T19「おっ、これはイッタンモメン」
CD「主殿、何してるんですか?」
T19「水木しげるロードの通な楽しみ方、それは夜中に1人彷徨い歩くこと」
CD「豪勢な肝試しという事ですね。成程次から次に妖怪が出て来て、これは不気味で面白い。じゃなくって!」
CD「我々は釣りに来たんでしょうが!何で観光地をぶらり歩きしてるんですか?」
T19「だって釣れないじゃん境水道!カウントダウンだって「難しい」って言ってたじゃん」
CD「それは・・・あの潮の速さであの深さは一寸、バルサミノーの予には無理があります」
T19「Xラップにチェンジしたら?」
CD「あの姿は気が進まない。鱸相手なら、このCountDown9の姿で攻めたい」
T19「って言うかカウントダウン、シーバス釣ったことあるの?」
CD「し、失敬な!!悪いが予はね、君とは比べ物にならんほど、途方も無い数の鱸を釣っているんだ!君が赤ん坊だった頃から!」
T19「でも釣れないじゃん」
CD「予も万能ではない。遠投が必要などん深ポイントなら、ジグを柱に考える方が頭が良い」
T19「ジギングかぁ」
10月7日は休日!そして緊急事態宣言や県外移動自粛要請が9月末を以て解除されたわけで、待ちに待った海釣り!
何だかんだ、2021年は引っ切り無しに宣言や要請が発令されまくってましたから、気兼ね無く出歩けることがとても素晴らしく感じます・・・。
6日の夜にタックルを車に積んで、鳥取県境港市の境水道へ!!
斐伊川の急流が宍道湖と中海で海水と交わり、そして海へ出て行く水路なので、個人的にはヤマタノオロチの尻尾だと思ってます。
で、カウントダウンの9センチモデルを投げるもフォール中にあっと言う間に潮に流され、全く釣りにならず・・・。
おまけに「最強」の呼び声の高いコアマンのVJを根掛かりロストしてしまい、戦意喪失した結果、上記の妖怪道散歩に至ったのです。
結局、朝マヅメジギング一撃必殺作戦で勝負することに決まり、車の中で毛布を広げ、仮眠を取ることにします。
ウトウトし始めた頃合いに、ラインの通知。スマホを見ると本社の部長から「辞めるのは決定なんか?」とのメッセージ。
前回の最後に書いた退職願を場長に提出したところ、社長、事業所長、先輩達から連絡が来まくって、今度は部長。
「12月の締め日にお別れしようと考えています」と返したら部長から入電。
「実家が心配やったら兵庫の本社勤務はどや?」、「金銭的な不安なら、特別に年俸制にしてもらうことも無理やない」、「長い間現場リーダーやっとるし、そろそろ役職手当付けたろ」等々、色々な提案を頂いて、その1つ1つを丁重にお断りして、通話を終えました。
CD「長電話でしたね。1時間半も費やして」
T19「表向きの辞める理由は“実家が忙しくなったから”なんだけど、上の人達に邪推されて、給料と地位の話ばっかりされる」
CD「真の理由は?」
T19「方向性が怪しくなったから。コロナや鳥インフルの流行を上手く利用して、お客さん増やすことには成功してるけど、生産体制がパンクしかけなんだよ。この方針を貫こうと思ったら、生産工程で手を抜くか、悪いことをするしかない。断言できる」
CD「それならそうと包み隠さず言えば好いでしょう。どうせ辞めるのなら」
T19「言わないよ。会社と喧嘩別れすることになるだろ?世話になったみんなと、仲良しのままさよならしたいんだ」
CD「そのみんなが、もしも悪に堕ちてしまうとしたら?」
T19「それは俺にはどうにもできん。俺は正義の味方じゃ無い。どいつもこいつも、悪い所がありゃ良い所も多々あって、人も人間も無いのかもしれんな」
CD「この何ヵ月かで、随分と心境が変わったんですね。そろそろ休みましょう」
T19「4時に起きよう」
ポンポンポポポンポンポンポポポンポポポ~♪
T19「ZZZ・・・」
CD「ZZZ・・・ちょ、煩い・・・主殿、何か鳴ってますよベルが」
T19「えぇ何?・・・ZZZ・・・」
ポンポンポポポンポンポンポポ
CD「あぁ騒々しい!」カチッ
T19「ZZZ・・・」
CD「ZZZ・・・」
暑さでハッと目が覚め飛び起きて時計を見たら、まさかの9時。
朝マヅメはとっくに終わり、太陽が眩しく照っておりました。疲れが溜まってガチ寝しちゃった模様・・・。
T19「てかアラーム鳴った!?4時に鳴るように設定しといたのに!」
CD「いいえ、鳴ったら予が気付くはず。スマホも四六時中持ち歩かれてるんですし、偶のミスも致し方無いのでは?」
T19「しょうがない、ジグで深場を攻める!」
コルトスナイパーにバトル、そしてイワシロケットというガチガチのショアジギングタックルで釣り開始!
底層付近を攻めますが、ウィードとウミサボテンが多く釣り辛い・・・。
ランガンしていくと、更に水深があり障害物の少ないポイントを探り当てることができ、ここをスイムベイトで丁寧に攻めることに!
切り札となるはずだったVJは昨晩殉職してしまったため、似たようなデザインのヒラメ用ルアー、浜王をキャスト。
リフト&フォールでボトムを小突かせていたら、押さえ付けるような重みを感じ、激しく走り出したライン!!
来たぜ~!でも絶対シーバスじゃないぞこの引き!
これはきっとアイツ。過去にも境水道で釣ったことがある、上から見たら威圧感満点なのに、横から見たらペラッペラな格好可愛い奴。
そう、『マゴチ』!!
T19「シーバスポイントでヒラメルアー使って、釣れたのがコチねぇ」
CD「鯒が居るなら鱸に拘らず鮃を狙ってみるのも好しでしょう」
T19「ヒラメ?そんな上手いこといくかなぁ」
CD「日本人なら言霊の力を信じるべきです!「昨晩に見た、一反木綿のような鮃を釣ってみせる」と、そう唱えてみるのです!」
T19「・・・イッタンモメン釣るぞ~!・・・これで良いのかな?」
マゴチは若い個体だったためリリース。
より遠投してスピーディーにボトムレンジを通すべく、40グラムのメタルマルをスナップにセットし、フルキャスト~!
最高のタイミングで潮が動き出し、意気揚々とジグをボトムホップさせていたら、ドスン!と力強い魚信!!
フッキング動作を決める前からドラグが悲鳴を上げて、ロッドがグニャリ!!
これヤバい!コチやシーバスの引きじゃない!マジでヒラメ来たんじゃないか!?
沖へ10秒ほど走り、10秒ほど根掛かりの如く重くなり、再び10秒ほど走る泳ぎの繰り返し。走ってる時は糸の巻き取りがほぼ不可能!
CD「妙だ・・・スピード感というものが無い。本当に鮃か・・・?」
T19「ちょっとずつだけど寄って来てるぜ!」
CD「・・・あ、見えた」
茶褐色の巨大な体は平べったくはためいて、それはまるで、昨晩見たイッタンモメンのブロンズ像のようです。
水面に浮き上がってバチンバチンと力強く水を叩いて泳ぐアイツは・・・。
T19「エイじゃねぇかチクショぉぉぉ!!」
CD「此方へ向かって来てますね!好都合!座礁させましょう!」
T19「何か形が変じゃね?奇形のアカエイか?」
CD「燕鱏です。ああいう出で立ちの魚ですよ」
ラインテンションを保ったままゆっくりと海岸の浅瀬に誘導。
異様なほど左右に長く、尻尾が極端に短い『ツバクロエイ』。マジで色んな魚が居るな境水道・・・。
CD「鰭に針掛かりしているな。好し好し、漸く大人しくなったね」
T19「何かまた暴れ出しそうで怖いな」
CD「大丈夫。この子の顔を見てごらんなさい。優しい顔しているでしょう?」
T19「・・・」
T19「・・・いや何か怒ってねぇか?」
ビタンビタンビタン!!
T19「ヤバいヤバい!危ない危ない!暴れ出したじゃんかよ!!」
腹部を持ち上げるような形でエイを浮かせ、プライヤーで高速針外し!
自由の身になったエイは浅瀬を舞うように泳ぎ回った後、沖へと去って行きました。
T19「リアルにイッタンモメンだな」
CD「流石、妖怪の街です」
T19「今回はこれぐらいにしとくか」
CD「そうですね」
ピロロロロロロ~♪
T19「はい、もしもしお疲れ様です!あ・・・はい、そうなんですよ。僕も名残惜しいのですが・・・あぁ、申し訳無いんですけど、やっぱり滋賀の実家から広島は、何かあった時遠過ぎるもので・・・はい、お気持ちだけは、ありがたく頂こうと思いますので」
CD「・・・」
ラスカル「どんな魚かなぁ、中国地方で僕が有終の美を飾る相手は。後は管釣りがオープンするのを待つだけ・・・ルアーの世界において、小は大を兼ねる!僕の可能性を最大限に引き出す、最小で最強の姿!その名も!かんつり~アライくん!!」
今回の決まり手:コルトスナイパー+バトルⅡ4000+PE30ポンド+浜王セット