抱える困難は見えにくいけれど | 水面に浮かぶ水銀の月

水面に浮かぶ水銀の月

下級役人から見た、教育現場の内実や子ども達との日々を、愛を込めて発信しています。

持久走週間が始まってしまった。


休み時間に校庭を走った

周数を記録するらしい。



階段落ち のことは現場の

誰にも話していないから


「 一緒に走って~~ えーん 」


と泣き顔で袖を引っ張る

お子を、拒める訳もなし。


笑うだけでも、まだ

痛むけど致し方ない。



 ピンク薔薇お見舞いのコメントを

 ありがとうございました ニコニコ飛び出すハート




私より40歳以上若いくせして


「 センセぇ~~!アタシもう、

腰痛くてダメだあぁ~ えーんえーん 」


そう言ってしがみつく彼女

と二周だけゆっくり走った。




「 先生は、さ 」


「 誰にでも優しすぎるんだよ。」 

 

と、


『 努力・根性・気合い 』

モノには一切、参加せず


半泣きで頑張る彼女からは


「 ズルいよぅ~!」と、いつも

なじられるキミが言ってきた。




「  叱る のが、教育

ってもんでしょ? 先生。」



 (・・;)ハッ


 強制 が大嫌いなくせ

 して、よく言うわ~




「  叱って欲しいの?誰かを。」



一旦黙って彼は、しょっちゅう

モメている同級生の名を挙げた。




 ( ´-ω-)


 ああ、…うん。

 まぁ、わかるよ。



 たださ、



「 どっちもどっち って

ことも多いんじゃない?


悪いけど。」


「 いや、アイツの方がいつも悪い。」





自分のことは、さておき… な

繊細さと鈍感さが混在する彼。


文字や状況を読み取るのが

苦手で、登校はして来ても


次第に教室には

入れなくなった。



でもキミはきっと、いずれ


自分で、生きる道

を探していけよう。



だが片や、あの 彼が


自分の特性を理解して、自らを

生かす道を見つけられるように

なるには、一人では無理だろう。



そのうちにわかってくる

であろうが、キミになら…




体罰って、ものも

あるくらいだし。」



 物騒なことを言い出した。




「 “ 何 ” について、叱られたのか


理由も忘れて、ただ

怨みだけが残るのが


体罰だと思うがね、私は。」



「 ……………


オレは、ママに怒られても

無視してるよ。こんな顔して。



“ 何 ” を言っているのか

聞こえては、いるケドね。」




キャハハ 笑い と、


それまで黙っていた上級生の

彼が、こんな顔を見て笑った。




こんな顔 なら、俺の

方が、得意だゾ!!」



「 そしてついでに言うがね、」



「 深刻な空気も、俺サマは

こうして和ませられるのダ!」




こんな顔を見て、三人で大笑い

した。流石です、センパイ!!



 笑い泣き 泣き笑い 笑い泣き笑い





だが、この素敵なセンパイも


同級生達の輪の中では、真価

発揮出来ず、教室には入れない。




 抱えるものは、人それぞれ。




弱い部分を尊重し合えるよう

になっていけたら、いいね。