Glenn Gould Plays Beethoven piano sonata "Tempest" whole movements

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最初は、グレン グールドによるベートーヴェンについての難しいレクチャーから始まります。

この人は、ピアノを弾く他にスピーチも文才も優れていて、天才の上 更に秀才の要素も兼ね添えた人物であると言われています。実際の演奏は、5分30秒後に始まります。

  グレングールド

グールドは、カナダ人ですからもちろん英語が、母国語です。 彼は、天才ピアニストの顔のほかに、音楽学者の顔も持っています。その音楽的造詣は、バッハ、ベートーヴェンに限らずドビュッシー、プロコフィエフ、現代音楽の租、シェーンベルグまでに及びます。

 

おまけに、日本文学にも詳しく、漱石の「草枕」については、世界的権威なのです。グールドの人物像とはこのようなことになっています。

 

英語の発音は正確で歯切れがいいし、発言はほとんどすべて、筋が通っているのです。

私は、グールドの発言で、次のようなことだけ聞き取れ理解できました。

 

「ベートーヴェンの前期は、ハイドンや、モーツァルトと同様、古典派と言えるが、後期の彼はもうすでに

ロマン派に属している。そして最晩年の彼の作品には、しばしばフーガというバロック時代の音楽技法が、取り入れられている。」 もちろん、私の解釈が正しいとは限りません。

 

ただ、最後のアナウンサーの言葉はわかりますよ。

 

”Glenn Gould now plays Beethoven piano sonata number seventeen in D minor often called Tempest.”

(グレン グールドは、これからベートーヴェンのニ短調(Dマイナー)ピアノソナタ17番を演奏します。

これには標題がついていて、しばしばテンペスト(嵐)と呼ばれることがあります。)

 

さて、私は25歳くらいまでは、バッハの鍵盤作品はもっぱらこちらのグレングールドで聴いていましたが、ベートーヴェンのピアノソナタは、バックハウスか、ケンプにまかせていました。

 

精神性の強い立派な演奏です。もちろん、ピアノソナタ17番”テンペスト”もこの二人です。

 

ある日、試しにCBSソニーレコード会社から発売されたテンペストを演奏するグレングールドのLPレコードを購入してみたのです。それを聴いてみて雷に打たれたような衝撃をうけましたね。

 

やはりグールドは、バッハの作品に対する態度でもっぱら、この作品の構造に光を当てています。右手のメロディーラインと左手の低音の伴奏部分が、極めて明確です。ポリフォニックな演奏といっていいくらいです。

 

それが、バックハウスやケンプにはない大きな魅力になっていることに私は気づきました。だからといって、彼らを否定しているわけではありません。精神性にあふれる彼らの演奏もこれまた私を引き付けているのです。

 

さて、第一楽章の冒頭から、恐ろしく明確に一音一音を弾いていますよね。まさにこれが、グールド特有の演奏です。モーツァルトのピアノソナタに関しても全く同じアプローチです。

 

たとえば、バックハウスの演奏では、この第一楽章もっとゆっくりで強弱もしっかりつけ、非常に男性的で雄大な世界を作り上げます。そのような雰囲気的なものを完全に無視したグールドは、左手が暇なときは拍子をとっているのでしょうか、一音一音明確なスタッカートで、一気呵成に弾いてゆきます。

 

2楽章は、ゆっくりしたアダージョ、調性もニ短調(Dマイナー)から、変ロ長調(B♭メジャー)に変わっています。本来は温和で歌うような楽章ですが、グールドはそのようなことは気にせず、ひたすら曲の構造に光を当てるような演奏を続けます。

 

三楽章は、メロディーラインが、魅力的なので多くの人に愛されrています。3/8拍子、ニ短調(Dマイナー)  グールドの美しくしかも存在感のあるピアノの音色と、驚異的なピアノテクニックに我々はただ唖然として魅了されるばかりです。