初めに:これは決して冗談で言っているのではありません。バッハは、晩年、フリードリッヒ大王からいただいたハ短調のテーマを題材にした、世紀の名作「音楽の捧げもの」を発表。グレングールドなどの出現によって、この日本にもバッハファンは、驚異的に増えましたが、やはり、ゴールドベルグ変奏曲、チェンバロをはじめとするヴァイオリンやチェロのパルティータ集、或いはマタイ受難曲どまりで、なかなか、「音楽の捧げもの」や「フーガの技法」まで入り込んで、熟知している人はこの日本では数十名のレヴェルでしょう。

 

東京芸大の教授あたりでもなかなかその様な人を見つけることは困難です。したがってこの英国で作られた動画つまり、フリードリッヒ大王とJSバッハのポツダムにおける邂逅、そして大王が、バッハに賜ったハ短調の主題、さらに、これをもとにしてバッハが作曲した「音楽の捧げもの」をしっかり聴くことによって結構たやすく日本でも稀有なバッハ通にあなたもなれるのです。まじな話!それでは、とにかくこの動画を心して見てくださいね。

6声のフーガThe great encountering of German king and J.S Bach

18世紀の中期のはじめ、啓蒙君主として知られるフリードリッヒ大王は、ポツダムのサンスーシ宮殿の中でヨーロッパでも屈指のオーケストラを創設してしまいました。

 

彼は無類の音楽好きだったのです。当然、ドイツの超一流、ミュージシャン達を集めました。例えば、ヴァイオリンでは、パールマン レヴェルのグラウン兄弟、フルートは、ゴールウエイと肩を並べる J.Jクヴァンッ、そしてチェンバロは、JSバッハの一番出来のいい子ども、C.P.E バッハ、オペラ歌手には、石川さゆりさん似の歌姫に来てもらいました。このような布陣なんです。

 

余計なことですが、C.P.Eの年収は500万円、それに比べオペラの歌姫は5000万円。これにはずっと、CPE不満を持っていました。結局、やってらんねーやということで、オーケストラを辞め、北のハンブルグへ引っ越し、そこで有名なハンブルガーソナタを作曲してます。 現在では、マックの隠れコマーシャルソングになっているとか。 

  フリードリッヒ大王         J.S バッハ

さて話題は戻り、最初の場面で大王は、フルートトラベルソを優雅に吹いていますよね。フルート教師は、もちろん J.J クヴァンツです。

 

さて、滅多に旅行をしないお父さんのJSバッハは、大王にお世話になっている息子C.P.E に子供ができたので孫の顔を見に行くという目的もあり、ようやくポツダムのサンスーシ宮殿を訪れ大王に拝謁します。 

 

冒頭、家臣から手渡されたメモをみて、”大バッハが、ここに来られた”と皆に告げます。やがてやや年老いたJSバッハが入ってきます。すると大王は、「マエストロ、僕は、ハ短調の主題を思いついたんだけど、これを土台にしてやや複雑な対位法、つまり6声くらいのフーガを含んだ作品を作ってもらえるだろうか?」

 

そして、やおら、大王はその主題をフルートで吹きます。「見事なテーマでございます」とJ.S。 そして彼は直ちに、初期のピアノで、それをもとにした3声のフーガを演奏。大王は、さらに複雑な演奏を求めますが、「主題が、あまりにも素晴らしいので、私にはこれ以上の即興演奏は難しすぎます。 

 

後日必ず6声のフーガを完成させ、楽譜を献上いたしますのでそれまでお待ちくださいとJ.S 。 それが、「音楽の捧げもの」にほかなりません。この、いわゆる”王の主題” ただぼぅーっと聴いているのではなく、短いですので全部口ずさめるようにしてくださいネ。

 

まだ、この日本でそれができるのは10人足らずなのですから。そして、大王が退席した後、息子のCPEが駆け寄ってきて、父子の抱擁、めでたし、めでたしです。

 

2019 8 23  追記:バッハは、1年後にフリード大王が所望した6声のリチェルカーレ(フーガ)

をメインに置いた音楽の捧げものという比類なき作品を献呈しました。苦労に苦労を重ねた作品です。冒頭からいきなり6声のフーガではなく、バッハが初めて大王の前に演奏した、3声のリチェルカーレ(フーガ)を持ってきたのです。

 

現在では、チェンバロソロで演奏されるのが普通です。この動画では、大王が、非常に明快に自分の作曲した主題を吹いています。できれば、この旋律を頭に叩き込んでほしいと思います。こんな経験をした日本人はごくまれでしょう。

 

*とくに幼児にとっては、三ツ子の魂百までといわれる通り、将来音楽性の身の付き方が、大きく違ってくることは火を見るより明らか。

 

ぜひ、インターネットを通じてこのような経験を味合わせたいものです。最後に、是非お勧めしたいことは次のことです。本ブログの左上に6声のフーガとありますが、それをクリックすると、6声のリチェルカーレ(フーガ)が直ちに見られます。ぜひ試してくださいね。

 

それから、以下記述することは妄想かもしれませんが、わが国の吉宗公とフリードリッヒ大王は、東西同時代の統治者です。

 

吉宗公は、目安箱制度を取り入れたり、また米の相場など経済事情もやたら詳しい。

 

もしかすると長崎出島のオランダ人あたりから、ドイツの啓蒙君主フィリードリッヒ大王の存在を知り、そこから江戸町民をうまくまとめていく政治手法を実施していたのかもしれないと考えています。

 

この辺も、私の研究課題になりそうです。