という貴重な人材が来てくれたもんで、みんな、しっかり面倒見てあげてくれ。主任」
主任「はい!」
農場長「当分の間、彼を連れて作業するように」
主任「了解しました!」
広島での鳥の仕事を辞めた私が、愛知で入った次の会社は、またしても鳥の仕事(笑)。
別業界への転職も考えはしましたが、現場リーダー任せてもらえるほど勉強してきたのに、それを捨てちゃうのは惜しい。
前の会社を辞めた理由は経営が暴走する中で責任者続けるのは危険と判断したからで、別に鳥を飼うことが嫌になったわけじゃない。
今回入社したのは、一大グループに属する企業で、毎日凄まじい量の卵を出荷している大手筋。
そんな大手で働くに当たり、私を案内して下さることになった主任は、何と私と同い年。
聞けば、既に10年この会社で働き、今は100人以上の従業員を束ねているのだとか・・・世の中凄ぇ人間が居るもんだ・・・。
主任「これから採血を一緒にやっていきましょう!ランダムに15羽分採ります」
T19「手羽のY字血管に刺すやり方で良いですか?」
主任「それで大丈夫です!流石経験者話が早い!じゃ、やりますか!」
T19「・・・雛よりも血管見辛いな・・・」
主任「大丈夫そうですか?」
T19「ちょっと苦戦してます。主任さんは?」
主任「終わりました!」
T19「速っ!?」
主任「焦らなくても大丈夫ですよ。じっくり色んな作業を覚えてもらったら良いので!」
T19「あ、ありがとうございます・・・」
勤務初日は農場の案内と採血、換気扇のVベルト交換などを行い終了。
農場長、主任を始め優しい方ばかり。皆「分からないことあったら何でも聞いてね!」と言ってくれて、優し過ぎて逆に不安になるレベル。
ちなみに前の会社では、広島に配属された初日から大声で怒鳴られました(笑)。今となっては良い想い出。
とにかく今は、新しい職場の雰囲気に慣れないと・・・。
1月10日は休日。岡崎市内の開拓をしておきたく、手始めに街中河川の無料開放されているエリアへ!
季節柄もあってあまり生命感の無い雰囲気ですけど、まずはアンバータイガーのスイムテストからスタート!
おっしゃ!泳いだ!拙い造形ながら、アイ、リップ中央、ウェイトが一直線になるよう配置したのが功を奏したか、ウォブリングアクション!
我が子のヨチヨチ歩きを見守る父親のような気持ちの私。
しかし喜ぶも束の間、流れに捕らわれバランスを崩し翻り、川底のヘドロに突っ込みスタックするアンバータイガー。
ファーストリトリーブにも弱く、ティンバーの能力(安定性とスナッグレス性)が全く備わってない・・・。
その時、眼前のシャロー、流れの緩くなった一角に、30センチ程の平たい魚!立派な鱗を持った『フナ』でした。ワームなら釣れるか?
ベビーサーディンのジグヘッドリグを投げてみると、フナは気にはするものの食べようとせず。
するとそこに、フナよりずっと巨大な魚が現れてワーム目掛けて進んで来ます!都市河川の代表魚種、『コイ』。
急いでベビーサーディン回収。随分と人に慣れてるようで、私の姿を見ても逃げようとしません。フナ狙いは後回しにするか・・・。
エギングタックルを取り出し、パワークラブ(パワーイソメ素材で出来たカニ型ワーム)のスプリットショットリグでコイに勝負を挑む!
ストンと沈むシンカーと、流れに漂い落ちるワーム。
コイはゆっくり接近。頭をボトムに、尾を水面に向けた前傾姿勢をとったかと思うと、一瞬でパワークラブを吸い込む!
アワセと共に暴れ出すコイ!イカ竿でまともにパワーファイトしても勝ち目は無いので、走り回らせつつジワジワと浅瀬に誘導。
バテた魚をゆっくり横たわらせました。
ふと振り返ると、河原に見物人が複数。絵的に派手なコイのファイトを見て、ウォーキングしてる人達が集まって来たみたいです。
注目されるのはどうも苦手なもので、コイは手早くリリース。川を見渡すと、フナはまだ底を小突いてました。
バスタックルに持ち替え、フナの進行方向にパワーイソメのジグヘッドリグを沈めておく・・・。
ボトムに転がってる物を次々口にして、気に入ったら食べ、気に食わなきゃ吐き出して泳ぐフナ。
小学生の頃に可愛がってた金魚とそっくりな挙動です(金魚=フナだから当然だけど)。
フナはパワーイソメに気付き、凝視した後あっさり吸い込み、即座にフッキング!
コイ釣った後で引きは物凄い弱っちく感じましたが(笑)、激しく尾を振って跳ねる元気な子でした!
何ブナかは判りません。と言うか、フナの判別は専門家でも難しいレベルだそうで、私ごときが悩んでもどうしようもなさそう。
アンバータイガーの初陣はダメダメだったけど、コイとフナが顔を見せてくれて、何だかんだ楽しい釣行になりました♪
アンバー「・・・」
ティンバー「そんな顔せんとき。1回2回泳いだぐらいで」
アンバー「・・・」
ティンバー「諦めんと100回ぐらい泳いでみ。何か変わってくるて。知らんけど」
アンバー「・・・」
今回の決まり手:インフィート・エクストリーム+コンフリクト3000+PE12ポンド+パワークラブ(SS)
ヌーヴォボスコ+アリビオ2000+ナイロン5ポンド+パワーミニイソメ(JH)