五嶋みどり:パガニーニ カプリース24番

五嶋みどりさん、このパガニーニーの難曲をいかにも女性らしい繊細かつ流麗な音色で演奏していらっしゃいます。

 

対位法を重要視させる変奏では、低音をやや長めに弾いて十分響かせていますし、短調の変奏では、厳粛な悲壮感も十分聴き取ることができます。

 

またピチカートの変奏では、十分なデリカシーを感ずることができます。いずれにしてもこの曲に関して、屈指の名演奏といっても過言ではないと思います。やはりみどりさん大したものですね。

 

 ハイフェッツ:パガニーニ カプリース24番

ヴァイオリニスト、ピアニスト、否、あらゆる器楽奏者で最も大切なことは、自分の楽器でその作品を歌わせることだと考える方も多いと思いますが、私はその前に、特にスタッカートにおいて一音一音が、極めてはっきりと発せられていることがより重要ではないかと考えます。

 

ピアニストで言えば、グレン グールドとウラジミール ホロヴィッツのピアノから紡ぎだされる音を聴けば、1分間でわかるはず。ヴァイオリンの世界で、二人のレヴェルに達しているのは、ヤッシャ ハイフェッツのみと言わねばなりません。クライスラーやパールマンをもってしても及ばないでしょう。

 

さて、みどりさんよりやや遅めのテンポをとっているのですが、冒頭の主題からして一音一音が恐ろしいほど明確であることはお気付きでしょう。

 

次のプレストの第2変奏、あんなに速いフレーズなのに一音一音はっきり聴き分けられます。次の次の短調の変奏は打って変わってレガート演奏の極致を聴かせてくれます。

 

 そして、ピチカートの変奏に至っては、もう真の神業という他ありませんね。

 

ホロヴィッツの弾くバラード1番、グールドが弾く1981年録音のゴールドベルグ変奏曲、そしてハイフェッツが弾くこちらのパガニーニのカプリース24番が、私の3大コレクションになります。

 

若い女の人などは、流麗で、さっそうとしたみどりさんの演奏のほうを好むかもしれません。

でも私は、みどりさんが50年に一人のヴァイオリニストとすれば、ハイフェッツは100年に一人のそれだと言いたい気持ちがあります。

 

*ホロヴィッツが弾くショパンのバラード1番もご覧になる方は下記をクリックしてください。  https://ameblo.jp/galwayera/entry-12161984915.html?frm=theme

 

*グールドが弾くゴールドベルグ変奏曲もご覧になる方は、下記をクリックしてください。

 https://ameblo.jp/galwayera/entry-12184317145.html?frm=theme